AJP モタード125
AJP モタード125

エージェーピー モタード125 – 少し変わったヨーロピアンマシン

掲載日:2014年09月03日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/ダートライド編集部  取材協力/AJP MOTOS Japao
※本取材で使った車両はカスタムされているため、実際の製品版はクローズドタイプハンドガード、アンダーガード、アルマイトステップなどは付きません。

エージェーピー モタード125の試乗インプレッション

エージェーピー モタード125の画像

加速は緩いがトップは伸びるエンジン
柔らかな足回りは路面の凹凸を忘れる

始動はセルモーターとキックが併用だが、日本仕様ではキックアームは取り払われている。というのが、実際に何度も試したが、セルによる始動性がとても良く、バッテリーの経年劣化以外で「アガった」という事態はまず考えられないからだ。ハンドル右側に備わるセルスイッチを押すだけで、一発で始動する。

身長156cm、乗車体重54kgの筆者が跨ったところ、両足つま先がきちんと着いた。車高が全体的に低く、車重も93kg(参考値)と軽いことから、扱い、取り回しはとても楽だ。腰高なオフロードバイクに乗っている感覚はまったくない。

都心の入り組んだ細い道を走り出すと、エンジン辺りから「ポコポコッ」という変わった音が聞こえてくる。これは吸気の音で、エアクリーナーがシート下、エンジン真上にあることから聞こえてくるものだ。カムはタイミングチェーンで駆動しているということだが、ノイズらしきものはまったく聞こえず、メカニカルノイズによるストレスを感じない仕上がりになっている。細かな右左折が続く細い道をゆっくり走っていると、ハンドリングの取り回しの良さが際立つ。トルク感は125ccの並といったところだが、繊細なクラッチワークが求められることはないので、乗りにくさはない。

エージェーピー モタード125の画像

幹線道路に出て少しスピードを上げると、前述のポコポコッはピッチが速くなり、独特のレイアウトを持つAJPならではのサウンドが楽しい。都心の平日でクルマが往来する道を一緒に走って、非力さを感じることはないが、試しにアクセルをガバッとあけると、ドンッとエンジンは付いてこない。ゆっくりとスピードが上がっていき、トップスピードは公道外で試したところ80km/hぐらいまでまで伸びる。

このエンジンの特性は、二車線などの道路では注意がいる。国産の125ccと比べても加速がややゆるやかなので、車線変更をして前のクルマをパスしたり、せせこましく縫って走るという動作は向かない。スーパーモタード=レーシーというイメージを持ちがちだが、そこはやはり125cc。押すか引くかという事態では、間違いなく引いたほうが正解だ。流れに綺麗に乗って、無理をせず、周りの動きを予測しながら加減速をする。そういった乗り方が合っている。

フロントブレーキはローターが240mmと大径だが、ソフトな効きのオフロード用のセッティングをそのまま引き継いだようで、制動力はじわっと効く。また、フロントサスペンションのセッティングも低速オフロード走行向けのままなので、初期から柔らかくストロークする。このサスペンションのスムーズさがアスファルト路面でもとても効果的にはたらいてくれ、走った後で思い返してみると、そこそこ凸凹している路面なのにライダーがそれにまったく気が付かない動きをしてくれた。リアも、なにかのショックで身体が突き上げられることは1度もなく、足回りの仕事ぶりはこのマシンのスピード域にとても合ってる。

エージェーピー モタード125の画像

フロントブレーキとは代わって、リアブレーキは効きの良さが際立つ。非常にコントローラブルで、マシンの制御が機敏にできる。このような特性なので、アクセルを慌ててあけず、流れに沿って走りながら、右足で制動を細かくやることで、クルマ通りの激しい都心でも、危険を感じることはなくなる。

さらに乗り込んで、市街地から郊外に出てみると、信号がなくなりトップスピードを維持できるので、気持ち良く走れるようになる。強い加速がないので、加減速が多い市内はスカッとしないのだが、郊外ではペースを維持しながら走れるので、スーパーモタードらしさが楽しめる。ガソリンタンクがシート下にあるのでバランスが良く、スピードを上げても車体がとても軽快に操れるのも印象的。通常のオフロードバイクはどうしてもガソリンタンクがハンドル手前の高い位置にあり、ハンドリングや車体を寝かせた時やや重さを感じるのだが、AJPに関してはこれがない。大きな利点だろう。

ペースを上げてもサスペンションの動きが破綻することはなく、不安も不満もない。小さくて軽いので、気になる景色があったらパッと脇に止めることも気後れなくできて、コミューター的使いかたもできる。筆者のような小柄な体型で、そして一風変わったスーパーモタード車が欲しい人にはAJPモタード125はとても良い選択肢になるだろう。

なお、輸入車で、しかもあまり聞かないポルトガル製ということで保証やサービス体制を気にする向きもあるだろう。その点はまず、購入後3か月間のメーカー保証が付く。登録車両であれば、最長24か月間のJBR延長保証に加入することもできる。サービスパーツも日本総代理店で体制を整えているということだ。

エージェーピー モタード125の詳細写真は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索