林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.15】ガレ場のアップ&ダウンを速く走るコツとは?

掲載日:2010年04月20日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

ガレ場は非常に滑りやすい 荷重とスロットルワークが肝

「エンデューロのレースでよく見かけるのが、両足をベッタリと着いてハンドルを押している人です。特に背の高いライダーに多く見られる気がするんですけど、両足がステップから離れているとリアタイヤはトラクションしないので、ライダーはバイクのエンジンパワーを利用出来ません。平地ならまだしも、人力だけでバイクを押し上げることはほぼ不可能です。もし少し出来たとしても、非常に体力を消耗してしまいます。

バランスを崩して足を着いてしまう場合も、片足はステップに残してください。そしてもう片方を地面に着くときはベッタリと体重を移してしまうのではなく、路面を蹴って傾いたバイクを修正する程度にします。そうやって微調整をしながらステップ荷重をキープすれば、少しずつスムーズなガレ場のヒルクライムが出来るようになります。」

と、ユウタロウ講師。

ガレ場こそステップ荷重を重視するチビテクをフルに活用するシチュエーションと言える。そしてもうひとつ重要なのが、スロットルワークだとユウタロウ講師は強調する。

「イメージとしては石の上でタイヤを確実に転がしていく感じ、と言えばいいんでしょうか。勢いよく加速してもダメ、かと言って減速してもバランスを崩しやすい。エンジンのパワーは極力使わないで、確実にタイヤを転がしていく。ぼくの WR250F を例にすると、ガレ場では30%ぐらいしかエンジンのパワーを使っていないですね。極端に言えば、アイドリングからそのちょっと上だけ、というイメージでいいかもしれません。

エンジンがエンストしそうなトコトコといっているぐらいが一番グリップするとよく言いますよね。まさにその部分を使えるようになると、ガレ場ライディングが上手くなります。

先日、復活した池ノ平のコースへ行ったんです。池ノ平は長いガレ場で有名なんですが、以前はよく走った場所なのに何回も転んでしまって。冷静に考えたら、やはりアクセルを開け過ぎていたんです。だからアクセルをなるべく抑えたらスムーズになり、かつペースも上がりました。

荷重が抜けた状態だと、あっという間にスリップしてしまうのがガレ場の上り。また、リスタートにライダーの経験値が問われる。

荷重が抜けた状態だと、あっという間にスリップしてしまうのがガレ場の上り。また、リスタートにライダーの経験値が問われる。

不思議なんですけど、なるべくアクセルを開けないようにすると、ガレ場は速く走れるんですよ」

ガレ場の基本はステップ荷重と必要最低限のエンジンパワーをキープするスロットルワーク、と言える。

常にリア荷重をキープ アクセルは最小限にとどめて空転を防止

上りで重要なのは、リアタイヤの荷重とスロットルワークだ。石は非常に滑りやすく、マディ並みと考えた方が良い。そのためライダーは常にマシンの中心よりも少し後ろに重心を据える。ただ、あまり上半身を後ろへ引くと、急斜面でフロント荷重が足りなくなってしまうので加減が必要だ。また、スロットルを急開すると滑りやすいので必要以上に開けられないのだが、平地と違って失速するとエンストしてしまうので、上るための勢いはキープする。それには滑らないけど勢いもキープする繊細なスロットルワークも必要なテクニックのひとつと言える。

上りで重要なのは、リアタイヤの荷重とスロットルワークだ。石は非常に滑りやすく、マディ並みと考えた方が良い。そのためライダーは常にマシンの中心よりも少し後ろに重心を据える。ただ、あまり上半身を後ろへ引くと、急斜面でフロント荷重が足りなくなってしまうので加減が必要だ。また、スロットルを急開すると滑りやすいので必要以上に開けられないのだが、平地と違って失速するとエンストしてしまうので、上るための勢いはキープする。それには滑らないけど勢いもキープする繊細なスロットルワークも必要なテクニックのひとつと言える。

ガレ場攻略の重要なコツのひとつである荷重キープは、ステップから足を離さないということが絶対条件だ。写真のように足が浮くとステップ荷重も抜ける。また、足を着いてハンドルを押すのも得策ではない。リア荷重の抜けた状態ではトラクションが得られず、タイヤは空転するばかり。かと言ってライダーの力だけで押せるものでもないのだ。

ガレ場攻略の重要なコツのひとつである荷重キープは、ステップから足を離さないということが絶対条件だ。写真のように足が浮くとステップ荷重も抜ける。また、足を着いてハンドルを押すのも得策ではない。リア荷重の抜けた状態ではトラクションが得られず、タイヤは空転するばかり。かと言ってライダーの力だけで押せるものでもないのだ。

ガレ場はステップから
足を離さない

ガレ場攻略の重要なコツのひとつである荷重キープは、ステップから足を離さないということが絶対条件だ。写真のように足が浮くとステップ荷重も抜ける。また、足を着いてハンドルを押すのも得策ではない。リア荷重の抜けた状態ではトラクションが得られず、タイヤは空転するばかり。かと言ってライダーの力だけで押せるものでもないのだ。

上りのリスタートは 振り子の要領で勢いをつける

ワダチにはまってしまったときに使う振り子のテクニックは、上りのリスタートでも有効だ。①まずは片足をしっかりと踏ん張れる場所を探す。リアタイヤの下に大きな石が無いか確かめる。②アクセルを開けてバイクを前進させる。このとき、あくまでライダーが同じ場所に立っていられる振り幅にする。③アクセルをオフにするとバイクが下がり、振り子のように反動でまた上ろうとする。その動きに合わせてアクセルを開けると、勢いがついてリスタートしやすくなる。振り子は1回と言わず2回、3回と振って、アクセルを合わせるタイミングを見計らってもいいだろう。

ワダチにはまってしまったときに使う振り子のテクニックは、上りのリスタートでも有効だ。①まずは片足をしっかりと踏ん張れる場所を探す。リアタイヤの下に大きな石が無いか確かめる。②アクセルを開けてバイクを前進させる。このとき、あくまでライダーが同じ場所に立っていられる振り幅にする。③アクセルをオフにするとバイクが下がり、振り子のように反動でまた上ろうとする。その動きに合わせてアクセルを開けると、勢いがついてリスタートしやすくなる。振り子は1回と言わず2回、3回と振って、アクセルを合わせるタイミングを見計らってもいいだろう。

ステップに足を載せ続けることで リアタイヤを地面に押しつける

レースの後半になるとワダチが深くなり、足が着きやすくなる。体も疲労が溜まってくると、ついつい足を着きたくなるもの。しかし、そこで気を抜いて足を着いてしまうとステップ荷重が抜けてしまう。両足がステップから離れるとバイクの自重しかタイヤにかからない。それではトラクションしないので、ステップ荷重が必要なのだ。

レースの後半になるとワダチが深くなり、足が着きやすくなる。体も疲労が溜まってくると、ついつい足を着きたくなるもの。しかし、そこで気を抜いて足を着いてしまうとステップ荷重が抜けてしまう。両足がステップから離れるとバイクの自重しかタイヤにかからない。それではトラクションしないので、ステップ荷重が必要なのだ。

レースの後半になるとワダチが深くなり、足が着きやすくなる。体も疲労が溜まってくると、ついつい足を着きたくなるもの。しかし、そこで気を抜いて足を着いてしまうとステップ荷重が抜けてしまう。両足がステップから離れるとバイクの自重しかタイヤにかからない。それではトラクションしないので、ステップ荷重が必要なのだ。

ガレ場克服に必要な 最低限の心構え

ガレ場の上りはリスタートが難しい。そのためできるだけリアタイヤがグリップする路面を選ぶことが重要だ。もし大きな石や木の根にタイヤが載っていると、簡単にスリップしてバイクは横を向いてしまう。もしもリスタートしようとしている場所が不安定だったら、バイクを降りて下がってでも状態の良い路面まで移動しよう。

ガレ場の上りはリスタートが難しい。そのためできるだけリアタイヤがグリップする路面を選ぶことが重要だ。もし大きな石や木の根にタイヤが載っていると、簡単にスリップしてバイクは横を向いてしまう。もしもリスタートしようとしている場所が不安定だったら、バイクを降りて下がってでも状態の良い路面まで移動しよう。

ガレ場で大切な心構えが無理をしないことだ。これまでもお伝えしたように、自分の限界の数歩手前で止まるぐらいがちょうどいい。そうすれば、写真のように体の小さいライダーでも足の着きやすい場所で止まることが出来る。

ガレ場で大切な心構えが無理をしないことだ。これまでもお伝えしたように、自分の限界の数歩手前で止まるぐらいがちょうどいい。そうすれば、写真のように体の小さいライダーでも足の着きやすい場所で止まることが出来る。

ガレ場の下りはなるべく ストレートラインで

下りは上りよりもラインが選びやすいのが特徴だ。そのため、なるべく安定して走れるストレートラインを頭の中で描きながら走るとスムーズだ。大回りラインはつねにバイクが傾いているため、スリップする可能性も高い。それに比べてストレートラインは、どこかで鋭角に曲がる必要はあるが、安定している状態からなら曲がりやすい。総合的に考えて、ストレートラインのほうが有利な走り方と言えるのだ。

下りは上りよりもラインが選びやすいのが特徴だ。そのため、なるべく安定して走れるストレートラインを頭の中で描きながら走るとスムーズだ。大回りラインはつねにバイクが傾いているため、スリップする可能性も高い。それに比べてストレートラインは、どこかで鋭角に曲がる必要はあるが、安定している状態からなら曲がりやすい。総合的に考えて、ストレートラインのほうが有利な走り方と言えるのだ。

写真のように石が積み重なっているようなガレ場は、石の上で石が転がる。そのためタイヤがグリップしていても、石が動いてしまうので不安定。とくに傾いたバイクから横向きの力が加わると重なっている石は動きやすい。そういった意味でも車体がまっすぐになっている時間が長いストレートラインのほうがベターなのだ

石の上でバイクを寝かすと
スリップダウンしやすい

写真のように石が積み重なっているようなガレ場は、石の上で石が転がる。そのためタイヤがグリップしていても、石が動いてしまうので不安定。とくに傾いたバイクから横向きの力が加わると重なっている石は動きやすい。そういった意味でも車体がまっすぐになっている時間が長いストレートラインのほうがベターなのだ

内山 裕太郎
インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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