カワサキ KLX250
カワサキ KLX250

カワサキ KLX250 – バイク任せに走っていける穏やかでしなやかな乗り味

掲載日:2015年12月18日 試乗インプレ・レビュー    

テストライド/小林直樹  写真/長谷川徹 まとめ/小川浩康
※この記事はオフロード雑誌『GARRRR』の人気企画『小林直樹のオフロードバイク・テイスティング』を再編集したものです
※記事の内容は雑誌掲載当時のものです(GARRRR vol.282 2009年9月発売)

KAWASAKI KLX250 DATA FILE

カワサキ KLX250とは

90年代前半のエンデューロレースブームの頃、レースは軽量でハイパワーな2ストマシン勢が主流だった。当時の4ストは重くて非力で走らないというのが半ば定説だったからだ。そんな2スト全盛の93年に、「闘う4スト」のキャッチフレーズを引っさげて登場したのがKLX250SRだ。キックスタートのみで軽量化したボディ、30PSを発生する高回転型の水冷DOHCエンジン、十分なストローク量を確保した前後サスと、それまでの4ストのイメージを覆すほどレーシーな作り込みで、その走りにもアグレッシブさがあった。コツを知らなければかかりにくいエンジンも、カワサキファンの心をくすぐった。しかし、レースブームの落ち着きに合わせるように、98年にセルを装備。2000年にはKLEENを搭載し排ガス規制をクリア。そして、08年にインジェクションを採用。モデルチェンジを経る毎にスパルタンさが薄められ、マイルドな乗り味へと変更されていった。

足着き性

シート高890mmと、数字だけを見ればWR250Rと5mmしか変わらない。しかし、身長170cm、体重70kgのおれがまたがってみても怖さを感じなかった。写真ではつま先立ちになっているけれど、実際に走り出すとサスペンション初期のストロークが大きく、それに伴って沈み込みも大きくなり、数値以上に足着き性のよさを感じることができるからだ。ケモノ道やガレ場といった足場の悪い場所でも、初期ストロークの多さで良好な足着き性を発揮してくれる。トルク変動が穏やかなので体が遅れにくく、マシン挙動自体もマイルドなのでバランスも一気に崩れないという特性と相まって、予想以上の走破性と安心感を生み出す原因になっている。こうした安心感は、身長170cm前後のライダーであればライディングスキルを問わずに感じることができるはずだ。

IMPRESSIVE POINT

今回のテストで気に入ったのは、レバー形状とシートだ。レバーは指に当たる面が丸くて、指が痛くなりにくい。それとおれにはちょうどいい細さなので指を動かしやすく、レバー操作がすごくやりやすかった。シートは硬すぎず柔らかすぎずで尻が痛くなりにくく、幅も広すぎないから足を着きやすかった。長く乗るのに向いている硬さと形状で、ツーリングバイクとしても十分に使えると思った。気になったのはサイドカバーの張り出し。スタンディングで腰を引いたときに足が当たってボディアクションしにくく、バランス修正もしにくく感じた。サイドカバーに角をつけずスムーズな形状にするだけで、張り出しが気にならずボディアクションしやすくなるのだけど。

KLX250は こう味わえ!

フルサイズマシンのサスストローク、しなやかなフレーム、フラットなエンジン特性。これらがどんなシチュエーションでも挙動をマイルドにしてくれるので、トラクションのよさを生かして走れば、予想以上の走破性を発揮してくれる。アクションライディングはしにくいけれど、衝撃吸収性のいいサスと静粛性にすぐれたエンジンが快適な乗り心地を提供してくれるので、長時間のライディングが苦にならない。つまりツーリングバイクとして高い資質を持っているのだ。KLXは「闘う4スト」から「旅する4スト」に生まれ変わったと言えるだろう。

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