2013年のISDEレースを無事フィニッシュ!

2013年のISDEレースを無事フィニッシュ!

掲載日:2013年12月06日 エクストリームエンデューロ    

文/大川 誠  協力/KTMジャパンAnimalhouse Web

この大会の最大の難関
4日目に突入

ISDE(International Six Days Enduro)はもっとも古いオフロード競技で、6日間にわたって1,000キロ以上を走破する過酷なレースです。エンデューロ競技は、その他のモータースポーツと異なり、選手本人だけがマシンに触れることが許されているため、ライディングだけではなく、短時間で的確に整備・修理する技術が求められるなど、オフロード競技のトライアスロンに例えられます。ISDE(International Six Days Enduro)はそのエンデューロの最高峰と言えるレースです。

4日目はこれまでの3日間とは異なり、まったく新しいルートとテストのステージへ突入です。メニューは『スタート→舗装路で1つ目のテストへ①→飛行場脇の平らなテスト②→また舗装路で移動し③→1つ目のタイムコントロール→牧場を通過するルート④→斜面にあるモトクロスコース&斜面を組み合わせたテスト→牧場、尾根道、林道と多彩なルートだが基本、石があちらこちらに必ずある→タイムコントロール→所々石が敷き詰められた斜面のテスト→比較的視界の開けたルートで結構な数の山を越える→タイムコントロール→今大会最大の難所ルート→地元のモトクラブ所有のモトクロスコース→タイムコントロール→またも山越えの林道ルート→④③②①』の順でパドックへ、というメニューになります。距離は相変わらず、230km前後。この距離を1日で走り切ります。

 

全般的には1つのテストを除いて、すべてのテストが斜度のある斜面に出来たキャンバー走行で、難易度がありました。また、これまで苦しめられてきたダストの原因である細かな砂がキャンバー走行を更に難しくします。加えて、1日目のレポートで紹介したギャップは相変わらずどこにでもあるわけですが、斜面のギャップとなるとこれまでとは訳が違い、更に難易度を上げる、そんな印象です。ルートは、全般的にタイトなタイムスケジュール。2つ目のタイムコントロールまでは、結果的な余裕時間は2~3分。そして、今大会最大の難所のルートは、尾根沿いの1本ラインのルートを登っていくと徐々に石が岩になり、その大きさもどんどん大きくなり、最後は1m程度のステアケースが出没。そのあとも岩を乗り越えていくといったルートで、もちろんスピードも上がらず、岩を乗り越えていく時の上下動で疲れも出てきます。こうなるとメンタルにも少なくとも影響が出て、やや戦意喪失状態になりながら、4日目を終えてみると7分の遅着をしてしまいました。そして、4日目の最後にはライダー同士で「今日はどうだった?」という話になり、「自分は心が折れそうだ」と言うと「お前はいくつだ(歳は)」と聞かれ答えると、「まだお前のほうが若いからまだまだやれるぞ」という先輩ライダーに励ましをもらう始末で4日目が終了。そろそろ疲れが完全に抜けない状態にも突入した4日目でした。

 

あと、4日目を締めくくるには忘れてはいけない出来事がありました。それは、早朝で携帯を見てみるとたくさんの応援メッセージがSNSやメールで送られてきました。今、写真を見てみると見かけは疲れた表情だった事が分かりますが、日本で応援してくれているチーム員や仲間にも当時はそのように見てえていたのだと思います。その応援に答えるためにも、遅着しようがとくにかくゴールするという気持ちでこの日は頭がいっぱいという事と、メッセージが背中を後押ししてくれたからこそゴール出来た4日目でした。

 

実質の最終日
Day5

ISDEは6日間を走るレースという事は既にお伝えしている通りですが、最終日の6日目はルートとテストがひとつずつで、時間も余裕があります。ということは、5日目が実質の最終日。この日は4日目と同じメニュー。この日は速かろうと、遅かろうとすべてを出し切るという目標でスタートをきりました。この日の鬼門はやはり岩場のルートで、コースの後半に設定されているものの、時間以外にも体力的、精神的にやはりきつかったというのを今でも覚えています。テストについては、ダストの他にギャップが4日目より成長しているため、より攻略の難易度が上がっています。その他、5日目ともなると疲労も溜まっていて、うろ覚えの部分も多く、レポートが書けないくらいとにかくルーチンをこなすことに精いっぱいな日でした。ただ、はっきりと覚えている事はKTMサービスでの出来事。サービス毎にメカニックが「問題はあるか?」と必ず聞いてくるのですが、走らない、操作出来ないという状況にはなかったですが、「1日目に凹ませてしまったラジエターが気になると」伝えたところ、「問題ないよ。だってモトクロスバイクよりも頑丈に作られているからエンデューロのラジエターなんだ」という答えが返ってきました。メーカーのメカニックだから当然といえば当然なのかもしれないですが、サービスにおいて根拠が明確になっているのとなっていないのとでは走っているライダーとしては安心感が全く違うし、不安を抱えたままだと走りにも影響が出てくるのでこの一言は助かりました。しかも、ライダーの技量に関係なく分け隔てないサービスを提供してくれるというところも大きなポイントであると感じました。

 

これで走りおさめの
Last6日目

いよいよこれで最後となる6日目。今日のメニューは、テストが1つとテスト会場までのルートでの移動と、至ってシンプルです。今日のテストはISDEを象徴するテストでもある、ファイナルクロスと呼ばれるテスト。これまでのテストは山間の道を切り開いたり、草原を完全クローズにしてコースを設定していたものですが、ファイナルクロスは大きなモトクロスコースで順位やバイクの排気量別に一斉スタートし、速さを競うものになります。会場までのルートはこれまで通り到着時間が設定されていますが、時間にかなり余裕があります。このルートは大会によっては舗装路が多かったり少なかったりするようですが、今年は半分が舗装路で半分が林道。さてさて、ルートでの出来事は省略しファイナルクロスの様子などを伝えたいです。ファイナルクロスの会場は常設のモトクロスコースで、大きさをいうとスポーツランドSUGOのモトクロスコースを少々小さくしたものですが、設備は本格的。そして、これまでのテストと違って、全ライダーの走りを見れる事も特徴的で、これまで拝む事も出来なかった世界レベルの走りも観戦する事が出来るのも、ファイナルクロスの特徴になります。コースは安全面を配慮したレイアウトになっていたのが印象的です。会場全体はお祭りムードで、驚くのはその観客の多さ。全日本モトクロスよりも多いんじゃないかと思うくらいで、オートバイ文化や歴史の違いを実感しました。

 

テスト走行までの流れを簡単に紹介すると、こんな感じになります。タイムコントロールを終えて会場に到着→スタッフの指示に従って出走順にバイクを一時保管→スタッフの指示により下見走行→いよいよスタート位置につきレース開始、といった流れです。本題のレースの内容はというと、慣れないスターティングマシーンに手間取り出遅れるが、毎周回1台から2台ほど抜き、追い上げるが全周回6周と設定されたうち最後の2周ほどは前を走っているライダーに追いつくもののなかなか抜く事が出来ず、そのままフィニッシュ。同じヒートを走ったライダーの中にはモトクロス経験のないライダーもいたように感じたので、その面では慎重に走行した事を覚えています。中には予想していない動きをするライダーもいたため、接触して転倒しない事には気をつかいました。もっと高いレベルではそのような事もないと思われますが、注意したい点でありました。自分のメニューを消化した後は、お楽しみの世界トップレベルのライダーの走りを堪能し、これにてISDE全メニューが終了。

 

長くも短かった6日間を大きなけがもなく無事終了し、完走出来た事が一番の成果で、チームジャパンの3人全員が完走出来た事も次の成果と言っていいと思います。走り切ったのはライダー個人の力量だったり精神力ではありますが、6日間の走りをサポートしてくれた勝田さんをはじめ、現地関係者の方々、KTMサービスの方々に加え、日本から応援メッセージを送ってくれた仲間がいたからこそ完走につながったレースであり、人とのつながりの大切さを改めて実感した事が、実は一番の成果だったのかもしれません。

 

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