林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.02】カチコチの路面に冷や汗をかかないためのテクニック!

掲載日:2009年01月14日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

春先の日陰は凍土やアイスバーンがテゴワイ

「林道ツーリングの帰りに、派手な転倒をしたことがあったんです。というのも、コーナー出口の路面が黒く見えたので、雪解け水で濡れているのかと思ったらアイスバーンだったんですよね。なす術もなく転びました。痛かったですね。ちょうど3月だったかな」

というユウタロウ師範。エンデューロのトップライダーである師範ですら、アイスバーンにオーバースピードで進入すると転倒してしまうのだ。日中でも日陰になっていることの多い林道では、雪が解けずに残っていたり、凍結していることもある。

「路面がずっと先まで雪で覆われていたら諦めるけど、ほんの短い区間だけってことも多いですよね、春先は。ちょっとの雪のせいで目的地にたどり着けないのって悔しいじゃないですか。だから雪や凍結路面の走り方を覚えておくとツーリング先で行動範囲が広がりますよ」

雪やアイスバーンは、低速でなるべくアクセルをパーシャルに保つのが基本だ。フロントブレーキは転倒のリスクが大きいのでなるべく使わず、エンブレで車速を落とす。ただ、1速まで落としてしまうと効き過ぎるので、2速や3速と高めがいい。もちろん、クラッチを使ってソフトにつないであげることも重要だ。下りだとフロントタイヤが横滑りをするので、腰を少し引くと安定する。

「凍土や雪はマディと同じようにバイクを垂直に保ち、両足を踏ん張って荷重をかけるのがコツ。するとトラクションが増して滑りにくくなるんです。ライダーも足が滑ってバイクを支えられないから、滑りやすい路面こそ足を着かないように心がけておきたいですね」

それでは、いくつかのシチュエーションを想定して細かくレクチャーしていこう。

凍土はタイヤが刺さらない

寒さのため土が凍っている凍土は、まったくといっていいほどタイヤのブロックが土に刺さらない。そのため氷ほどではないが、グリップが低い。また凍土のやっかいな点は、凍っているのか、そうでないのかの区別が見た目でわかりにくい。日陰では普通の土のように見えても、実際に走ってみると、写真のようにタイヤが空転してしまうほどカチコチだったりする。

凍土はタイヤが刺さらない

ノーアクションで凍土や氷結を通り過ぎる

凍土ライディングのコツは「急ブレーキをかけない」「バイクをなるべく寝かせない」といったマディ路面と似ている。ただ、マディは遠くから見ても路面コンディションが見分けやすいのに対して、凍土は近づかないとわかりにくい。写真のように、これくらいの距離まで接近してやっと水たまりが凍っているのが見える。ということは、土も同様に凍っていることが推測できる。

バイクは垂直にキープ リアにトラクションをかける

氷のように滑りやすい路面こそ、ステップの上に足を載せてトラクションをキープする。バランスを崩して足をバタバタと泳がせてしまうと、さらに荷重がタイヤから逃げてしまう。ステップを下へ押しつけるようにバイク上で踏ん張ると、トラクションが増すので滑りにくくなる。

足をバタバタと泳がせると荷重が抜けてトラクションしない

写真のように、ステップから足を離すとリアタイヤへの荷重が抜けて滑りやすくなる。これは滑りやすい路面ほど顕著に表れる。転倒を恐れて足を出すと、よけいにバランスを崩しやすくなってしまうのだ。オフロードの基本はステップ荷重によるトラクションの確保といえる。

フロントブレーキは使わずレバーも握らない

非常に滑りやすい路面では、フロントブレーキの使用にシビアなコントロールを強いられる。ベテランライダーは微妙なレバータッチが可能かもしれないが、ビギナーは最初からFブレーキを使わないほうがいい。そして、どうせ使わないなら、レバーから指を離してグリップをしっかりと握ることに集中すると、操作がひとつ減るので他のことに集中できる。

凍ったワダチに足下をすくわれる

水たまりが凍結しているようなシチュエーションでは、土も凍っている。平らな路面ならいいのだが、ワダチの形のまま凍っていると、タイヤが段差に引っかかってしまうことがある。まるで石のような障害物といえるのだ。見た目は土と変わらないので警戒心が薄いのが危ない。凍結した水たまりを避けようとレーンチェンジをしたとき、足下をすくわれないように気をつけよう。

凍ったワダチに足下をすくわれる

春先だと写真のように圧雪された部分が氷になっていたり、氷が溶けてアスファルトが見えていたりと、同じ場所でも微妙にコンディションが違う場合がある。こんなときは対向車を確認しながら、もっともグリップするフカフカの雪ラインを選ぶと走りやすい。逆に、もっとも滑るのは氷の上。特に下りだと、なす術もなく転倒してしまうこともあるので要注意だ。モタードのドリフトはコーナー手前で急激にシフトダウンしてテールスライドのきっかけを作る。それと一緒で、氷のように滑りやすい路面では、エンブレを効かせるだけでタイヤが滑り出してしまうこともある。滑りやすい路面ではブレーキングはもちろん、急なエンブレにも要注意だ。半クラッチをあてるか、上りならちょっとだけスロットルを開けてエンジン回転数を合わせると良いだろう。

インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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