林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.05】サンドライドを安定させるには?

掲載日:2009年05月20日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

常にスロットルを開けてサンドライドを安定させる

「近場のサンド路面でばかり練習をしていたら、土の路面を上手く走れなくなってしまった時期があったんです。そのときは、なんでいつものように走れないんだろう? とすごく悩みました。結論としては、土の路面でもサンド路面と同じように早めにアクセルを開けていて、タイヤがスリップしていたんです。いまはそのことを知っているから走り方を合わせられます。でも当時は原因がアクセルワークにあると気付かなかったので、ライディングフォームや力の入れ具合など、いろいろと悩みました。サンド路面のアクセルワークって、そのぐらい特殊なんです」というユウタロー師範のサンドライディングは、鋭い切れ味でムダがない。

サンド走行で気をつける点は「タイヤのトラクションを意識することが大切です。特にスタートではあまり砂がまき上がらないようにして、ゆっくり走りはじめます。かといってスロー過ぎると砂の抵抗で車速が伸びない。サンドはつねにブレーキがかかっているような抵抗があるので、アクセルを戻すだけでノーズダイブしてバランスを崩しやすいんです。そうならないように、スロットルを開け続けていることが安定感につながります」

ユウタロー師範の走りはスタート時こそ砂がまき上がらず静かだが、いざ高速コーナリングになると、スロットルを開けている時間が驚くほど長いことが排気音でわかる。

アクセルの開け方はジワジワ~っと

サンドのスタートはマディ路面に似ている。なるべくゆっくりとアクセルを開け、リアタイヤのトラクションを意識しながらリア荷重する。もしリアタイヤが派手に砂を巻き上げていたらアクセルは開け過ぎ。バイクが前進するよりも先に路面が掘れてしまう。

かといってアクセルを開けるのがゆっくり過ぎると、車速がつかずにいつまでも低速でバタバタと慌ててしまうことになる。砂がさほど上がらず、かつバイクが進んでいる状態がちょうど良いアクセルワークだ。

サンドコーナーは勢いをキープすべし!

①コーナー進入ではブレーキングをいつもより遅らせる。これはコーナー手前でアクセルを戻すと砂の抵抗によってスピードが落ちるので、土の路面同様のブレーキングをするとスピードを落としすぎてしまうからだ。

②アクセルを開け続ければ砂の上でもバイクを大きく寝かせられる。

③コーナーでアクセルを戻すときはなるべくゆるやかに。急にアクセルオフをすると急激なフロント荷重でバランスを崩してしまう。

④砂の深いところは抵抗も大きいので、アクセルを多めに開けてスピードをキープ。

⑤タイヤが砂に沈むことで自然とバンク状態になっており、意外と鋭いコーナリングがしやすい。

⑥コーナー出口での加速はリア荷重を意識すると安定する。

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グリップの良い土路面と違い、サンド路面でのコーナリングは、遅めのブレーキング・早めのスロットルオンが基本だ。アクセルを開けている時間を多くすることで常に砂の抵抗を相殺する駆動力をかけ続けるのがポイント。

砂路面でフロントブレーキングをすると、フロントタイヤに荷重が集まりすぎて不安定になるので、リアブレーキとスロットルオフで、コーナーの進入スピードを調整する。

砂が自然とバンクを作ってくれる

サンド路面でバイクを傾けると、砂に沈み込んだタイヤによって自然とアウト側がバンク状態になっている。そのためコーナリング中もマシンがアウト側に逃げにくいので、鋭くバンクできる。

不安定なイメージのあるサンド路面だが、アクセルを開けてさえいればクイックなコーナリングも可能だ。ただ、イン側も掘れているので、ハンドルを切って曲がろうとするとフロントタイヤが溝に引っかかってバランスを崩してしまうので注意。

基本はリア荷重でバランスをとる

サンド路面ではバイクの前後バランスがフロント側に片寄っている。それを修正するために、大胆なリア荷重をするのが基本だ。イメージとしては常にフロントタイヤが少し浮いているような状態をキープする。フロントタイヤの荷重が少ないと、砂による抵抗やギャップの影響も受けにくいので、ハンドルを取られる心配が少なくなるのだ。

燃料タンクの前に上半身をもってくると、フロント荷重になってバランスを崩しやすい。サンドでは大きく腰を引いて腕を伸ばし、後傾姿勢を取る。ただ、腕や足が伸びきるとバイクをコントロールしにくくなるので注意。

サンドライディングによくありがち もしも埋まってしまったら…?

車速を落としてタイヤが砂に埋もれてしまったら、バイクから降りてリカバリーしよう。一度埋もれたタイヤは左右に振って溝を広げてから引き出す。無理にアクセルを開けてバイクに乗ったまま脱出しようとしても、ますます穴が深くなってしまうばかり。そんなときにこの力技は有効なのだ。

インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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