コンセプトを体現したマイナーチェンジを経て、さらにフレンドリーになったMT-25

掲載日/2020年6月26日
取材協力、写真提供/ヤマハ発動機販売
文/伊井 覚
構成/バイクブロス・マガジンズ
ヤマハMTシリーズの始まりは2005年、海外向けに発売したMT-01まで遡る。1670ccという大排気量の空冷エンジンを搭載しており、最大トルクは150.3N・mを誇った。そもそもMTとは「マスター・オブ・トルク」を意味し「乗って楽しいバイク=トルクのあるバイク」という発想からきている。元来ヤマハはSR400やセロー250など、パワーよりもトルクを重視し「速いバイク」よりも「楽しいバイク」を目指す傾向にあるメーカーなのだ。そんなヤマハが現在MTシリーズの末弟に据えるMT-25(タイでは155ccのMT-15もある)が、今年マイナーチェンジを果たした。

見た目も走りもマイナーチェンジとは思えないほど変わった
2020年式MT-25

写真はMT-03 ABS

2020モデルではまずフロントフェイスのデザインを大きく変更した。まるでロボットの顔のようにも見えるデザインは、ともすればヘッドライトが小さく光量に不安を覚えるかもしれないが、細長い2つのLEDポジションランプと、超小型LEDモノアイヘッドライトは、夜間の走行でも十分な光量を提供してくれる。

これまではタコメーターがアナログ表示だったメーターも、今回のモデルチェンジではフル液晶マルチファンクションメーターに一新。スピードやギアポジションも大きく表示され、格段に見やすくなった。

タンクカバーも新しいものに変更された。旧モデルに比べ幅広でボリューム感が増し、ニーグリップ時の一体感とフィット感をより感じられる形状になっている。250ccクラスながら、見る者に大型車をイメージさせる。

走行性能という面では最も大きく変更されたポイントとしては、フロントサスペンションだろう。これまでは正立式だったものが、37mm径インナーチューブを採用した倒立式に変更されたのだ。剛性が増し、コーナー、ブレーキでのフロントタイヤの接地感が向上、より自然なハンドリングを体感できるマシンへと生まれ変わった。また、新作のアルミ鋳造製ハンドルクラウン・スチール鍛造製アンダーブラケットを採用。さらに今回のモデルから前後ブレーキにABSが標準装備された。

ハンドルバーの高さにも違いが見られる。そもそもMT-25自体がYZF-R25に比べハンドルが高く、前傾姿勢にならずに気負わずに乗れるフレンドリーなマシンであるが、この2020年モデルではさらにハンドルの高さを44mmアップ。さらに気楽かつ自由なライディングポジションを実現しているのだ。

カラーリング・価格など

YAMAHA
MT-25 ABS
本体価格:¥565,000(税抜)
カラー:マットライトグレーメタリック4(マットライトグレー)、ディープパープリッシュブルーメタリックC(ブルー)、ブラックメタリック12(ブラック)

マットライトグレーメタリック4(マットライトグレー)

ディープパープリッシュブルーメタリックC(ブルー)

ブラックメタリック12(ブラック)

繰り返しになるが、MTシリーズが目指すのはとにかく、乗って楽しいバイク。「Torquey and Agile」をコンセプトに開発されたこの新生MTシリーズは、そのコンセプト通りトルクがあって、キビキビ走る。その中でも国内販売ラインナップで唯一、車検なしで敷居の低い250ccクラスであるMT-25 ABSは、今回のマイナーチェンジでさらにフレンドリーさを増したように思える。近々ライディングインプレッションもお届けする予定なので楽しみにしておいてほしい。

INFORMATION

住所/静岡県磐田市新貝2500
電話/0120-090-819