耐ガソリンペイントによるタンク塗装編

掲載日:2009年12月15日 部位別メンテナンス外装系    

メンテナンス講座

基本中の基本は「耐ガソリン性」
お気軽な缶スプレーペイントでも十分に通用する

「耐」と言う文字を想像したときに、最初に思い浮ぶのが「耐ガソリン」ではないか? 過去にガソリンタンクや外装パーツをDIYペイントしたことがあるサンメカは数多いと思うが、経験者にお話しを聞くと、意見は真っ二つに分かれる。経験豊富なサンデーメカニックは、ペイントノウハウや段取りを知っており、デイトナMCペインターシリーズでお気に入りのカラーリングや色を再現&創造し、仕上げに2液のウレタンクリアスプレーを吹き付けて完成させている。万全の作業手順だ。一方、「二度とペイントはやりたくない‥‥」などと語るサンメカの中には、前述したノウハウや段取りを知らずに、ラッカースプレーだけで仕上げて、ガソリンが漏れて「最悪の結果」を経験したことがある者が多いようだ。

 

仕上がりの良否は、ペイントテクニックに大きく左右されるものだが、ガソリンに強いかそうでないかは、テクニックというよりも「ノウハウや段取り」の違いで、機能は大きく変わってしまう。仮に、ラッカーペイントが完全乾燥後に2液ウレタンクリアを吹き付け&乾燥させていれば、少なからず、耐ガソリンに関してはそれなりの効果を得られているはずだ。ここでは、ボロタンクをピカッ!! と輝かせるために行った、ペイント作業実践の一部始終を解説しよう。実際の作業で感じたこと、それは「熱」を上手に利用するということだ。今回はペイント後の乾燥にストーブを利用したが、これが実に効果的であり、作業を効率良く進めるにも絶好のアイテムだった。もちろん、見た目の仕上がりもバッチリ(自己満足!?)。是非ともストーブを上手に利用して(安全には十分注意しましょう)、お気に入りの「耐ガソリンペイント」を成功させてほしい。

作業手順を見てみよう!

ボロタンクのペイント剥がしを剥離剤で行った。時期的に悪かった(寒かった?)のか、今ひとつ反応が悪く、旧ペイントの取り除きには時間が掛かってしまった。地道に進めよう。

ボロタンクのペイント剥がしを剥離剤で行った。時期的に悪かった(寒かった?)のか、今ひとつ反応が悪く、旧ペイントの取り除きには時間が掛かってしまった。地道に進めよう。

 

タンクの裏側にはシワや折れ部分が多く、こんなところに剥離剤が残ってしまうと最悪なので、剥離洗浄時には徹底的にエアブローを行った。取り切れない部分はガストーチで炙ってブラッシング。

タンクの裏側にはシワや折れ部分が多く、こんなところに剥離剤が残ってしまうと最悪なので、剥離洗浄時には徹底的にエアブローを行った。取り切れない部分はガストーチで炙ってブラッシング。

 

今回はプラサフとシルバーサフェーサーを利用。ペイント前は缶を湯せん&よくシェイクするのが鉄則だ。まずはプラサフで塗り重ねて研ぎを入れ、最後にシルバーサフェーサーで仕上げた。

今回はプラサフとシルバーサフェーサーを利用。ペイント前は缶を湯せん&よくシェイクするのが鉄則だ。まずはプラサフで塗り重ねて研ぎを入れ、最後にシルバーサフェーサーで仕上げた。

 

シルバーサフェーサーを吹いたときに垂らしてしまい再び研ぎ。すると下地が‥‥。こんなときも手を抜かず、もう一度シルバーサフを入れて均一に仕上げなくてはいけない。手抜きはムラの原因。

シルバーサフェーサーを吹いたときに垂らしてしまい再び研ぎ。すると下地が‥‥。こんなときも手を抜かず、もう一度シルバーサフを入れて均一に仕上げなくてはいけない。手抜きはムラの原因。

 

シルバーサフで「全面均一」に仕上げたらストーブ上にブラ下げて乾燥させる。この乾燥も後々重要になる。次にタンクボトムから色塗り開始。今回は1970年カワサキG4に近いオレンジを使った。

シルバーサフで「全面均一」に仕上げたらストーブ上にブラ下げて乾燥させる。この乾燥も後々重要になる。次にタンクボトムから色塗り開始。今回は1970年カワサキG4に近いオレンジを使った。

 

シルバーサフを吹いたので淡い色でも発色が良い。例えば黒や暗い色の上にこのオレンジを吹き付けても、キレイに発色しないのだ。シルバーにムラがあっても均一なオレンジにはならない。

シルバーサフを吹いたので淡い色でも発色が良い。例えば黒や暗い色の上にこのオレンジを吹き付けても、キレイに発色しないのだ。シルバーにムラがあっても均一なオレンジにはならない。

 

タンクスキンをペイントする。慌てず焦らずに、塗り重ねていくのがコツだ。最終的にクリア仕上げなので、このオレンジの段階で艶を出そうなんて考えなくても良い。均一にムラ無く塗ろう。

タンクスキンをペイントする。慌てず焦らずに、塗り重ねていくのがコツだ。最終的にクリア仕上げなので、このオレンジの段階で艶を出そうなんて考えなくても良い。均一にムラ無く塗ろう。

 

小排気量車のタンクで小缶のオレンジスプレーを2本使った。大型モデルならば、3本程度は必要になるはずだ。ペイントを終えたら、再度ストーブで乾燥させる。しっかり乾燥させよう。

小排気量車のタンクで小缶のオレンジスプレーを2本使った。大型モデルならば、3本程度は必要になるはずだ。ペイントを終えたら、再度ストーブで乾燥させる。しっかり乾燥させよう。

 

ストーブ上で1時間以上乾燥させてから、オレンジの表面を耐水ペーパー1500番前後で研磨する。この際に小さなエクボがあっても、色が入っていればクリアの圧塗りでリカバーできる。

ストーブ上で1時間以上乾燥させてから、オレンジの表面を耐水ペーパー1500番前後で研磨する。この際に小さなエクボがあっても、色が入っていればクリアの圧塗りでリカバーできる。

 

表面をポリッシュしたら、タンクデカールの位置を確認しつつ左右均等にマスキングテープで貼付位置のマーキングをする。評判のデカールだが、初体験なので貼り易いかどうかは不明だったが。

表面をポリッシュしたら、タンクデカールの位置を確認しつつ左右均等にマスキングテープで貼付位置のマーキングをする。評判のデカールだが、初体験なので貼り易いかどうかは不明だったが。

 

デカールの追従性を良くしようと考え、保護の紙シートに中性洗剤を数滴垂らした水をスプレーした。このスプレーによって、保護シートが剥がれやすくなるようだった。スプレーは適量に。

デカールの追従性を良くしようと考え、保護の紙シートに中性洗剤を数滴垂らした水をスプレーした。このスプレーによって、保護シートが剥がれやすくなるようだった。スプレーは適量に。

 

表面を耐水研磨したタンクの側面にもスプレーする。スプレーしないでデカールを貼付すると、貼り損ねたときの貼り直しが面倒=失敗への第一歩となってしまう。慎重に作業を進めよう。

表面を耐水研磨したタンクの側面にもスプレーする。スプレーしないでデカールを貼付すると、貼り損ねたときの貼り直しが面倒=失敗への第一歩となってしまう。慎重に作業を進めよう。

 

マスキングテープで位置決めした部分に台紙を剥がしたデカールをそっと載せ、ゴムヘラでしごきつつ気泡や水を追い出す。丁寧に作業を進めれば、まずは失敗しないでどうにかなりそう。

マスキングテープで位置決めした部分に台紙を剥がしたデカールをそっと載せ、ゴムヘラでしごきつつ気泡や水を追い出す。丁寧に作業を進めれば、まずは失敗しないでどうにかなりそう。

 

定位置にデカールを貼付したら、ゆっくり慎重に保護シートを剥していく。真上に引っ張るとエア噛みしてしまうため、正反対方向にゆっくりと引っ張りつつ剥していくのが良いようだ。

定位置にデカールを貼付したら、ゆっくり慎重に保護シートを剥していく。真上に引っ張るとエア噛みしてしまうため、正反対方向にゆっくりと引っ張りつつ剥していくのが良いようだ。

 

保護シートをすべて剥がしたら、デカールを横方向からスカして見て、気泡が残っていないか確認する。残った気泡はヘラを使って上手に追い出そう。無理するとデカールが伸びてしまいNGだ。

保護シートをすべて剥がしたら、デカールを横方向からスカして見て、気泡が残っていないか確認する。残った気泡はヘラを使って上手に追い出そう。無理するとデカールが伸びてしまいNGだ。

 

カーブ部分の落ち着きがイマイチなので、ヒーターを使って温めて貼付した。ヒーターだと温度が高すぎてデカールがヨレヨレになってしまうため要注意。普通のヘアドライヤーが良いだろう。

カーブ部分の落ち着きがイマイチなので、ヒーターを使って温めて貼付した。ヒーターだと温度が高すぎてデカールがヨレヨレになってしまうため要注意。普通のヘアドライヤーが良いだろう。

 

デカールの貼付が完了。オレンジ部分は耐水研磨したままなので、ほとんど艶は無い。このような状況でも、クリアを吹き付ければ、驚きの艶、輝きとなる。いよいよ耐ガソリンの出番だ。

デカールの貼付が完了。オレンジ部分は耐水研磨したままなので、ほとんど艶は無い。このような状況でも、クリアを吹き付ければ、驚きの艶、輝きとなる。いよいよ耐ガソリンの出番だ。

 

今回はいきなり耐ガソリンスプレーを使ったが、エクボや段差をしっかり消したいときは、ラッカーの捨てクリアーを吹き付け、しっかり乾燥させて水研ぎし、それから仕上げ吹きするのが良い。

今回はいきなり耐ガソリンスプレーを使ったが、エクボや段差をしっかり消したいときは、ラッカーの捨てクリアーを吹き付け、しっかり乾燥させて水研ぎし、それから仕上げ吹きするのが良い。

 

ザッとひと塗りしたらストーブで乾燥させる。やはり1時間以上乾燥させた後に水研ぎし、エクボ付近や段差周辺をできる限りなだらかにする。くれぐれも磨き過ぎには要注意です。

ザッとひと塗りしたらストーブで乾燥させる。やはり1時間以上乾燥させた後に水研ぎし、エクボ付近や段差周辺をできる限りなだらかにする。くれぐれも磨き過ぎには要注意です。

 

最後に仕上げ吹きを行い作業完了。この後、ストーブで2時間以上乾燥させ、その後、さらに2日ほど放置し、それから表面を磨き剤でポリッシュして仕上げた。それなりに大満足の結果だった。

最後に仕上げ吹きを行い作業完了。この後、ストーブで2時間以上乾燥させ、その後、さらに2日ほど放置し、それから表面を磨き剤でポリッシュして仕上げた。それなりに大満足の結果だった。

 

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