掲載日:2020年09月04日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
カワサキが世に送り出した数少ない原付バイクの中で、強く印象に残っているのがKSR-1。発売されたときは、かわいいミニバイクスタイルなので「“男のカワサキ”がこんなバイクを出すんだ!」と驚いた記憶がある。
70年代、アメリカでロードレーサー、モトクロスレーサー、ダートトラックレーサー……いろんなレーサーがいるけど、誰が一番速いんだ!? という話題が持ち上がり、オンとオフを走るトラックレース『スーパーバイカーズ』が誕生。参加バイクはオフロード車にロードタイヤを履かせたようなスタイルで、そのデザインをギュッと小さく、さらにデフォルメしたのがKSR-1だった。『スーパーバイカーズ』は徐々に廃れていったが、その後ヨーロッパへ伝播『スーパーモタード』と呼ばれ継続されていった。
このKSR-1、見た目は「カワイイ♪」と笑顔になるくらいファニーなのだが、中身は本格的。ハイパワーの水冷2ストロークエンジン、前後ディスクブレーキ、UNI-TRACKサスペンション、倒立式フロントフォーク・プロテクター付きなど。大型バイク顔負けの充実度、いわゆる「かわいい顔をして……なんとやら……」というやつだった(笑)。
実は1988年に前身のKS-1(空冷)をリリースしたが、当時の日本はレーサーレプリカが主流、翌年ヤマハが水冷のTDR50を発売したこともあり、鳴かず飛ばず。その後、満を持して登場させたのが水冷のKSR-1だった。さらにその後、ワンメークレースが開催されるほど大人気に。規制強化の2000年まで販売が継続される、カワサキ小排気量車を代表するモデルとなった。ちなみに現時点でカワサキ最後の50㏄バイクとなっている。
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