
掲載日:2013年05月17日 エクストリーム › モトクロス
文/宮本 将平 まとめ/ダートライド編集部
アメリカの広大な大地にジャンプやアップダウンなどを満載させたモトクロストラックを使ったアウトドアモトクロスシリーズが「LUCAS OIL PRO MOTOCROSS」。このシリーズは全米各地のアウトドアトラックで開催される全12ラウンドで、主に夏期に開催されるため、冬期にスタジアムやドーム内のショートトラックで開催されていたスーパークロスよりもタフで、体力的にもギリギリのラインで戦うのがアメリカのアウトドアモトクロスシリーズだ。また、レース時間やトラックも格段に長く、1日2回のメインレースなのも特徴の1つ。メインレースにエントリーするライダーもスーパークロスのちょうど2倍に当たる40名で、世界中から集まったトッププロたちがタイトル獲得の為に命を賭ける。もちろん、スーパークロスで活躍したトップライダーたちもエントリーする他、毎シーズン、アウトドアからデビューするルーキーもいるだけに、2013シーズンも目が離せないシーズンとなりそうだ。
2013シーズンのアウトドアシリーズは、スーパークロス以上にビッグタレントだらけのハイレベルなシーズンになりそうだ。昨シーズンはほぼすべてのレースに勝利し、圧倒的な強さでタイトルを獲得しているライアン・ダンジー(KTM)がチャンピオンの最右翼と言いたいところだが、今シーズンはスーパークロスチャンピオンのライアン・ビロポート(カワサキ)もラウンド1からエントリーする。2012シーズン、ビロポートはスーパークロス後半戦、シアトルラウンドで右膝の靭帯を損傷し、アウトドアのすべてのレースを欠場するという不運に見舞われたため、ダンジーにとってはほぼライバル不在の状況にあった。
さらに、スーパークロスでは度重なる転倒で思うような結果を残す事のできなかったジェイムズ・スチュワート(スズキ)や、スーパークロスランキング2位で絶好調のデイビー・ミルサップス(スズキ)、そして450クラスルーキー、昨年のアウトドア250クラスランキング2位のジャスティン・バーシア(ホンダ)、2009シーズンのチャンピオン、チャド・リード(ホンダ)、そして一昨年の250クラスチャンピオン、ディーン・ウィルソン(カワサキ)、こちらもケガから復帰の2010の250クラスチャンピオン、トレイ・カナード(ホンダ)。スーパークロスでは苦戦を強いられたが、2012のアウトドアでは見事にランキング2位を獲得しているマイク・アレッシ(スズキ)やアウトドアから450クラスにステップアップしてくるライダーなど、数えればキリがないほどのビッグネームたちがタイトル獲得に向け、全力で臨んでくる。
そんな注目の「LUCAS OIL PRO MOTOCROSS」のラウンド1が今週末の2103年5月18日、カリフォルニア州の中部、ハングタウンで開催が決定している。各メディアの予想では、2年振りのアウトドア参戦となるビロポートと昨年のチャンピオン、ダンジーの対決に注目が集まっているが、スーパークロス同様、伏兵も数多いだけにラウンド1から目が離せなさそうだ。
一方、スーパークロスではウエスト、イーストの2クラスに分かれて行われていたが、アウトドアでは1クラスになる250クラスはどうだろう。先々週のスーパークロスのファイナルラウンド、シュートアウトのレースをご覧いただいた方はすでにお気付きと思うが、アウトドアではウエスト、イーストの2つのクラスが1つになるため、ただでさえ層の厚いこのクラスはさらに混戦状態となる。
そんな大混戦が予想される250クラス、チャンピオン最右翼のライダーが昨年のチャンピオン、ブレイク・バゲット(カワサキ)。スーパークロスでは序盤戦のケガによりシーズンを棒に振る形となってしまったが、アウトドアの方を得意とする彼の好調時のスピードは競合ひしめくこのクラスの中でも群を抜くが、約3か月振りのレースというのが、唯一の不安材料。そして、そのバゲットに対向するであろうと予想されるのが、スーパークロス、250ウエストクラスでタイトル争いを繰り広げた、ケン・ロクスン(KTM)とイーライ・トマック(ホンダ)、そして250イーストクラスでは惜しくもタイトルを逃したマービン・ムスキャン(KTM)の3人だろう。彼らは昨年のこのシリーズでは、バゲットと互角以上に戦ってきた実績や、今シーズンのスーパークロスでのライディングを見ればよくわかる通り、本当に強い。一部では、昨年のチャンピオンであるバゲットよりもチャンピオンに近いと噂されるほどだ。
また、年齢やチーム事情の関係から、スーパークロスはキャンセルし、このアウトドアからエントリーしてくるルーキーたちや、残念ながらケガなどでスーパークロスをキャンセルしたトップライダーたち、昨年から急成長を遂げた若手などが多い。そして今年のこのクラス、一番のダークホースがアマチュアでのタイトルを総なめにしてきたゴールデンルーキー、アダム・シアンサルーロ(カワサキ #292)。彼が、ついにこのアウトドアシリーズからプロデビューが決まった。昨年末に開催された「Monster Enegy CUP」のアマチュアクラスでも勝利している彼は、全米のみならず、世界中から注目を集めるほどのライダーで、そのポテンシャルは未だ未知数。彼がどんな活躍をしてくれるかも、このクラスの注目の一つだろう。
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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