掲載日:2019年09月17日 購入基礎知識 › バイク購入基礎知識
写真・文/佐賀山敏行(一間堂) 取材協力/ナインゲート 写真提供/ジーエス・ユアサ バッテリー SHORAI JAPAN デイトナ 古河電池
セルスターターにヘッドライト、最近ではETCやグリップヒーターなど、バイクを走らせる上でなくてはならない「電気」。その安定供給の要がバッテリーである。ここではその種類から交換の方法まで、知っておきたい「バッテリーのキホン」を紹介しよう。
【この記事の目次】
・バイクのバッテリーの種類とは
・バイクのバッテリーの寿命はどれくらい?
・バイクのバッテリー交換方法
・おすすめのバイクバッテリー
バイク用バッテリーとひとくちに言っても、さまざまな種類がある。一般的には鉛と電解液(希硫酸)の化学反応によって、電気を蓄えるのだが、なかには液の代わりにゲル状の希硫酸を採用したものや、リチウムを採用したまったく原理の異なるバッテリーも存在する。ここでは、それぞれの種類について特性を解説したい。
■開放式バッテリー
いわゆる昔ながらのバッテリー。たとえば一般的な12Vバッテリーでは部屋(セル)が6つあり、それぞれに希硫酸を注入する。するとあらかじめ内蔵されている鉛の電極板(プラスとマイナス)と化学反応を起こして電気を蓄えることができるのだ。ひとつのセルは約2Vの容量があり、6つのセルで合計12Vとなる。
定期的に電解液を補充しなければならず、現行の販売車両で採用されているモデルはほとんどない。
■制御弁式バッテリー(液入り充電済みタイプ)
一般的に「メンテナンスフリー(MF)バッテリー」というと、このタイプを指す。はじめに電解液を注入したあとは、補充の必要がない。「密閉式」とも呼ばれ、現在のバイク用バッテリーの主流。
ちなみに、このあとに紹介するゲルバッテリーやリチウムバッテリーも「メンテナンスフリーバッテリー」の一種である。ただし、メンテナンスフリーといっても、完全に何もしなくても良いわけではなく、定期的に電圧のチェックなどはおこないたい。
■ゲルバッテリー
「ジェルバッテリー」とも言う。電解液をゲル状にすることで、液状のバッテリーよりも長寿命。横に倒して使うことができる。
■リチウムイオンバッテリー
「リチウムバッテリー」や「ドライバッテリー」とも呼ばれる。同じ電力であれば、鉛バッテリーよりも小さくて軽い。また、寿命や自己放電率も鉛バッテリーに比べて有利なため、近年高い注目を浴びている。
注意点としては、鉛バッテリー用充電器を使用すると過充電となることがある。充電する時にはリチウムイオンバッテリー専用の充電器を使用したい。
バイクの使い方にもよるが、一般的には交換時期は2年に1度。251cc以上のバイクであれば車検が「交換サイクル」だと割り切るのが良いだろう。
なかには充電を何度も繰り返して同じバッテリーを使い続けているライダーもいるが、バッテリーは消耗品。毎日乗っているのに放電してしまって充電しなければならないようなら、それは寿命だ。潔ぎよく交換しよう。
また、2年経ってもセルもしっかり回るし、ライトも明るい……なんて場合でも、バッテリーには「突然死」という恐ろしい症状が出ることも。まだまだイケると思っていても、3年ほど経過していたら交換するのが無難だ。
バッテリーの収納場所は、車種によってバラバラ。車両を購入した際は、まずバッテリーとヒューズボックスの位置を確認しておくことをおすすめする。
バッテリーの交換で重要なのは、端子を外す(装着する)順番。外す際はマイナス→プラス。装着する場合は逆で、プラス→マイナスの順での作業を絶対に守ること。
なぜならバイクのマイナス端子はボディーに接続(ボディーアース)されていて、もしもプラス端子から先に外してしまうと、作業中に工具がフレームなどの金属パーツに触れてしまった場合、バッテリーのプラス側からボディーを通じてマイナス側に一気に大量の電流が流れる……つまりショートしてしまうのだ。
当然、そうすると火花が飛ぶので火傷や怪我の危険もあるし、最悪の場合、ガソリンに引火する可能性だって考えられる。そうならないためにも、順番は必ず守っていただきたい。
さて、今回はセロー250を使って、バッテリー交換の手順を紹介しよう。
■セロー250のバッテリー交換方法
セロー250のバッテリーは右サイドカバー内側にある。アクセスするためには、まずシートを外す。
続いて、右側のサイドカバーを取り外す。
サイドカバーを取り外した状態がコチラ。配線の奥に見える黒くて四角い物体がバッテリーである。
バッテリーの手前にある配線のうち、邪魔なカプラーをいくつか外し、さらにバッテリーバンドを取り外す。
バッテリーの端子は必ずマイナスから取り外すこと! 使用するのはプラスドライバーNo.2。
外したマイナスターミナル(配線)はバッテリーのマイナス端子に触れないように要注意。プラス端子作業中に工具が車体に触れるとショートしてしまう。
続いてプラス端子を取り外す。工具はマイナスと同じくプラスドライバーNo.2。
バッテリー本体を引き出す。配線を引っかけないように要注意だ。
こちらがセロー250のバッテリー。型番の「YTZ7S」のうち、頭2文字の「YT」はGSユアサ製を表し、「Z7S」はこのバッテリーの規格を表す。たとえば同じ規格なら、古河電池製は「FTZ7S」となる。
また、バッテリーは家庭ゴミとしては出せないので、廃棄する場合は交換用のバッテリーを購入した店舗や近くのバイクショップ、用品店、ガソリンスタンドに相談しよう。
新品バッテリーを装着。外す時と逆で、必ずプラスから装着すること! この後は、外したときと逆手順に装着していけばOKだ。
時計がリセットされるので、最後に時刻を合わせて終了。ちなみにトリップメーターもリセットされるので、燃費などを計っている場合は、事前にメモを取っておくことを忘れずに。
最後に編集部がおすすめするバイク用バッテリーを紹介。ポイントは、価格が驚くほど安すぎる海外製は避けること。
ネット通販などで売っている聞いたこともないブランドのものは、できれば避けたい。いくら安くても、外出先でバッテリーが突然死してしまっては、結局、レッカー代や新しいバッテリー代などで高い買い物になってしまう。
やはり安心しておすすめできるのは、国内2大ブランドの制御弁式バッテリー。さらに軽くて小さいリチウムイオンバッテリーも、きちんとしたブランドのものであれば、おすすめできる。
■編集部おすすめアイテム GSユアサ・製制御弁式バッテリー
世界中で愛用されるGSユアサのバッテリーは、やはり圧倒的な信頼性の高さがポイント。純正バッテリーとして多くのモデルに採用されている。
■編集部おすすめアイテム 古河電池・製制御弁式バッテリー
安定した電力供給に定評がある。古河電池のバッテリーは、純正バッテリーに採用されており価格は高めだが、それに見合うだけの信頼性の高さを持っている。
■編集部おすすめアイテム SHORAI JAPAN・SHORAI LFX バッテリー
鉛バッテリーと比べて圧倒的な軽さと低い自己放電率を持つSHORAI製リチウムイオンバッテリー。加工なしで純正バッテリーと交換可能。いま最も注目されている逸品だ。
■編集部おすすめアイテム DAYTONA・ハイパフォーマンスバッテリー
電解液をジェル状にすることで瞬間放電能力が高く、転倒時に電解液が漏れる心配がない。充電時間が短く自己放電が少ないためバイクに乗らない期間が長くてもで安心できるのが特徴。
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