
文/ワダポリス 写真/DirtRIDE、Red Bull Content Pool
「去年は突然決まっちゃって、もう出るだけで精一杯だった。だけど今年は時間があったから、練習できたし、考える時間もあったんだ」
今年は一般公開され、多くの観衆の前で走ることになったRed Bull X-Fighters 2014 OSAKA 日本人予選。昨年に引き続きそこで走るチャンスをつかんだシンクン(加賀 真一選手)はそんなふうに話し始めてくれた。シンクンは他の多くの国内FMXライダーと同じく、モトクロスIA(国際A級)ライセンスを持つレーサー出身のFMXライダー。でもその実績はぶっちぎりで凄いんだ。125クラスで全日本チャンピオンを穫って、さらにはSUZUKIのワークスチームに所属。最高峰クラスのIA1で何度も優勝経験がある、正真正銘のトップレーサー。でも脳みその中は、エイゴ君と一緒に見たアメリカでのFMXイベントに衝撃を受けた、独自のスタイルを持つフリーライダーで、レースで優勝したと思ったらその数日後にバックフリップ初メイクとかね。レーサーとしてはかなり異端児(笑)。
「あの場所でオレが走る意味はなんだろうってね。X-Fightersに出たいFMXライダーなんて世界中に山ほど居るよね。でもその中で俺たちは、エイゴが残してくれた枠のおかげで、日本人ってだけで、本戦ではないけれどもそこにたどり着くための予選に出してもらえる。もちろんそのための努力をして、結果を国内で出したからだけど、普通はそんな道筋さえないからね。そしてゲンキやゴン太、ヒトシたちの、若いこれからの連中は、彼らの、そして日本のFMXシーンの未来のために、あの場所で走ることに大きな意味がある。コータは常に国内でダイスとトップ争いをするレベルのライダーだから、あの場所にいるべきライダーだと思う。じゃあ、オレは?」
レースを極めたアスリートだけに、常にストイックな面を併せ持つのがシンクンらしい。さらにFMXライダーらしい、常にプッシュを忘れない姿勢。
「実は、本戦含めて出場ライダー中、最年長なのね(笑)。そんなオヤジが出してもらえるんだから、なにか新しい物を持って行こうと思った。それがフレア(540度回転するトリック)。自分に課して、クリアできればオレが走ることも意味がある。オレもまだプッシュしてるぞって」
「ホントは凄く難しくて、間に合わないかと思った。チョー怖いし(笑)」
「でも一週間前くらいかな、つかめたんだ。イけると思った」
「だからアレはイチかバチかじゃないよ。冷静に、自分が持っているスキルを出せればできる。実力を出せるかどうかの勝負。まぁFMX全部がそうだけど」
やりたいことや目標のために、恐怖や困難を乗り越える。そのための努力をして自分の物にする。決してイチかバチかではない、自分の100%を出せるかどうかの、自分との勝負。いつの間にかFMXの真髄の話しを聞いてる気分になってきた。シンクンがやってることはまさにFMXそのものだね。
「でも今日X-GAMES見てたら、BMXのバートでゴールド獲ったライダー、42歳だって。もう、チョーカッコいい。ヤバい、オレなんてまだまだケツが青いほうだった。オヤジだから、なんて自惚れてんじゃねーよ、ってハナシ(笑)」
「で、やりたいトリックのイメージ出来ちゃった。どんなのかはまだ内緒。とにかく自分がカッコいいと思うことをやるライダーになりたい。コンテストでジャッジの評価が高いことも大事だけど、最後はそこじゃない」
「まだ誰にも言ってないんだけど、来週からフランスに行くの。2週続けてあっちでイベントに出て、その間ガッツリ練習。フレアももっと完成度をあげたいし、いろいろね」
えー!! マジっすか! フランス行くんだ。最後にびっくり情報出てきたんだけど、ホントはシーン全体のことについてもいろいろ話してくれたシンクン。またの機会にその話しもできればいいなと思います。この夏はフランス帰りのシンクンに要注目ですねー!!
2001年、伝説のFMXイベント“MOSH RIDE”に自身のクロージングブランドブース出展、2003年お台場モーターサイクルイベント“MULTI PLEX”でのFMXコンテンツからMC活動を開始、以来現在まで国内FMXイベントのほぼすべてでMCを担当。Red Bull X-Fighters 2013 OSAKAではCSTV J-sportsでの生中継番組で解説を担当。また国内唯一のFMX誌“バンザイマガジン”にも執筆中。
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