
掲載日:2009年02月03日 オフロードライテク講座 › オフ走行の基礎テクニック
Gとは重力加速度(gravity)の略称。ここでは「スピードレンジを問わずに感じられる荷重の変化」のことを指す。「このGをライダーが積極的にコントロールすることで、オフロードバイクの楽しさは広がっていく」とは三橋選手のお言葉。オフロードライディングをより楽しむためのテクニック、それがG RIDEなのだ。
クラモチ 「ダウンヒルはバイクが勝手に加速するから怖いんですよ。ブレーキングしてもギクシャクして転げ落ちそうになるし…」
と、いきなりぼやくクラモチ。下り坂でフロントサスが大きくストロークして、見るからに転けそうだ。
三橋 「ダウンヒルでは、坂を下ろうとする力がつねにバイクに掛かっているから、アクセルを閉じていても、ブレーキをかけなければ加速状態になる。それなのに、なぜかブレーキをかけないまま坂に進入する人が多いんだ」
という三橋さんの解説を聞いたクラモチは
クラモチ 「あ! ブレーキをかけながら下り始めればいいんだ」
と、いきなり目から鱗が落ちたようだ。
三橋 「ダウンヒルでは、ノーブレーキ=アクセルオンなんだ。それで自分の予想以上の加速状態になって、慌ててブレーキレバーを強く握って急ブレーキ。で、バランスを崩しそうになって、今度はブレーキレバーを放してしまう。こんなレバー操作をするからギクシャクしてしまうんだ。ダウンヒルはブレーキレバーを握った状態で坂に進入して、そこからブレーキレバーをゆるめて坂を下っていくんだ。ブレーキパッドがローターに食い込む感触をレバーで感じながら、タイヤの転がり方が一定になるように、ブレーキレバーの握り具合を調節してみよう。坂の斜度が変化してもバイクを加速させないように坂を下っていくのがポイントだよ」
ブレーキをかけながらゆっくり坂を下るクラモチ。
クラモチ 「うまく下れないけど、さっきより怖くない!」
リアブレーキだけの場合
アクセル全閉で下りているのに、リアタイヤはロックしている。ダウンヒルはリアブレーキだけでは止まれない、ということだ。
フロントブレーキだけの場合
バランスは崩れていないが、リアタイヤがロックしている。つまり、リアブレーキでは止まれないから、フロントブレーキでスピードをコントロールするのだ。
斜面にフロントタイヤだけ落とし、フロントブレーキだけで停止している状態と、その状態からリアブレーキをかけたところ。リアサスが縮み、リアまわりが下がっているんだ。リアサスが縮むということは路面にGをかけているということ。つまり、ダウンヒルでリアブレーキを使うと、路面にリアタイヤを押しつける=トラクションをかけることができるんだ。ただし、リアブレーキをロックさせないようにかけることがポイントになる。
生徒クラモチのダメダメな例
軽く踏んでいるつもりでも、すぐにリアタイヤをロックさせてしまうクラモチ。この後ハンドルも切れて、さらに怖い思いをしてしまった。
三橋センセイのお手本
タイヤの転がり方が一定になるようフロントブレーキでスピードをコントロールするには、ブレーキパッドがローターに食い込む感触をブレーキレバーで感じながら、加速も減速もしないようにブレーキレバーを微妙に動かすようなレバー操作をする。そしてリアブレーキをかけて、リアタイヤを路面にグリップさせる。リアタイヤをロックさせないためには、ブレーキペダルに触るくらいの感じでO.K.だ。このブレーキングがG RIDE流ダウンヒルの極意だ。
平地で加速状態にあるバイクはリアが下がり、フロントが上がるGがかかるけれど、これはダウンヒルでも同じ。だからダウンヒルの途中でブレーキレバーを放してバイクが加速すると、フロントサスが伸びる。そこでフロントブレーキをかけすぎると、今度はフロントサスが縮む。
フロントサスが一定のまま坂を下っている。これはバイクが加速も減速もしていない状態、つまりタイヤの転がり方が一定になっている。注意するのは、タイヤの転がり方を一定にするためのレバー操作は、一定ではないということ。握る放すではなく、あらかじめ握っておいたレバーをジワ~とゆるめるような感じで操作しよう。
2007パリダカ・市販車無改造クラスで優勝を果たしたのは記憶に新しいところ。四輪ドライバー転向前は、BAJA1000、UAEラリー、ラリーレイドモンゴル、パリダカなどの海外レースで輝かしいリザルトを残してきた。豪快かつ繊細なライディングは未だに健在。
GARRRR編集スタッフではあるものの、オフロード経験はほぼゼロ。学生時代にカッコイイという理由で購入したKDX200SRも半日で焼きつかせてしまい、その後もストリート・オフローダーとしてRMX250S、DT200WRと乗り継いできた2スト好き。
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