ヤマハ WR250X
ヤマハ WR250X

ヤマハ WR250X – ワインディングの走りが痛快なスーパーシングルスポーツマシン

掲載日:2016年05月16日 試乗インプレ・レビュー    

テストライド/小林直樹  写真/長谷川徹 まとめ/小川浩康
※この記事はオフロード雑誌『GARRRR』の人気企画『小林直樹のオフロードバイク・テイスティング』を再編集したものです
※記事の内容は雑誌掲載当時のものです(GARRRR vol.284 2009年11月発売)

YAMAHA WR250X DATA FILE

ヤマハ WR250Xとは

2007年11月に登場したWR250Rは、TT250R以来、十数年振りに登場したヤマハのフルサイズ4スト250トレールだ。そのWR250Rと同時開発されたモタードモデルが、このWR250Xだ。エンジン、フレームはオフロードモデルWR250Rと同仕様としているが、足まわりはモタード向けに専用設計。サスストロークは変わらないが、スプリングレートを高め、ダンピング特性も合わせて変更。フロントには298φウェーブディスクを装着し制動力をアップ。それに合わせてマスターシリンダー径、ブレーキキャリパーも変更している。さらに、フロントハブは専用設計の中空タイプを新開発。オンロードでの走行性能に特化したセッティングが施されている。この足まわりに合わせて、ECUマッピングを変更し、エンジン特性もオンロードでの扱いやすさを重視したセッティングになっている。WR250Rより3万円高となっているが、それに見合う内容を伴っている。とはいえ70万円オーバーは財布に厳しい……。

足着き性

WR250Rから25mm下がったシート高のおかげで、身長170cm体重70kgのおれでも、カカトが少し浮くくらいの足着き性となる。シート幅も狭く、車重も軽いから、身長170cm前後であれば不安を感じないはずだ。17インチタイヤとなっているので、すこし前下がりになっているけれど、ハンドルとステップの距離は縮まっていないのでポジションに窮屈さはなく、マシンの真ん中に乗っている感じがする。車高が下がって重心も下がり、ライダーも真ん中に乗っているから、マスが集中している。エンジンを中心にして回っていくように感じられ、それが走行時のコンパクトになっている。ラジエターシュラウドとリヤブレーキの形状がよく、ヒザや足が当たることもない。体重移動もスムーズにでき、スタンディングも決まりやすいポジションになっている。

IMPRESSIVE POINT

どこからでもついてくるエンジン特性もいいのだけど、フロントまわりの剛性の高さがよかった。高速道路でのレーンチェンジや繋ぎ目でも衝撃がなく、ウイリーでフロントタイヤを落とした時にも振られることがない。直進安定性と旋回性のバランスは完璧で、剛性の高さがハンドリングのよさになっているという、いいお手本だと思う。気になったのはシフトタッチ。カチッとした節度感がなく、ギアが入ったかどうか探りながらシフトチェンジすることが多かった。半クラッチも使いにくく、オンかオフになりやすかった。だからといって走破性が落ちるということはないのだけど、シフトタッチがよくなれば、さらにクイックなマシンコントロールができるようになる。WR250Xが持っているポテンシャルをフルに引き出して走りたいおれには、そこが気になるポイントだね。

WR250Xは こう味わえ!

4スト250とは思えないパワーは、高速道路で苦痛を感じるどころか、快適なクルージングを実現してくれる。それだけでも十分魅力的だけど、車重の軽さ、切り返しのクイックさ、アクセルレスポンスのよさを感じられるワインディングは、何よりも楽しい。バンク角を自由自在にコントロールでき、オンロードバイク以上の軽快さで、狙い通りの加速感を味わうことができる。オンロードバイク以上にオンロードでのマシンコントロールを楽しめ、ダートも通過することができる。既存のカテゴリーに、簡単にジャンル分けしたいと思えない、ハイパフォーマンススポーツマシンだね。

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