掲載日:2019年05月28日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/佐川 健太郎 撮影/山家 健一
モト・グッツィの伝統である空冷縦置きVツインOHV2バルブの基本レイアウトを踏襲しつつ仕組みと素材を刷新。最高出力80ps/7,750rpm、最大トルク80 Nm / 5,000 rpmを誇り、3,750 rpmで90 %のトルクを発生する。クランクシャフトやコンロッドも完全新設計とし、従来のエンジンに対して約30%軽量化。振動を減らしスロットルレスポンスも向上させた。
新設計クランクケースは高剛性に加えフレーム接続部の強化などにより、フレームの強度メンバーとしての役割も果たしている。セミドライサンプ方式を採用し、クランクケース室を完全隔離することでドライサンプ特有のパワー損失を改善。
ブレーキはフロントφ320 mmダブルディスクにブレンボ製対向4ピストンとラジアルマウントキャリパーを組み合わせるなど本格的。リアブレーキはφ260 mmディスクに2ピストンキャリパー。マルチマップタイプのContinental製ABSシステムによって制御される。
サスペンションはオンロード快適性とともにオフロード走行にも対応する前後170 mmのホイールトラベルを確保。φ41 mmのフロント倒立フォークとリザーバータンク別体式リアショックを組み合わせ、ともにプリロードと伸び側ダンパーの調整が可能となっている。
スイングアームを兼ねた独特のシャフトドライブ構造が印象的。リアショックは右側1本で支えるタイプで、リンクを持たない軽量シンプルなカンチレバー方式を採用。タイヤはデュアルパーパスタイプの定番、ミシュラン「アナキー」を装着する。
1996年のNTX650や1989年のQuota1000にも採用されてきた、モトグッツィ伝統のデュアルヘッドライトはLED化され、スモークスクリーンとアップフェンダー、ハンドガードを備えたアドベンチャーらしい風貌へと洗練された。
フロントとイメージを統一したデュアルタイプのテールランプを採用。テールセクションのトラス構造パイプはプロテクター兼サイドパニアやリアキャリアを取り付けるステーのベースとして、またグラブバーとしても使えるなど機能的。
400 kmの航続距離を実現する21リッタータンクは80年代ラリーマシンの伝統を再現した迫力のデザインで、フォークとの干渉を避けるフロント部の逃げやエンジンヘッド上の凹みなど細部まで入念に作り込まれている。
座り心地とホールド感に優れるシートはバックレスト付きで腰も楽。その形状からもオフロードよりもロングツアラー向けであることが分かる。多目的に使えるトラス構造のリアセクションがカッコいい。
メインキーで簡単にシートを取り外しできて、シート下には簡単な車載工具やその他小物が入るスペースも確保され、バッテリーにも直接アクセスできるなど、昔ながらのオーソドックスな作りにホッとする。
ステップまわりはアルミ製ダイキャストパーツがふんだんに使われ高級感たっぷり。長年の改良の積み重ねによりシフトタッチも向上している。オフロード用にステップバーのゴムは取り外し可能だ。
現代的なTFTフルカラーディスプレイを採用。各種インフォメーションおよび3種類のライディングモード(Road、Rain、Off-road)はグリップ手元のスイッチで簡単に呼び出すことが可能。メーター左側にはUSB電源ポートを装備。
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