掲載日:2015年06月19日 週刊メンテナンス講座
記事提供/モトメンテナンス編集部(※この記事はモトメンテナンス102号に掲載された内容を再編集したものです)


いよいよボアアップエンジンの組立てを行なう。コンプレッションリングは、面がとられている方がトップで、もう一方がセカンドだ。文字が書いてある方が上になる。確認して作業を進める。

一番下のオイルリングから順に装着していく。リングの合口はトップが正面、セカンドとエキスパンダが真後ろ、オイルレールリングは正面からそれぞれ約40度逆に角度を付けて組付ける。

リング合口の詳しい装着角度はマニュアルを参照のこと。リング、リング溝に注油はカーボンの原因になるため、行なわなかった。続いてピストンピンを挿入し、スムーズに通るか確認、注油する。

コンロッド小端部内側にもオイルを吹いておく。念のためコンロッドを手で掴み、ガタを確認しておく。ちなみにコンロッド大端部のサイドクリアランス指定限度は0.50mm。過走行車は要確認だ。

次に内側のピストンクリップのみをあらかじめ装着し、ピストンピンを外側から挿入した後、クリップを組付ける。外す時同様、クリップをクランクケースに落とさぬよう注意する。

クランクケースをウェスなどで覆いながら作業を進めると安心だ。ピストンは内燃機加工依頼時に指定したとおりの気筒に間違いなく組付ける。ピストントップにどこの気筒かを書いておこう。

ペイントのために脱脂を行なったシリンダー内壁は、数時間で錆びが浮いてくる。この錆はオイルを吹いてウェスで拭うだけで落ちてしまうが、即対処したい。長期不動車はシリンダー錆が出やすい!

ベースガスケットは「UP」と表示が読める方が上側である。また、ベースには2ヶ所ノックピンが入るので、入れ忘れに注意。シリンダー内壁にオイルを塗布した後、シリンダーを挿入する。

ピストンリングを指で押し縮めながら、シリンダーを挿入していくが、360度クランクのW650は、2つのピストンを同時に挿入しなければならないので、可能ならば2人以上で作業を行なうと良いだろう。

シリンダーを挿入したら、シリンダーが動かないように手でしっかりと押さえたまま、フライホイールローターを回転させてスムーズに動くか確認する。今回の場合、動きは非常にスムーズだった。

クランクを回転させてピストンを数回上下動させると、シリンダー内壁には組付け時に塗布したオイルの輪が出来ているはずだ。これは、余分なオイルなので、ウェスで綺麗に拭き取っておく。

シリンダー内壁に綺麗なオイルの輪ができず、ピストンがスムーズに上下動しない場合、組付けに失敗していることもあるので、確認したい。続いてフライホイールを回し、上死点を出す。

フライホイールの目印が上死点の時、ピストンがしっかりと頂点まで上がっているのが確認できた。スキッシュには未だ余裕がある。650のピストンとは見た目で大きさの違いを認識できる。

続いてシリンダーにオイルパイプを挿入する。フィード、リターン両方のオイルパイプ両端にはOリングが入る。組付け時に擦れて切れたりしないよう、シリコングリスを塗布しておく。

オイルパイプ両端にはOリングが2つずつ入るが、前方のリターン側オイルパイプのOリングの上一つは、ヘッド側に組みつけておくと装着時に位置がずれないので、作業性が良いようだ。








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