【Page4】チューニング工程その4

シリンダーやシリンダーヘッドに均等な力を加えるため、4つの袋ナットを対角線上に締めつける。締めつけトルクは10Nm。想像以上に低いトルクなので、トルクレンチで管理したい。

フライホイールのTマークを突起部に合わせて、カムスプロケットの○印がヘッドの合わせ位置に合うようにカムチェーンに掛ける。この状態でカムチェーンテンショナーを組み付ける。

カムチェーンが張った状態でフライホイールを2回転させて、カムスプロケットの○印がヘッド側の合わせマークに合っていれば正しく組み付けられている。スプロケットボルトは9Nmで締めつける。

右側のヘッドカバー裏側にはヘッド内部を潤滑、冷却するオイル通路がレイアウトされている。スタッドボルト部を通じてヘッド上部まで上がったオイルは、プラグホール脇から燃焼室上部に入る。

ヘッド側と合わせると、オイルの流れがイメージしやすくなる。スタッド部から出たオイルはプラグホール右下の穴から燃焼室上部を冷却して左から出て、その後カムジャーナルに流れていく。

ヘッドカバーを固定するボルトのうち、燃焼室への入口と出口部分はM8のバンジョーボルトを使用する。つまりこのエンジンでは、ヘッド側面に接するカバー内側の溝がオイルラインとなるわけだ。

スタッドボルト部分からヘッドカバーの外に出たオイルラインにバイパスブロックをセットする。ここにオイルクーラーを取り付ければ、湿度の低いオイルで燃焼室上部を冷却できる。

使用した専用工具類。正確な締めつけトルクを管理するためのトルクレンチやシックネスゲージに加えて、カムシャフトのストップリングを装着するためのスナップリングプライヤーも必要だ。

オイルラインを兼ねた右側ヘッドカバー、YOSHIMURAとZのロゴが刻まれた左側カバー、さらにYの文字を浮き上がらせたタペットカバーなど、明確な個性を感じさせるエンジンが完成した。