
掲載日:2017年06月10日 試乗インプレ・レビュー
試乗ライダー・レポート/小川浩康 写真/長谷川 徹 記事提供/ロードライダー編集部
ヴェルシス-X250ABSは、KLX125以来7年ぶりとなるカワサキトレールのニューモデルだ。ヴェルシスシリーズは海外では、1000、650、300、250がすでに販売されているが、日本ではダートでの扱いやすさ、維持費の安さなどからクォータークラスの人気が高い。そうしたこともあって、国内モデルは250のみのラインナップとなったようだ。
そのヴェルシス-X250ABSのエンジンは、ニンジャ250のパラレルツインをベースとしているが、ダートでの扱いやすさと高速巡航性能の両立を狙って低中速トルクを増強しつつ、高回転までスムーズな特性へとチューニングされている。その結果、ニンジャを上まわり、かつ250トレールクラス最高となる33psを発揮する。
さらに、大型ウインドシールド、容量17Lの燃料タンク、シート座面と面一となるリアキャリアといった長距離移動に貢献する装備を完全新設計のバックボーンフレームに搭載。フロント19インチ、リア17インチのホイールには未舗装路での衝撃吸収性を考慮してワイヤスポークを採用するなど、開発コンセプトである「快適にツーリングを楽しむこと」を具現化する作り込みとなっている。
完全新設計のバックボーンフレームは多方向からの衝撃に強く、タンデム走行や荷物積載にも対応している。タンデムシートと一体化されたシートはワイドで座り心地も良好だ。グレーとライムグリーンの2色をラインナップ
そんな250トレールとしては稀なパラレルツインを搭載していることもあって、車格はミドルクラスに迫るほど大柄になっている。だが、815mmとシート高はヤマハ・セロー250よりも低く抑えられているので足着き性は抜群。ライディングポジションも自然にアップライトに決まるディメンションになっているので、見た目ほどの大きさは感じない。
さらに驚かされたのが、クラッチミートした瞬間だ。クラッチレバー操作がとても軽く、トルクもスロットル開け始めから立ち上がるので、走り出しも見た目以上に軽やかなのだ。
そこから高回転までスムーズで、この時にツインらしいパルス感はないが、逆に、回転上昇の滑らかさは特筆もの。ウインドシールドの防風性もよく、高速道路では250の非力さを感じない快適な巡航ができる。6速での100km/h巡航時は8,000rpmで、レッドゾーンまで4,000rpm残っている。エンジンに余裕があるので負荷も少なく、不快な振動も発生しないのだ。
そんな軽快な走りはダートでも発揮される。フロント19インチホイールは深い水たまりなどの段差ではゴツゴツ感があるが、フラットなダートではニュートラルなハンドリング。前後サスペンションのストローク感も硬すぎず柔らかすぎないので、車体の挙動変化も大きくなりすぎない。さらに足着き性も抜群で、車重もリッタークラスほど重くないから、大きくバランスを崩す前に足を着いてリカバリーできる。こうした扱いやすさは誰でも感じられるので、ダート未経験者も楽しめる。冒険心に応えてくれるアドベンチャーマシンなのだ。
タンデムライダーの快適性も考慮した大型ウインドシールドと、カワサキクォーター初搭載となるギアポジションインジケーターを装備した多機能メーターはフレームマウントされ、機能性と軽快なハンドリングを両立している
パラツインエンジンはニンジャ250ベースで、信頼性に定評あり
フロント19インチ、リア17インチホイールには独自のトレッドパターンのチューブタイヤを装着。林道程度なら不足のないグリップ力を発揮する。ディスク径はフロントφ290mm、リアφ220mm。ABSユニットを標準装備するが、カットオフ機能はない
過剰なバックトルクを制御するスリッパークラッチは、従来より少ない力でクラッチプレートを圧着でき、スプリングのバネレートも弱くできる。レバー操作が軽くなり、軽い操作感は車重も軽く感じさせる。ダートで扱いやすく、長距離走行時の疲労も軽減してくれる
エンジンガード、ハンドガード、パニアケース、DC電源ソケット、センタースタンドを標準装備(フォグランプは別売り)したロングツーリング向けVERSYS-X250ABS TOURERもタイプ設定。ライムグリーンのみでメーカー希望小売価格:68万3,640円
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