林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.06】ホイールホップのキホンを知りたい!

掲載日:2009年06月17日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

 /></p> <p>「林道ツーリングは、一生懸命走るよりちょっと肩の力を抜いて、フリーライディング的な走りをしています。スピードを出すというよりは、ちょっとしたキッカケを見つけてフロントタイヤを浮かせたりして遊ぶんです。そうやっていろいろとバイクを操っているうちに、自分の思ったとおりに走ることができるようになっていくんですよね。ホイールホップで大切なのは、フロントタイヤを上げる段差の使い方です。段差に差しかかった瞬間に、アクセルを開けるのが基本です。ただ、あまり開けすぎるとタイヤも上がりすぎてしまう。だから最初は様子を見ながら加減してみてください。あと同時に、上半身をうしろへ引くようにしてリア荷重も行います。広い場所を走るだけがフリーライドじゃないんですよね。ちょっとしたキッカケを利用して遊ぶ。そのアソビゴコロが大切だと思います」</p> <p>フリーライディングを楽しむのに大切なのは70、80%の力で走るということ。そうしないとホイールホップのキッカケとなる段差を見つける余裕がない。また、アクションを起こすにはバイクをコントロールしなければならないため、全開で走っていると自分とバイクの動きを制御しきれないのだ。</p> <p><img src=

普段何気なく走っている林道でも、ホイールホップの練習ができる。雨上がりの林道などは雨水が大きな溝を作るので、それを段差に見立てたり、山側の斜面にあるちょっとした高低差を使っても感覚をつかむことができる。意識してみると、いつものフィールドでも意外と遊べるのだ。

あくまで遊びながら、楽しみながらホイールホップの練習もしてみる。そんな気楽な気持ちでいい。

段差の手前で加速すると簡単にホイールホップできる

普通ならアクセルを戻して段差をフロントタイヤから下りる場面で、あえてアクセルオープンすることでホップできる。こうするとリアタイヤから着地するので、例えば写真よりも高い段差がある場面でも安全に下ることが可能だ。跳び出す直前にアクセルを開けながらお尻を引くのがポイント。また、半クラッチを使って跳ぶ勢いをつけるとさらに高くホイールホップできる。まずは段差と、着地地点が平らな場所を見つけてトライしてみよう。

キッカケを利用してフロントを浮かす

① バイクはちょうど段差に差しかかっている。このポッコリと盛り上がった段差を使えば、簡単にフロントタイヤが浮く。このキッカケをめざして加速し、フロントタイヤが載ったら上半身を後へ引く。

② ホイールホップで雨水止めの鉄板も乗り越えた。こういった障害物があるときにホイールホップはとても有効だ。

③ アクセルを開けすぎると反り返ってしまうので、必要以上にホイールホップしないように気をつける(写真はわかりやすくするため大きく上げている)。

④ リアタイヤも雨水止めの鉄板をクリア。これでキッカケの段差、雨水止めという一連の段差をスムーズに跳び越えることができた。

⑤ ホイールホップは上り坂のほうがコツをつかみやすい。だが、アクセルを開けすぎるとバイクが立って恐い思いをするので、最初は平地以上に様子を見ながらやってみよう。

【Check!!】ホイールホップのポイント。この段差にフロントタイヤを当てることで、その反動をホイールホップに利用できる。フロントタイヤさえ上がってしまえば、その勢いでリアタイヤも軽く浮いて雨水止めの鉄板を簡単に乗り越えられる。重要なのはアプローチでの安定感。それを出すためにはアプローチをなるべくストレートに取ることがコツとなる。

下りはフロント荷重を抜くために上体を後へ

① 林道の中央に溝が大きく刻まれているシーン。路面が全体的に荒れているので、キープレフトにこだわると非常に走りにくい。

② 道幅をいっぱいに使ってなるべく走りやすい路面を選びながら右へ左へとレーンチェンジするといい。こんなときでも中央の溝を越えるのにホイールホップが使える。ただ、アプローチがどうしても斜めになるので、短い助走でホップしなければならない。

③ こんなときは半クラッチを当てつつ、上半身を後へ引くボディアクションを大きく取ることが重要。

④ フロントタイヤが着地するとショックがあるので、体の力を抜いて柔軟に受け流そう。手足が伸びきってしまうと吸収しきれないので、少しヒジやヒザに余裕を持っておく。

フロントが浮いてもリアが接地していれば安心

ジャンプとホイールホップの違う点は、車体が完全に浮かび上がっているかいないか、ということ。ジャンプの難しいポイントは跳ぶことよりも着地といえる。だがホイールホップは基本的にフロントタイヤが浮いているだけで、リアタイヤは接地している。そのため着地はあくまでフロントホイールのみ。ライダーは意識をフロントタイヤに集中できる。ホイールホップこそ、オフロードバイクらしいアクションを楽しめる、はじめの一歩なのだ。

蛇のような溝が走りにくい雨上がりの林道

写真は『悪路注意!』という看板が建っているほど荒れた林道。道の中央に大きな溝があり、しかも左右にうねっているので非常に走りにくい。キープレフトばかりしていると走りにくいので、なるべく路面コンディションのよい場所を選んで、溝の左右へフレキシブルにラインを変えたほうが無難だ。溝越えはストレートアプローチが大切。これはハンドルをまっすぐという意味でもある。遊びながらホイールホップを練習するときでも、この「ストレートにアプローチ&ハンドルはまっすぐ」だけは厳守だ。ハンドルが切れた状態で溝に入ると思わぬ転倒をしてしまうのでキケンだぞ。

インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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