時代を超える“キャブレター浪漫”を
しっかり支える『キースター』

掲載日/2024年6月28日
取材協力/岸田精密工業オートショップ・アオ
取材、撮影、文/小松男
構成/バイクブロス・マガジンズ
“キャブレターは面白い”、これに尽きる。インジェクションしか知らない今の世代のライダーにもそれを伝えたい。ただ現在はインジェクションモデルが主流となっており、キャブレターのメンテナンスをするにも経験、技術、そしてジェット(噴霧器)をはじめとする構成パーツが必要となってくる。そんなキャブレターライフをサポートしてくれる心強い存在が『キースター』の燃調キットだ。

奥が深く長く楽しめる
いまこそキャブレターモデル!

内燃機関、つまりバイクの場合はガソリンエンジンを主に指すが、このエンジンにおいて燃料と空気を混ぜ合わせて燃焼室に送り込む“気化器”が必須となってくる。

その気化器はいまでこそインジェクションが主流となっているもののキャブレターを使用してきた歴史は長く、モーターサイクル史を振り返ればまだまだ現存する車両はキャブレターを使用したモデルが大半を占めている。さらに最近では絶版車ブームも追い風となり、キャブレターモデルの需要は高い。

とはいえキャブレターが主流だったのは2000年代以前のことで新しいモデルだったとしても、もう四半世紀近く前の話となってしまう。そのためパーツの供給ということに関しても心配に思えてしまう人は少なくない。でも大丈夫、と言えるのは『キースター』の燃調キットがあるからだ。

キースターの燃調キットには、ニードルバルブ、アイドル(エアー)スクリュー、フロートチャンバーガスケットなどキャブレター構成パーツがすべてまとめられているだけでなく、ジェットやニードルは数サイズがセットとなっているので、ノーマル状態からエアクリーナーやマフラー交換時など幅広くセットアップすることができるのが特徴だ。

今回は、このキットを長年使用しているという長野県塩尻市の『オートショップ・アオ』に行き、キャブレターメンテナンスの”イマ”を伺うことにした。

オートショップ・アオは国産4メーカーの新車を取り扱うだけでなく絶版車系にもとても強い。創業から40年以上に渡り蓄積してきた技術と経験を頼りにしているライダーは多い。

今回お話しを伺ったオートショップ・アオの代表取締役を務める青柳歩さん。同店はCBやZ系だけでなく、レアな絶版車でもメンテナンスし調子を取り戻してくれる、駆け込み寺的存在となっている。

キースターの燃調キットがあれば
絶版車ライフも不安なし!

長野県塩尻市と言えば、首都圏や名古屋からもアクセスが良く、気持ちよく快走できるワインディングロード、素晴らしい眺望を楽しめる未舗装路、そして温泉や食も充実している日本有数のツーリングのメッカだ。そのようなシチュエーションにお店を構えるオートショップ・アオは、昭和56年創業の老舗バイクショップである。

現在は2代目となる青柳歩さんが代表を務め、近隣エリアを中心にライダーたちのバイクライフを支えている。その青柳さんにキースターの燃調キットについて話を伺った。

「製造元の岸田精密工業さんのキャブレターパーツは、キースターブランドを立ち上げる前のリペアキット時代から使っており、かれこれ20年以上のお付き合いとなります。

 その当時から、クルマ・バイク業界全体がインジェクションに移行しつつある中でも昔から所有する愛車を長く乗りたいと思っている方は多かったですし、その後絶版車ブーム、そして最近ではコロナ禍によるバイクブームなどから、キャブレターモデルの需要はさらに高まりました。

 もちろん新車も良いのですが、旧車にはまた違った魅力があることを、我々もユーザーも分かっているのです。でもやはり古いモデルだと故障した際の修理やメンテナンスが問題となってきます。メーカーでも数十年前の車両となるとパーツが供給されなくなってしまうからです。

特に何年も放置されていた個体を復活させる時には色々とパーツが必要となってくるのですが、何よりもまずエンジンを始動させることが重要となり、その際にキャブレターのメンテナンスが必須事項となってくるのです。

長時間動かしていなかった車両は、まずキャブレターが目詰まりしていたりニードルなど正常に作動しないことがほとんどで、そんな時に助かるのがキースターの燃調キットなのです」と青柳さんは話す。

オートショップ・アオの旧車に対するメンテナンススキルの高さはバイクショップ業界でも有名で、メーカー系正規ディーラーなどから紹介されて訪れるオーナーも多いのである。

これまで使ったキースターの燃調キットの一部。このほか膨大な量がストックされている。例えば将来的にマフラーを交換するとかカスタム車をノーマルに戻すなどといった場合でもセッティング出しが行えるようにしているのだ。

シングルエンジン、マルチエンジン、2スト、4スト用などなど、数多くのキャブレターがストックされている。純正で使えるパーツはなるべくそのまま再利用し、摩耗などで使うことが難しい場合にはキースターの燃調キットを組む。

キースターの燃調キットは
精度の高さとセット内容がバツグン!

燃調キットについて語ってくれた青柳さんの言葉の中からもっとも気になったことは、キースターは精度が高く、ポン付けでばっちりだということだ。

スロー及びメインジェットやニードルだけでなくフロートチャンバーガスケットなどまでもしっかりと作られているという。

取材時には実際に純正、他社アフターパーツ、そしてキースターの燃調キットに含まれるフロートチャンバーガスケットを比べてみたが、材質も穴の位置もバッチリ。これならば燃料漏れや、それを抑えるために締め付け過ぎて接合部分の形状が変わってしまうことも無いだろう。

それに付け加えて、500車種以上に対応している種類の豊富さも助かっているということだ。

コンピューターが計算し混合気を噴霧するインジェクションは確かに便利であるに違いないが、アナログで少々面倒であっても調子の良いキャブレターモデルの、右手の動きに忠実に反応するあの気持ちよさは他には代えられないものだと筆者は考えている。

「今現在絶版車を楽しまれているほどんどのオーナーは新車当時の調子の良さを知りません。だから、とりあえず走る状態でも”こんなもんだろう”と思っている場合が多いのですが、そんな車両にキースターの燃調キットを組み込むと、素晴らしいフィーリングが蘇るのでみんなびっくりされますね。キースターの燃調キットがあれば絶版車ライフは長く楽しめると思います」と青柳さんはつけ加えてくれた。

左から純正、他社、そしてキースターの燃調キットに含まれるフロートチャンバーガスケットだ。ぱっと見はすべて形状が一緒に見えるが、それぞれ材質は異なる。

ネジ穴の部分に注目して欲しい。キャブレターにあるメス側の穴と若干ズレていることが分かる。燃料漏れの原因となるかもしれないし、無理にネジを締め付けることで、ベースの形状が崩れてしまうこともある。

上の写真と比べれば歴然だが、ネジ穴がピッタリ合っている。キースターのフロートチャンバーガスケットの精度の高さはこういった部分からも分かる。プロからサンデーメカニックまで幅広く愛されている理由だ。

”キャブレターモデルのメンテナンスならアオさんへ”と言われるほど信頼と高い技術力を持つオートショップ・アオ。そのテクニックを頼りに長野県下はもちろん遠方からも訪れる絶版車オーナーは多い。

INFORMATION

住所/長野県塩尻市洗馬5531-1
電話/0263-52-9084
メールアドレス/as-ao@nifty.com
住所/兵庫県尼崎市元浜町4丁目85-1
電話/06-6411-4001

1941年に創業されてから二輪・四輪のキャブレターパーツを専門に取り扱っている岸田精密工業。国内外において「KEYSTER」のブランドで展開し、その信頼性は高い。