

掲載日:2013年05月10日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/三上 勝久
しかし、そこは125cc。やはり、排気量の大きいモデルに比べると車体はスリムだし、足着きもイイ。これが初めてのオフロードバイク、という人は足着きが悪く感じるだろうが、オフロードを楽しみたいなら最初からこれくらいの車格には慣れておいたほうがよい。とにかく軽快だし、荒れた路面でも不安なくアクセルを開けていける安心感を持っている。
素性の良いそのRR4T 125LCをベースに、本機は185cc化しているのだが、一言で表して……「これは最高の1台だ!」と言わざるを得ない。軽くスリムで自由に扱える車体に、+60ccのパンチは実に効果的。125ccに比べ、さしてエンジンの回転数を上げなくてもしっかりとしたトルク、トラクションで急坂さえなんなく上ってしまう。125ccでもパワフルに感じたが、この185ccではそれに小気味いいトルクが加わって、さらに扱い易くなっている。
ボアアップすると高回転が物足りなくなるエンジンも多いが、このマシンに関してはその心配はない。軽快なフィーリングで天井まで回ってくれるので、ハイスピードライディングでも十分に楽しめる。
実際問題として、アマチュアライダーであれば、よほどのイージーコースでない限り、そしてコースがハードになればなるほど、フルサイズのコンペマシンよりこちらのほうが、速く確実に走れるのではないだろうか。ツキが良く極低速でも粘るエンジンと、軽くコンパクトでスリムな車体。パワー、トルクそのものはコンペマシンに比べれば物足りないが、それだけに扱い易くビギナーでも回して楽しめる乗り味に仕上がっている。回し切ったところで、手に負えないようなパワーはないので、だからこそ速く安全に走れるのだ。
乗っているうちに、ふと思い出したバイクがある。初代セロー(ヤマハ)だ。もちろん、このベータのほうが新しいマシンであるぶん洗練されているが、乗り味としてはあれに近い。軽くコンパクトで、ちょうどいいパワー。初代セローが大幅に軽くなったような乗り味なのだ。
サスは柔らかめのため、大きなジャンプやギャップではそれを見越した走りが必要になるが、それ以外に不満はないだろう。これからオフロードを始める人にはもちろん、トレイルを気軽に楽しみたいベテランライダーまで、誰にでもお勧めできる、イタリアの小粋な「エスプレッソ」だ。
なお、輸入代理店では組み込んだ状態での販売はしておらず、キットの状態での販売で、各専門店での組み込み作業が必要となる。また、ボアアップする事で排気量区分が変わり、公道での使用には各陸運局との協議が必要になるので、輸入代理店としてはレース専用車として位置付けている。
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