林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.03】雨の日の林道でアタフタしないための実践テクニック!

掲載日:2009年02月10日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

雨が降ったときは道の真ん中が走りやすい

麓は晴れていたのに、林道の入口に着いた頃にはガスっていて雨もパラパラ、なんてことがツーリングをしていると珍しくない。雨の日の林道で気をつけなければならないのは、ワダチにできた水たまり。林道の水たまりは、石が隠れていないか、ドロがたまって滑りやすくなっていないか、と注意しなければならない。オフロードバイクに乗っていると、水たまりに突撃して、勢いよく水しぶきが上がるのを楽しむ、なんて走りもできる。でも、林道だと大小さまざまな落石が日常茶飯事。水たまりに隠れた石にフロントタイヤがヒットすると、転倒してしまう恐れもある。

水たまりの次に注意すべきは視界の悪さだ。標高が高い山だと雨天時は霧によって視界が悪化する。また、夏から秋にかけては写真のように生い茂った草木によって路面が見えにくく、ハンドルバーにからみついてくる。

「バイクは林道でもキープレフトが原則です。でも、これだけ水たまりが深くて草も伸びているときは、道の中央を走るのがもっとも安全。キープレフトをしようとすると、ワダチにできた水たまりを避けられないし、草が視界に入って走りにくい。対向車が来ないことが十分に確認できるときなら、路面がもっとも荒れていない真ん中ラインが走りやすい。ただ、真ん中ラインでバランスを崩すと、水たまりに足を着くことになってしまいます。だから、足は着かないようにバランスを取るのがチビテクの基本です。足を着くことを考えると、オフロードで大切なバランス力を養う気持ちが無意識のうちに薄くなってしまうんです。足を着かないように、なるべく余裕のあるスロースピードで走るほうがいいですね」

雨が降るとクルマのワダチが水たまりに

クルマの交通量が多い林道は、自然と4輪の幅である路面の左右にワダチができる。とくにジャリなどを入れて整備していない土の路面は、クルマやバイクの走行によってくぼみができやすい。ここに雨水が貯まると水たまりになってしまうのだ。林道にある水たまりがやっかいなのは、落石がかくれている場合だ。また、落石でなくても水のなかにある石は表面がとても滑る。水たまりを走るときには、チビテクの基本である「足を着かない」「バイクはまっすぐ」を意識して走ろう。

キープレフトのラインを走ると、クルマの走行によってできたワダチの水たまりに突入することに。石があるかもしれないのでスローダウン。

次の水たまりにアプローチするとき、草がジャマで路面がほとんど見えない。しかも、運が悪いことに…

ドロドロの土や濡れた草はとても滑りやすい。ブレーキをかけても止まりにくいので、雨の日は余裕のあるペースで走るのが鉄則!

草で見えない水際に大きな石があった

草で見えない水際に大きな石があった

草をかき分けるように進むと水たまりが連続で待ちかまえている。ひとつ目をスルーすると、その次の水たまりの際に石があった。ゆっくりとアプローチしたので転倒することはなかったが、ライダーからはまったく見えなかったのでノーマークだった。もしこの石の上でブレーキをかけるとタイヤが滑って転倒してしまう。それを避けるためにも、なるべくスピードを落としてブレーキをかけない走りをする。また、バイクはまっすぐをキープするべし。

キープレフトで林道を走行。水たまりや伸びた草で走りにくい。雨が降っていたので水たまりは透明度がなく、石が潜んでいてもライダーには見えない。

ワダチのないセンターラインが安全

中央ラインだと草と接触することもないので気が散ることもない。霧によって10m以上先を見通せないので、スピードを落として慎重に走る。こういった滑りやすい路面では、なるべくフロントブレーキを使わないようにする。スピードのコントロールはあくまでリアブレーキ。フロントブレーキも必要なときは、ブレーキを引きずるぐらいのソフトな入力で、滑りを予防する。

水たまりを避けて中央ラインをキープ。土の路面はドロドロで滑りやすいが、水たまりよりは路面が見えるので状況をつかみやすい。スタンディングなら滑りやすい路面でもバランスを取りやすく、目線が高いので視界を確保しやすい。腕の力を抜いてリラックスすると効果的。

路面コンディションが読めないときはスタンディングがキホン

今回のように中央ラインをキープしたいときは、低速でもバランスを保ちやすいスタンディングが適している。また、もし石に乗り上げても手足をサスペンションのように使えばショックを吸収しやすい。これはオフロード走行のキホンだ。今回のようなシチュエーションはもちろん、ガレ場などのバランスを崩しやすいところでは特に有効だ。どちらもなるべくバイクをまっすぐにして、タイヤのグリップを最大に保つと滑りにくい。

インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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