掲載日:2024年10月11日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
ヤマハのオフロードバイクの歴史を語る上で、忘れられてはいけない1台がある。それが1985年に誕生した『マウンテントレール』セローだ。
開発コンセプトは”大自然の中へ!”。トレール(ケモノ道)を走るため力強い中低速トルクを重視したエンジンを搭載。藪の中や岩場など困難な場所を足こぎで進めるようにシート高を低目に設定。さらに転倒したマシンを引き起こすためのグルップ、ハンドルスタンディングを車体の前後3か所に設けるなど、深い山奥の中を分け入ることを意識した、これまでにない個性を持ったオフ車だった。
当時のオフロードバイクといえばモトクロッサーのテクノロジーを取り入れた高性能モデルが多く、ハイパワーでシートも高め。走破性は高かったが、本格派ではないライダーにはオーバースペックであることも事実だった。
そんな時代に登場したセロー。ボディは軽量でシート高も低目、エンジンも扱いやすい。これなら初心者でも気軽にオフロードが楽しめる! さらにツーリングから買い物までオールラウンドということで、大自然を愛するライダーはもちろん、初心者、女子ライダー、ベテランなど幅広い層から支持を得るようになった。
その後はデザイン変更やセルスターターの標準装備化、リザーバータンク付リアサスペンション、リアの油圧ディスク化などマイナーチェンジを繰り返しながら新ファンを獲得。その地位を確かなものにしていった。基本コンセプトは2005年発売のセロー250、さらに2020年のファイナルエディションへ、長く引き継がれていった。
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