掲載日:2015年06月05日 週刊メンテナンス講座
記事提供/モトメンテナンス編集部(※この記事はモトメンテナンス102号に掲載された内容を再編集したものです)
腰上だけの分解、組立てとはいえ、エンジンの作業となるとガスケットやOリング類など、必要な純正補修部品はかなりの点数に及ぶ。これらは、もちろん組立て前に準備しておかなければならないのだが、いくら念入りにパーツ発注を行なったところで、多少の発注漏れが出るのは致し方ない。また、使用する補修部品は、同じようなOリングやワッシャーが多い上、部品袋にはパーツナンバーと簡単な品名しか表記されていないので、いったい何処に使う場所なのか、作業しながら即座に判断するのは至難の業だ。
そこで、実作業に入る前に今一度必要な部品の発注忘れを確認したい。それと同時に、パーツリストと部品番号を参照し、どの部品がどの部位に使われるものなのか分類をしておく。この事前段取りを行なうことで、作業を効率的に進め、ミスを防ぐことに繋がるはずだ。
また、これから組み立てるパーツのクリーンナップも欠かすことができない。先にペイントを行なったエンジンパーツは、ネジ穴にブラストの砂が入り込んでいるため、すべてのネジ穴にタップを通した後、綿棒で清掃しておく。同様に抜き取りに苦労したシリンダーヘッドボルトのネジ穴もきれいにしておくことで、締め付けトルクを安定させることができる。
その他、オイルストーンの仕事も欠かせない。ボアアップ用新品となるピストンのスカートやピストンピンクリップなどのバリを落としておく。また、クランクケースやシリンダーのベース面もガスケットを落として、しっかりオイルストーンを当てておかなければならない場所だ。
こうした手間仕事を適当に済ませて簡略化することもできるが、エンジン性能や寿命に影響を与えかねない。自分で作業を行なうなら、好きなだけ時間をかけられるはずだ。気の済むまで念入りな下準備を行ないたい。
スリーブ打替えを依頼したシリンダーは手持ちのスペア品。そのため、オリジナルの650ccシリンダーとピストンを外しておく。ピストンピンクリップはケース内に落とさぬように注意。ストレート製の専用プライヤーが便利だ。
シリンダーベース面はガスケットを綺麗に取り除き、潤滑剤を併用してオイルストーンを当てて面を出しておく。汚れをクランクケース内に落とさぬようにウェスを詰めておく。
シリンダーヘッドボルトは11mmの特殊な太さだったため、タップが用意できなかった。そのため、ボルトにグリスを塗布して軽く締め込み、ネジ穴の清掃を行なった。
ボルトに付いてきたゴミは綺麗に清掃しておきたい。また、ネジ穴に潤滑剤をスプレーし、綿棒で良く洗浄しておく。この作業をすべてのヘッドボルトで行なった。
国内メーカーカワサキ、ヤマハは、最近のモデルならばパーツリストをインターネットで見ることができる。発注部品数は、全部で30点を超えた。価格は2万円程度だった。
新品ピストンのスカート部のバリがシリンダー内壁を攻撃することもあるため、軽くオイルストーンを当てておく。また、ピストンピンクリップ端部にバリがあると、クリップ溝をスムーズに回転せず、着脱時に不便だ。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!