掲載日:2024年06月21日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
ヤマハRZ250に対抗するため、ホンダ初の2ストスポーツバイクMVX250Fが1983年にリリースされた。大きく期待されたが同時期にヤマハから新型のRZ250R、スズキからレーサーレプリカRG250Γが登場。ライバル車に比べて排気ガスの多さや焼き付き、スタイルの不人気などから、売上はイマイチ伸びなかった。
MVXの反省点を踏まえて、約1年後に発売された後継車がNS250Rだった。エンジンは軽量、スリム、コンパクト設計の水冷2ストV型ツイン。効果的な排気脈動が得られる自動調整トルク増幅排気機構「ATAC」を採用することで高回転・高出力を可能にしていた。
空気の流れを考え設計されたフルフェアリングを装着したことで一気にレーサーレプリカ感がアップ。さらに角型ダブルクレードルのアルミ製フレーム、調節式のプロリンクリアサスペンション、フロントには制動時の車体姿勢変化を緩和させるアンチダイブ機構「TRAC」、左右非対称のチャンバーなど、WGPのワークスレーサーNS500の技術がふんだんに盛り込まれた、本格的なレーサーレプリカだった。
こだわりの一つが空気抵抗で、フロントにはフォークスポイラーを装着、サイドスタンドも走行時にはカウルと一体化するように小さなカバーが付くなど、徹底的に考えられていた。
ネイキッドでスチールフレームのNS250Fも同時販売。1986年にはロスマンズカラーの限定モデルも登場。ホンダ製2ストの一時代を築いた。
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