【カワサキ ヴェルシス 1000 SE 試乗記】バイクの楽しさはそのまま、疲れを軽減するSHOWAスカイフックテクを採用した2021年式欧州モデルをインプレッション

掲載日:2020年10月15日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/ 和泉 拓 写真/稲垣 正倫

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KAWASAKI VERSYS 1000 SE

国内では2012年からのラインアップとなるVERSYS 1000が、2021年にモデルチェンジする。SHOWAのスカイフックテクノロジーを二輪車として初採用した話題のモデルをインプレッション。

リッター入門者にもやさしい
エンジン特性

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今回インプレッションで試乗できたのは一足先に発表された欧州モデル。SHOWAのスカイフックテクノロジーが搭載されることもあり、国内発表がまだにも関わらず国内で体験できる貴重な機会を得た。

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「ヴェルシスのイメージって重くて直線番長でアイドリングがタルくて、みたいな感じだったんです。1000ccの4気筒アドベンチャーって、なかなかないと思うんですけど、トルクのどんつき感もないし、ものすごくスムーズにエンジンが回る。2000回転くらいだと開けてもすぐについてこないから、とても開けやすいですね。Uターンなどの繊細なスロットル操作が求められるシーンでも、安心なエンジン特性だと思います」と和泉。

カワサキ ヴェルシス1000 SE 特徴

フロント17インチだけど
19インチのような感触

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VERSYS1000SEのタイヤサイズはフロントが120/70-17、リアが180/55-17。同クラスのBMW S1000XRやヤマハTRACER900もほぼ同サイズのため、これは実にベーシックなサイズと言えるだろう。しかし、実際に走ってみると和泉の感想はこうだ。

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「フロント17インチって、コーナリングで倒しこむとすごく切り込んでいくイメージがあったんですけど、これは試乗コースの定常円のコーナーでハンドルに力を入れずにリーンインしてみても全然切り込んでいかないんです。まるで19インチのようなフィーリングでしたね。でも17インチの幅120mmタイヤだからグリップ感はすごくしっかりしているし、ハンドリングもいい意味でタルい。重心が低いのか、さほど重さも感じませんし、シールドの防風性能が本当に優秀です。身長185cmの僕でもちょっと伏せるだけで全然風があたらない。これは長距離ツーリングをものすごい楽にさせてくれます」

カワサキ ヴェルシス1000 SE 試乗インプレッション

バイクの楽しみを残したまま
長距離ツーリングで確実に効いてくるサス

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今回、二輪車として初採用されたスカイフックテクノロジーが組み込まれた電子制御サスペンションにより、さらなる走行性能と快適性を実現。具体的には電子制御により、サスペンションの減衰力を調整、路面の凸凹から受ける衝撃をしっかり吸収し、最小限に抑えてくれる。バイクのばね上重量がまるで空からフックで吊られているかのような安定感があるということで、この名前がつけられているのだ。

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「ABSやトラクションコントロールみたいに、スカイフックが搭載されているサスだから明らかに違う、という機能ではありません。あくまで自然に、違和感なく効いてくれるからこそ、素晴らしいんです。ちょっと乗るだけだと今までと変わらないサスなのに、1日に1000km走るようなテストをしたら、明らかに違いがわかるでしょう。長距離ツーリングって、走行時の細かい微振動がものすごく疲労として蓄積するんですよ。ヴェルシス1000のようなロングツーリング向けのマシンにこそ搭載されて然るべき機能ですね」と和泉。

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バイクという乗り物が楽しいのは、ある程度のピッチング(前後方向の揺れ)があるからだ。例えばコーナーの進入でブレーキングをすればフロントサスペンションが縮み前傾になるし、加速時にはリア荷重のために後ろよりになる。もしこれらの動きを全てサスペンションで吸収できてしまえば、真の意味で疲れない快適なバイクができるかもしれない。しかし、それは決して速くもなければ楽しくもないだろう。このスカイフックテクノロジーは、あくまで自然なバイクの乗り味を維持したまま、長距離で蓄積してくる細かいギャップによる疲労のみを軽減してくれているのだ。

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さらにフロント17インチホイールのアドベンチャーにしては、サスペンションのストロークが長く、若干オフロードも走れる味付けになっている。「サスペンションのストロークはそれなりにあるのですが、それは悪路を走行するためではないんだと思います。そもそもそういうバイクではありませんし。大きく、ゆったりピッチングする乗り味とか、オンロードのちょっとしたギャップを吸収するための懐として、ストロークをうまく使っているんでしょう。さらに17インチホイールの安定性のおかげで直線でもコーナーでも安定感があって、シート高も低くて安心できるという、いろんなバイクのいいとこ取りな感じですね。フロント21インチのアドベンチャーバイクだと直線でスピードを出すとわりと早い段階でシミー現象が起きてしまいますから」

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このように2021年モデルのVERSYS1000SEはスカイフックテクノロジーを搭載した電子制御サスペンションとやさしいエンジン特性があいまって、全体的にライダーが疲れないようによく設計されたバイクなのである。今回試乗した車両は欧州発売モデルとのことで、国内での発売時期や価格は未定ではあるが、そう遠い未来の話ではないはずだ。

カワサキ ヴェルシス1000 SE 詳細写真

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フロントカウルは幅広でウインドプロテクション効果も持ち合わせている。2012年に登場した特徴的な顔の初期型から2015年にNinjaシリーズに似た顔に変更され、2019モデルから現在の顔に。

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高速道路などで風から身体を守り疲労軽減に一役買う大型アジャスタブルスクリーン。内側に設置されている2つのノブを回すことで55mmの範囲内で無段階に高さを調整可能。

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現行モデルから引き続きSEモデルに装備されているLEDコーナリングライト。左右それぞれに3灯が配備され、車体のバンク角に合わせて点灯、夜間のコーナリングの安全性を高めてくれる。

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フロントタイヤは120/70-17サイズを採用。ブレーキは310mmの大型デュアルディスクで、キャリパーには異径対向4ピストンラジアルマウントモノブロックキャリパーを採用。優れたレバーフィーリングを実現している。

【カワサキ ヴェルシス1000 SE 試乗記事】3代目に進化したオールラウンドツアラーの14画像

ディスプレイ機能はタコメーターをアナログで残し、速度やその他数値はTFT液晶デジタルで見やすく表示。燃費や航続可能距離だけでなくバンク角やアワーメーター、フロントブレーキ圧計なども備えている。

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150mmロングストローク、φ43mmのフロントサスペンションはSHOWA製倒立カートリッジタイプ。オンロードでの細かなギャップをしっかり吸収し、荒れた舗装路でのコーナリングでも不安感を払拭させてくれる。

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2021年モデルからサスペンションの電子制御システムに採用されたSHOWAのスカイフックテクノロジー。路面の凸凹に合わせてサスペンションの減衰力を調整することでショックを吸収し、まるで空から吊られているかのような快適性を実現している。

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ディスプレイやモードなどのコントロールスイッチが集約された左手スイッチボックス。クルーズコントロールやハザードスイッチ、グリップヒーター、リアショックのプリロードなど様々な操作がここで行える。

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リアサスもフロント同様にスカイフックテクノロジーによるアップデートを受けている。さらに電子制御リアプリロード調整機能を搭載。重い荷物を積載する時やタンデム時に簡単にプリロードを変更することが可能。

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エンジンは1043ccの水冷4気筒を搭載。特に低中速域のトルクが厚く、低回転域でのクルージングから中高回転域のアグレッシブなライディングまで幅広く楽しめるような特性。

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