カワサキ DトラッカーΧ
カワサキ DトラッカーΧ

カワサキ DトラッカーX – 峠へ向かうロングランが快適なスポーツツーリングマシン

掲載日:2016年06月30日 試乗インプレ・レビュー    

テストライド/小林直樹  写真/長谷川徹  まとめ/小川浩康
※この記事はオフロード雑誌『GARRRR』の人気企画『小林直樹のオフロードバイク・テイスティング』を再編集したものです
※記事の内容は雑誌掲載当時のものです(GARRRR vol.291 2010年07月発売)

KAWASAKI D-TRACKER X DATA FILE

カワサキ DトラッカーXとは

セルなしのDOHCエンジンを高剛性ペリメターフレームに搭載した「闘う4スト」KLX250SRが1993年に登場。その後、セルを搭載しKLX250へとモデルチェンジ。そして、オフロードバイクをベースとしたオンロードレース「ターミネーターズ」が盛り上がりを見せていた1998年に、KLX250に前後17インチオンロードタイヤを装着した、メーカーメイドのモタードモデルの元祖、Dトラッカーがリリースされた。オフロードバイクの軽量さと、オンロードタイヤのグリップ力は舗装路で快適な乗り心地を披露し、Dトラッカーは発売早々スマッシュヒットとなった。そして、多くのフォロワーを生み出したDトラッカーは、2008年のモデルチェンジでDトラッカーXへと進化。スイングアーム、リアサスリンクを新設計し、前後サスも専用チューニングが施されている。エンジンに目新しさはないものの、コストパフォーマンスにすぐれたバイクに仕上がっている。

足着き性

シート高はKLX250から30mm下がっている。マシンを直立させていれば、路面を問わず高いタイヤグリップ力を発揮してくれるので、またがってみてもふらつく感じがない。ポジションもニュートラルで、シッティングとスタンディングの両方とも決まりやすい。だから身長が165cm程度あれば、足着き性には余裕を感じられるだろう。ちなみにおれは身長170cm、体重は70kgだが、片足をべったり着くことができた。シュラウドの張り出しに少し威圧感があり、タンク幅を広く感じてしまう。ライディング中にシュラウドに引っかかったことはなかったけれど、がに股になって、つま先が外側に開いてしまい、ステップを踏みにくいと感じることもあった。また、KLX250より全長-70mm、ホイールベース-10mmとなっているが、車体を大きく感じることもあった。

IMPRESSIVE POINT

今回のテストでとくに気に入ったのがエンジン特性。インジェクションのおかげで、天気、気温、標高などに左右されず、つねにトルクの出かたが変わらなかった。だから一度、加速していく感じを覚えてしまえば、路面が変わっても同じ感覚でアクセルコントロールしていけるようになる。ライディングに集中できるから、思ったより行けるという感じを受けた。

気になったのはステップに装着されたゴム。オンロードをメインとして考えられているので装着は当然なのだけど、濡れてしまうとすべりやすい。ステップ荷重しにくくなるので、ゴムがなければダートでのコントロールがもっと楽になるだろうと思った。もちろん街中、ワインディング、高速道路では振動をきっちり吸収してくれるので、敢えて取りはずす必要はないと思う。

カワサキ DトラッカーXは こう味わえ!

路面を問わずにしっとりしたハンドリングを発揮し、エンジンレスポンスにクイックさはないけれど、トルクを使えば高回転まで回さなくてもスピードを乗せていける。市街地、ワインディング、高速道路のどこかに特化していないけれど、苦手なところもない。そして林道も通過することができる。さらに4、5、6速のトルク変動が少なく、振動も少ない。こうした乗り味を物足りなく感じる人もいるだろう。しかし、この落ち着いた乗り味はライダーを急かすことがない。だから疲労を軽減してくれて、長時間・長距離を走るのに最適なんだ。大人が長く楽しめるツーリングマシンだね。

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