

掲載日:2012年10月05日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/三上 勝久 写真・取材協力/HUSABERG
フサベルを知っているだろうか。英文で『HUSABERG』と書くこのブランドは、1989年にハスクバーナのエンジニアたちが独立して立ち上げた、スウェーデン生まれのエンデューロマシンオンリー・ブランドだ。スウェーデン生まれのハスクバーナがイタリアのカジバに買収された際、「自分たちの欲しいバイクを造りたい」と考えたエンジニアたちが立ち上げた、反骨の北欧ブランドである。メインフレーム内蔵のエアクリーナー、驚くほど軽量コンパクト化した4ストロークエンジンなど、ユニークな設計のマシンをリリースしたフサベルは、創業後わずか2年でエンデューロ選手権の世界タイトルを獲得、一躍エンスージアスト垂涎のブランドとなる。しかし高価だったこともあって販売は伸びず低迷。そこにオーストリアのKTMが手を差し伸べ、1995年にKTM傘下のブランドとなったのである。今回スペインでの試乗イベントで、その最新モデル2013年モデルに乗ることが出来た。ここでは、4ストロークエンジン搭載モデルをピックアップしてご紹介しよう。
昨年2011年モデルまでのフサベル・4ストロークモデル(FE390/450/570)は、すべて2008年に発表された前傾70度シリンダーを持つ、特異なデザインのエンジンを搭載するモデルだった。2007年モデルまでのフサベルとは異なり各部にKTMの香りこそするものの、KTMとは別物と言える実験的な設計・デザイン。それは、大きな動的マスを発生するビッグボア・シングルのハンドリングを理想的な軽さにするためのデザインだった。フサベルよりも遥かに多くのユーザー、マーケットを持つKTMではあまりに実験的に過ぎ、具現化出来ないアイデアを盛り込んでいたマシンだと言える。
しかし、この2013年モデルのフサベル・4ストロークエンジンシリーズでは、エンジン、メインフレームとも、すべて2013年モデルのKTMをベースとするモデルに変更された。KTMの2013年モデルが、クランクやピストンなどの改良を受けたことにより、前傾70度シリンダーという特異なデザインをせずとも理想的なハンドリングが得られるようになったから……、とフサベルのエンジニアは言う。
とはいえ、フサベルの独自性がすべて失われてしまったわけではない。口の悪いライダーは「青いKTM」と言うが、それは半分正解であり、半分以上間違いである。
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