ISDEレース会場での準備編1

ISDEレース会場での準備編1

掲載日:2013年11月25日 エクストリームエンデューロ    

文/大川 誠  協力/KTMジャパン

レース本番のコースを下見

ISDE(International Six Days Enduro)はもっとも古いオフロード競技で、6日間にわたって1,000キロ以上を走破する過酷なレースです。エンデューロ競技は、その他のモータースポーツと異なり、選手本人だけがマシンに触れることが許されているため、ライディングだけではなく、短時間で的確に整備・修理する技術が求められるなど、オフロード競技のトライアスロンに例えられます。ISDE(International Six Days Enduro)はそのエンデューロの最高峰と言えるレースです。

準備2日目は試走コース(テストトラック)を走れる事が分かったため、車両調整の目的でコースへ。土地柄なのでしょうか、路面は完全に乾燥しているため埃がすごく、視界もたいへん悪い状態。ここで無理しても仕方ないので、路面の状態やバイクの様子を確認、細かな調整をして午前中に試走を終了。試走中はプロ/アマチュア関係なく混走なので、世界のトップライダーと同じグループで試走出来るなんていう良いハプニングもあります。ちなみに自分は、アントワン・メオ(世界選手権エンデューロチャンプ)とジョニー・オベール(2008年のタイトル獲得者)と試走しちゃいました!

 

2日目午後と3日目は、スピードの速さを競うテスト区間(スペシャルテスト)の、場所やコースの状況を確認。ISDEのホームページ で、事前にテスト区間の場所を示す地図が公開されているため、公開情報をもとに場所を確認し下見へ。テストは海沿いのロケーションの良い場所もあれば、バイク1台しか通れない(追い越しが出来ない)ような場所もあります。競技をするコースはいずれも試走コースと同じで、乾いた硬い路面に石が混ざっているコースで、日本では見たことのないこの特質に既に下見の段階でドキドキ。肝心の下見に関しては、日本でやっている通り淡々と状況やコースの全体像を把握するなど、いつもと変わらない事を行います。

 

下見自体の行為にはなんら問題はないのですが、日本でのほとんどのエンデューロレースは公道を使わないため、ルートミスなどの心配はありませんが、ISDEや日本の一部のレースの場合、公道を使うため土地勘を掴む必要があります。その意味でも、テストの場所や周囲の風景などをよく確認する事と、レース中に進行方向を示す矢印(マーカー)の大きさや表示のパターンなど、眼を慣らす必要があります。コース間の移動中もある程度集中しながらの下見になりましたが、これがレース本番で以外に効果を発揮しました。

 

最終整備

5日目が受付、車検の日ということで、4日目は本番に向けた整備日となりました。まずはメッツラーでタイヤを購入。タイヤの手配については、日本を出発前に申し込みを行う必要があります。開催場所がヨーロッパの陸続きであれば、メーカーとしても不足分の補充がスムーズな環境に限定して、当日タイヤを購入できるパターンもあるようですが、今回は島という事で、事前に申し込みを行ってから日本を出発、現地受け取りという方法を選択です。この点については、開催場所にかかわらず、確実にタイヤを確保する事を考えれば事前申し込みするのがベストといったところでしょう。メッツラーではタイヤと共にムース(チューブの代わりに入れるリング状のゴムの事)や、ムースグリス(ムースとタイヤの摩擦抵抗を減らし、ムースの消耗や膨張を抑えるジェル)を購入する事も可能です。

 

ここでひとつ、そもそもなんで交換用のタイヤが必要なの? と思われた方もいると思います。このタイヤ交換については、ひとそれぞれだと思います。KTMに最初から装着されているタイヤで走るのも、もちろんOKです。また6日間1回もタイヤ交換しなくてもOKです。ただ、自分の場合、いつも使い慣れたタイヤに近いものを使いたい事と、現地でのサービスは現状メッツラーだけですのでメッツラー以外は自分で調達し現地に運ぶ必要があり、輸送準備も必要になりハードルが高くなるので、今回はメッツラーのサービスを活用しました。タイヤ交換頻度については消耗の程度がひとそれぞれですが、毎日250kmほどダートを走りますからそれなりに消耗しグリップもしなくなりますので、毎日同じフィーリングや安定したグリップを求めるなら毎日、もしくは2日に1回はタイヤ交換が必要だと思います。またグリップの低下は体力の消耗にもつながりますので、自分の場合には毎日タイヤ交換する必要があると理解しています(実際は、リアは毎日、フロントは二日か三日に1回の割合で交換していました)。

 

このサービスはチームメイトである大川原選手も利用したため、購入したタイヤは大量に。そこで、メッツラーのカートを拝借。カートを借りたついでにちょっと悪ふざけもしたりして、しばしのリラックスモードな事も。その後、再びKTMパドックを使用して、レースに使用するタイヤの交換や最終の微調整、キャブレーションの最終チェックを行います。この日は、午前中に整備終了の予定が全員の整備終了が夕方近くになってしまったので、整備完了の記念撮影を行って作業終了。本当は、午後にはコースの下見に行きたかったのですが、それは明日以降に持ち越しとなりました。残った時間は、各メーカーや国のパドックやトレーラーの見学。ドイツチームは『トロフィー』、『ジュニアトロフィー』など、ゼッケンと名前が書きだされたボードがなかなかかっこいいです。そして、日本ではまだお目にかかれないシェルコの2サイクルを発見。こちらもかなり魅力的です。そして最後は、ロータリーエンジンのバイク。またこれがものすごく速いんですね! 大川原さんとサポート兼メカニックの勝田さんは興味津々。こんなパドックウォークも、レースならではの楽しみでもありますよね。

 

次回は準備5日目の事をお話しようと思います。

 

 

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