
掲載日:2009年04月20日 オフロードライテク講座 › 林道ツーリング実践テクニック
軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。
林道を走っていると、路面から石が大きく出ている、大小の石が転がっている場所がある。そんなガレ場を無警戒で走っていると、バランスを崩して転倒するか、フロントタイヤがパンクしてしまう。障害物のあるダートを走るときの基本は、フロントタイヤの荷重を抜く、抜重という動きだ。これを発展させるとフロントアップにつながる。
抜重やフロントアップに加えて、石がない場所を選んで走る、もしくは多少の石なら乗り越えてしまう、というライン取りの判断も、ガレ場走行に必要なテクニックといえる。
「最近のオフロードバイクはサスペンションがしっかりとしているので、こぶし大の石なら簡単に乗り越えられます。でも、石は滑りやすく、乗り越えるときにバランスを崩しやすい。また、尖った石だとパンクする可能性もあります」とユウタロウ講師。
それらのリスクを回避するためには、徹底的に石を避けるか、ある程度の石はフロントアップして乗り越えるか、という選択になる。
「基本はバランスをキープしやすいストレートラインです。あまりジグザグに走るよりは、なるべく石の少ないラインを選びつつ、石のあるところだけ抜重かフロントアップをする。上級者になるほど、乗り越えられる石のサイズが大きくなるので、ストレートラインを取りやすい。逆に、ビギナーは無理をして石でつまずくよりは、余裕の持てるスピードまでスローダウンして走るといいでしょう。無理は禁物です」
石を乗り越える感触に慣れれば、抜重(もしくはフロントアップ)のタイミングもおのずと身に付いてくるのだ。
不整地を走るために作られたオフロードバイクは、多少の石なら難なく乗り越えられる。しかしそれにも限界があるので、どのぐらいの大きさまでなら乗り越えられるのかを把握しておく必要がある。これは上り坂、下り坂でも違う。また、フロントアップするか、軽く抜重するかでも乗り越えられる石の大きさが違ってくる。それらの要素が自分のテクニックと複雑に関係する。石の大小に目を向け、それを乗り越えたときのショックやタイヤの滑り具合を肌で感じ取ることが重要だ。
ガレ場でバランスを崩すと、転倒しないように足を着こうとする。大きな石に足を着けば、足を大きく伸ばさなくてもよいのでリカバリーしやすい。しかし、このときに足の置き場をしっかり見ておかないと、石につま先やスネが当たってたいへん危険。冷静に、慌てない走りがガレ場では求められる。そのためにも、まずは余裕のあるスピードでアプローチするのが基本だ。
フロントタイヤが大きな石に当たるとき、身近な石に足を置いて転倒を防ぐ。ガレ場の石はこんなふうに利用することもできる。しかしスピードが出ていると、足を着くタイミングがずれて、足を石に強くヒットしてしまうというリスクもある
タイミングが合わずに、石に当たってしまった悪い例。ブーツを履いているとはいえ、ケガをする可能性がある。極低速以外は足を出さないほうがいい。
石を避けるか、それとも乗り越えるか。その判断をするためには、石の位置と大きさを素早く確認して、自分の技量と照らし合わせる。いろいろなガレ場を走ることで、その判断は早く、正確になっていく。慣れてきたら、少しずつ大きな石を乗り越えることにトライしてみよう。
バランスを取りながら石の間を縫うように走る。このとき、極低速なら足を着いても問題ないが、スピードを出しているなら足を出さない。
石に乗り上げるときは、ハンドルをまっすぐにするのが基本。その上で、ハンドルバーを引き上げるように、ライダーの上半身も後へ引きながらアクセルを開ける。たとえタイヤが上がらなくてもフロントタイヤの抜重ができるので、石に当たったときのショックは大幅に和らぐ。
ガレ場はバランスを取るのが難しい。だが、写真の悪い例のように両足をバタバタと泳がせてしまうと、さらにバランスを取るのが困難になってしまう。バイクはライダーがステップの上で踏ん張っていないとバランスを崩しやすい。バランスを取るのが難しいときほど、無闇に足を出さずにステップ荷重を意識しよう。
石が多いガレ場で転ぶと、土よりもはるかにダメージが大きい。また、倒れたバイクを引き起こすだけでも体力を消耗する。ガレ場の基本は、転倒を避けて確実に走るということだ。もし転倒をしてしまいそうになったら、無理をしてバイクにしがみつくよりは、早めに諦めて転倒時に挟まれないよう身を引き、大きな石に当たらないように気をつけよう。写真のように大きな石にバイクを当てると、ラジエター破損などのトラブルもあり得る。
石はとても滑りやすいので、ブレーキングも難度が高い。フロントタイヤが滑るのを警戒して、おそるおそるフロントブレーキを使うぐらいであれば、最初から使わないと決めておいたほうが、ブレーキ以外の動作に意識を集中できる。
1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!