キースター「燃調キット」にはメインジェットやパイロットジェット、ジェットニードル、フロートチャンバーガスケットなど、キャブレター内部の構成パーツが車種別にすべてまとめて揃っているのが特徴だ。これにより、面倒なキャブレターのオーバーホールをとても簡単に行えるようになっている。さらにもう一つの特徴として、ジェット類やニードルは数サイズがセットされている点が挙げられる。これでノーマルはもちろん、マフラーやエアクリーナーなどを交換した際、カスタムに応じて最適なセットアップもできるという、文字通り「燃調キット」としても使える商品なのだ。そんな便利なキースターの「燃調キット」には、どんなパーツが入っているのだろうか。今回はカワサキKSR-Ⅱ用のキットを例に、その中身をじっくり紹介しよう。

おもにスロットル開度が1/2~全開付近(中速~高速域)における燃料供給量を決めるパーツ。#80などの数字が表記され、数字が大きいほど燃料が濃くなり、小さいと薄くなる。キースター「燃調キット」には6種類が用意されている。

スロージェットとも呼ばれる。アイドリング~スロットル開度1/4付近(低速域)の燃料供給量を決めるパーツ。メインジェットと同様に#30などの数字が表記され、キースター「燃調キット」には3種類が用意されている。

メインジェットに刺さる針状のパーツ。スロットルバルブに連動して上下し、メインジェットとの相互作用によって、スロットル開度1/4~3/4付近(中速域)の燃料供給量を決める働きをする。ニードルの溝にEクリップをはめる位置によって燃調を変化させるほか、ニードル自体の番手(テーパーの角度が違う)の変更でも燃調は変化する。キースター「燃調キット」には4種類が付属。写真下のパーツはニードルの受けとなる筒状の「ニードルジェット」というパーツだ。

フロートチャンバー内のガソリン油面を一定に保つため、フロートと連動してガソリンの通路を開閉する役割を持つのがニードルバルブと、外側にある筒状のバルブシートだ。2つのパーツの接触幅はきわめてデリケートだが、キースター「燃調キット」では非常に高い工作精度で要求を満たしている。写真のKSR用は純正に準じた金属製(洋白製研磨ニードル)だ。

純正パーツのニードルバルブの先端がゴム製の場合には、キースター「燃調キット」においても同様にゴム製を採用。しかも純正に比べてバイオ燃料に含まれるアルコール成分に対する耐性が非常に高く、耐久性に優れたゴムを採用している。このゴムニードル技術は第33回発明大賞発明功労賞を受賞。純正パーツと比較してもその品質が“ええ”ことからAAニードル(Anti Alcohol Needle)と名づけられた。ちなみにゴム製と金属製の違いは純正パーツに準じた素材を採用しているだけで、優劣があるわけではなく、どちらも優れた加工精度で高い品質を誇っている。写真はホンダNSR50用。

エアースクリュー(写真上)はパイロットジェット(スロージェット)から出る混合気の空気の量を決める役割のネジ。一般的には締めると混合気が濃く、緩めると薄くなる。スロットルスクリュー(写真下)はアイドルストップスクリューとも呼ばれるネジで、アイドリングの回転数を調整する役割を持つ。燃調には関係なく、締めると回転数が上がり、緩めると下がる。

冷間時のエンジン始動性を高めるために、バルブを開いてガソリンの流量を増やす機能を持つ(この先にノブがつき、それを操作する)。空気の通路を狭めて流速を上げ、吸い出すガソリンの量を増やして始動性を高めるチョークとは構造が違うが機能は同じだ。

キャブレター上部と下部のガソリンをためておくフロートチャンバーとの間を密閉するためのパッキンの役割を持つ。キースター「燃調キット」のものは正確に加工され、ずれることなくピタッとはまる。

キースター「燃調キット」のパーツは、確かな加工技術によって形状やサイズが純正と同じに仕上げられており、どのパーツもピタリとはまる。必要なパーツが車種別に1パッケージにすべてまとめて入っているので、劣化したパーツをまるごと取り換えれば、キャブレターのメンテナンスやオーバーホールがより簡単に行えるのだ。対応車種も500以上と種類も豊富で、プロの整備士からサンデーメカニックまで、愛用者の多い頼れる商品だ。