林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.14】ガレ場で転ばないための3大ジミワザ

掲載日:2010年03月16日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

焦りや勢いまかせは禁物 とにかく転ばないこと!

短ければなんとか走れてしまうこともあるガレ場。しかし大きな石がゴロゴロと10メートル以上続くガレ場となると、走破するためにはライディング・テクニックに加えて心構えも必要となってくる。

「長~いガレ場は、勢いだけでは走破できません。ミスしてバイクが横を向いてしまったり、転んでしまうとそれを立て直すのに体力を使います。もちろん時間のロスにもなります。だったら転ぶ前に、足が着きやすい場所で止まってしまった方がいいんです。自分の限界の数歩手前を見極める冷静さが必要です。

これは長いヒルクライムでも同じ事が言えますね。上れないどころか、最後にまくれ上がってしまうとケガをしてしまいます。ときには勢いで上れてしまうこともありますが、それはラッキーなだけ。とくに余裕のない場面では、転んだときのリスクが大きくなります。スムーズに走破出来ないんじゃないか、と思ったら、それが現在の実力なんです」

ガレ場は転倒によるダメージが大きいので、走行スピードは遅くても無転倒がいちばん。とくにエンデューロレースでは、1回転ぶとそれまで削ってきたタイムを一瞬で失ってしまう。加えて体力の消耗も大きいので結果的には地味でも堅実なカメ作戦が有効だ。

ガレ場は転倒によるダメージが大きいので、走行スピードは遅くても無転倒がいちばん。とくにエンデューロレースでは、1回転ぶとそれまで削ってきたタイムを一瞬で失ってしまう。加えて体力の消耗も大きいので結果的には地味でも堅実なカメ作戦が有効だ。

と、ユウタロウ講師。

しかし、再スタートしにくいから止まりたくない。だから焦ってまで一気に走り抜けてしまいたいと思うのがライダーの心理ではないだろうか。

「まず大切なのが、足場の良い場所を見つけてから止まることです。足が着かないところだとバイクが止まったら転んでしまいます。そして再スタートのときは振り子のテクを使えばカンタンですよ」

ガレ場は判断力や無理をしない心構えなど、派手さのないテクニックが重要といえるシチュエーションなのだ。

不安定だからこそ バイクの真ん中に乗る

ガレ場はなるべく直線的に走るのが基本だ。しかし道はまっすぐばかりではない。不安定になるガレ場でのコーナリングで大切なのは「バイクの中心に乗る」ということ。ライダーが前後左右、どちらへも傾いていない状態が一番安定している。そして「転ばないように」と意識することで緊張してしまっている体の力を抜く。とくにヒザやヒジの動きがかたいとガレ場の振動を吸収しきれないのでバランスも崩しやすい。

ガレ場はなるべく直線的に走るのが基本だ。しかし道はまっすぐばかりではない。不安定になるガレ場でのコーナリングで大切なのは「バイクの中心に乗る」ということ。ライダーが前後左右、どちらへも傾いていない状態が一番安定している。そして「転ばないように」と意識することで緊張してしまっている体の力を抜く。とくにヒザやヒジの動きがかたいとガレ場の振動を吸収しきれないのでバランスも崩しやすい。

ガレ場はなるべく直線的に走るのが基本だ。しかし道はまっすぐばかりではない。不安定になるガレ場でのコーナリングで大切なのは「バイクの中心に乗る」ということ。ライダーが前後左右、どちらへも傾いていない状態が一番安定している。そして「転ばないように」と意識することで緊張してしまっている体の力を抜く。とくにヒザやヒジの動きがかたいとガレ場の振動を吸収しきれないのでバランスも崩しやすい。

リーンインでバランスを崩すと…!

【右】フロントタイヤが滑って意図せずリーンインになってしまった。このまま転んでしまうのか、と思いきやユウタロウ師範は…【左】フロントタイヤが滑った直後にアクセルを開けてリアタイヤを滑らせることでリーンウィズに復活。とっさの挙動変化に素早く対応するにはリラックスした心と体が必要。

フロントタイヤが滑った直後にアクセルを開けてリアタイヤを滑らせることでリーンウィズに復活。とっさの挙動変化に素早く対応するにはリラックスした心と体が必要。

フロントタイヤが滑って意図せずリーンインになってしまった。このまま転んでしまうのか、と思いきやユウタロウ師範は…

足場と輪場を 自分で作る

ガレ場で一度止まったら、いきなり走りだそうとするのではなく、バイクを前後に振ることで浮いている石を払いのけて、タイヤの下を整えてやる。すると軽く踏み固められた路面のようになってタイヤがグリップし易くなる。もちろんライダーも踏ん張りやすい足場を探す。

タイヤが回転したときに動いてしまう石はトラクションを吸収してしまうので、バイクを前後に振りながら輪場(タイヤ周囲の路面)を整える。何回か振り子を繰り返すと安定した動かない石が下から出てくる。タイヤが回転しても動かないから再スタートに最適。

タイヤが回転したときに動いてしまう石はトラクションを吸収してしまうので、バイクを前後に振りながら輪場(タイヤ周囲の路面)を整える。何回か振り子を繰り返すと安定した動かない石が下から出てくる。タイヤが回転しても動かないから再スタートに最適。

同じようなガレ場に見えても、振り子でタイヤの周囲を整えると安定する。バイクが安定すればライダーの負担も減るので再スタートに集中できるのだ。

同じようなガレ場に見えても、振り子でタイヤの周囲を整えると安定する。バイクが安定すればライダーの負担も減るので再スタートに集中できるのだ。

石の上でタイヤを確実に転がす

石はスリップし易いので、基本的に高めのギアでスゥーと走る。練習のときはあえて低めのギア、高めのギアの両方で走ってみて、スムーズに走ることが出来るギアを探してみる。そして自分でバランスをキープ出来ていると思えるスピードが、自分の実力だ。バランスを崩してしまうようなら、実力以上のスピードを知らず知らずのうちに出していると言える。石もあまり飛ばないので見た目は地味になるが、不安定なガレ場はそのぐらいがちょうど良い。

石はスリップし易いので、基本的に高めのギアでスゥーと走る。練習のときはあえて低めのギア、高めのギアの両方で走ってみて、スムーズに走ることが出来るギアを探してみる。そして自分でバランスをキープ出来ていると思えるスピードが、自分の実力だ。バランスを崩してしまうようなら、実力以上のスピードを知らず知らずのうちに出していると言える。石もあまり飛ばないので見た目は地味になるが、不安定なガレ場はそのぐらいがちょうど良い。

自分がバランスを取れる範囲でしかアクセルを開けない

【右】リーンウィズでのコーナリング。ヒジ、ヒザとも軽く曲げてバランスをキープしている。スタンディングの方が細かい振動を吸収し易い。【左】バイクがコーナー出口に近づいたら少しずつスロットルを開ける。焦ってスロットルを急開すると滑るので、加速はいつもよりも抑えめに。

バイクがコーナー出口に近づいたら少しずつスロットルを開ける。焦ってスロットルを急開すると滑るので、加速はいつもよりも抑えめに。

リーンウィズでのコーナリング。ヒジ、ヒザとも軽く曲げてバランスをキープしている。スタンディングの方が細かい振動を吸収し易い。

バイクが傾くと、どうしても足を着いて転ばないように支えたくなる。しかし石がゴロゴロしている場所だと、足首をひねる可能性が高い。また足先が石にヒットして骨折することもある。チビテクの基本ともいえる「足を着かないライディング」が、ガレ場では特に重要なのだ。

注意!!

バイクが傾くと、どうしても足を着いて転ばないように支えたくなる。しかし石がゴロゴロしている場所だと、足首をひねる可能性が高い。また足先が石にヒットして骨折することもある。チビテクの基本ともいえる「足を着かないライディング」が、ガレ場では特に重要なのだ。

内山 裕太郎
インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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