第5回 カワサキW650キャストホイール化【お手軽ペイント編】

掲載日:2015年12月04日 週刊メンテナンス講座    

記事提供/モトメンテナンス編集部(Facebookページ
※この記事はモトメンテナンス104号に掲載された内容を再編集したものです
取材協力/デイトナ  文/丸山 淳大  写真/モトメンテナンス編集部

カワサキW650キャストホイール化の画像

カワサキW650キャストホイール化の画像

遂に完成したキャストホイール仕様車
そこに思わぬハンドリングの変化が現れた!!

キャストホイール化も大詰め。ボロボロで著しく美観を欠いたZ400Jのホイールを埼玉県本庄市の新鋭絶版車専門店ローカス819さんでブラスト処理していただき、いよいよ塗装&組み付けに入ることにします。

ホイールペイントといえば、専門ショップにパウダーコートを依頼するのが王道と言えます。しかし、綺麗にブラストから上がったホイールを前に「できるだけ早く付けて走ってみたい」という欲望に抗うことはできませんでした。また、塗装費用のことを考えても今回は自らの手でペイントすることにしたのです。

脱着時や跳ね石などで傷つきやすいホイールには、できるだけ強い塗膜が必要になります。缶スプレーで最も塗膜強度に優れるのは、2液ウレタンをおいて他には無いでしょう。これなら特別な塗装設備を持たないサンメカでも、自らの手でお手軽ペイントを行い、強度も美しさも満足度の高い仕上がりを得られるはずです。今回はデイトナの耐ガソリンペイントつや消しブラックを使用しました。

カワサキW650キャストホイール化の画像

デイトナの耐ガソリンペイントつや消しブラックは、カワサキ純正ペイントで言うところの半ツヤ風の仕上がりになります。いかにも塗りました的なカスタムテイストが無いのがうれしいポイント。

カワサキW650キャストホイール化の画像

デイトナの耐ガソリンペイントの価格は1本2,993円(税込)。ホイール2本とハブなどをペイントするのにスプレーを2本半使いました。硬化剤入りの2液式なので、塗膜強度はラッカーと比較になりません!!

こうして見た目にもカッチリ仕上がったホイール。組み合わせるタイヤは、キャストホイールの適合リム幅を鑑みて、フロントワンサイズダウンの100/90-19へ。リアは120/90-18へ、ワンサイズずつダウンさせることにしました。そもそものキャストホイール化の目的であった“チューブレス化”を実現するため、もちろん前後共にチューブレス!! しかし、フロントにはチューブレスタイヤにチューブを併用して組みました。

カワサキW650キャストホイール化の画像

装着タイヤはまたしてもIRCのRS310。前後共にチューブレスです。値段と性能のバランスが良く、特にタイヤに対して不満を感じたことは無いので、次も同じタイヤを使いたいと思います。

「自宅で手組み」というモトメンテ的作業を行ないまして、様々苦労しつつ、何とか綺麗に仕上がったホイールに大傷を入れずタイヤ組込みを完了。キャストホイールW650改800の姿に見た目は悪くないじゃないと自画自賛しつつ、テスト走行へ。そこで、思わぬメリットを発見することになったのでした。

走り出してすぐ気付いたのが、どっしりとしてジェントルなハンドリングでした。直進時に横風に吹かれたり、軽いバンプに乗ったとしても、今までのようには直進安定性が損なわれないのです。また、交差点を曲がる際も気になっていた、フロントタイヤの切れ込み症状が消え、タイヤが路面に吸い付くような接地感が現われました。高速コーナーでも、ハンドリングは実に穏やか。コーナーのRに合わせて減速すれば過剰な寝かし込みをしなくとも、どっしりとした安定感で走り抜けられる弱アンダー傾向で、これが非常に気持ち良いのです。

スポーク時と比べてここまでハンドリングが変化した理由はただ一つ。キャスト化によりバネ下の重量が増えたからでした。回転体であるホイールの重量は、サスペンションの動きやブレーキ性能、ハンドリングに大きな影響を与えています。特にスポーツバイクはこのバネ下重量を軽減させるため、倒立フォーク、軽量ホイールなどなどを採用し、とにかく数グラムの軽減のため、涙ぐましい努力を行っています。もちろん、サーキットやワインディングなど、腕のあるライダーが早く走ることを念頭に置けば、これは間違いありません。しかし、大部分の一般ライダーが果たして日常的にバネ下重量軽減の恩恵に授かることができているでしょうか。のんびりツーリングや通勤が主体でたまにワインディングを楽しむ程度であれば、常に安定感に溢れたハンドリングの方が良い気がします。

かといって、W650改800のハンドリングが退屈かと言えばそうではありません。タイヤサイズを細くしたことにより、倒し込みはごく軽く、ひらひら進入、コーナーリング中どっしり、出口で800ccの怒涛の加速!! という実に理想的なマシンに変身を遂げたのです!!

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