【カスタムアーカイブ】懐かしさで溢れる初代フォルツァのフルカスタム

フルエアロ、ロンホイ、エアサスと
当時の三種の神器で構成された初代フォルツァ

ビッグスクーターブームのきっかけを作った初代と２代目のヤマハ・マジェスティに対抗する形で、2000年3月に初代モデルが発売されたのが、ホンダ・フォルツァだ。速さを想像させるスポーツバイクのような雰囲気を随所で表現したことで、街中に溢れるライバル車とは一線を画す、というホンダの心意気が充分に伝わってくる車両だった。

今回ご紹介する車両は、2007年頃にピットインオートが製作した初代フォルツァのフルカスタム車である。同店はバイクメーカーの正規販売店であるため、コンプリート車を中心に初心者を対象とした展開が得意なお店であった。そのため、フルエアロ、ロンホイ、エアーサスペンションという、当時の人気内容を盛り込んだハード系の車両の存在は珍しい。

完成したこの初代フォルツァに注目していると、ベースとなった車両がいかにスポーティなスタイリングだったかが改めて実感できる。エッジの効いた二眼ヘッドライトとスラントノーズとなったフロントの造形。リアの跳ね上がったテール部などは、純正の造形の美しさが溢れている。それに加えて、当時大人気だったブランド、マッドスピード製のエアロを全て装着することで、そのスポーティ感を増幅。エアサスによる着地したスタイルを、より強調するフロントアンダースポイラーの存在感。ボルトオンでロングホイールベース化できるハリケーン製のキットによる全体のバランス。カチ上げスタイルの迫力と実用性を兼ね備えたホットラップ製スタックアップマフラー。そして、ボカシ塗装を施したインナー塗装による妖艶な煌めきなど。これら全てが融合された初代フォルツァのフルカスタムとして、記憶に残しておきたい１台だ。

詳細写真

チョップタイプではなく、スクリーンレスが時代性を物語る。ヘッドライトの形を変えることなく、スポーティさを意識したデザインが特徴。サイド、フェンダーもフロント同様のマッドスピード製を装着。

異なるサイズのパイプを2種類使ったテールエンドと豪快なカチ上げで、当時大人気だったホットラップ製スタックアップマフラー。音質、パワー感も両立させた優れものだ。

センター部に堂々と鎮座するMAC TOOLS製タコメーター。ドラッグレーサーを連想させるこの潔いレイアウトに感服するばかり。ハンドル周りもスポンジやゴルゲートチューブを多用して、ラグジュアリー感とは異なる雰囲気を演出している。

ビッグローターにベルリンガーの6ポットキャリパーなど、ビジュアル重視のパーツ選択はビッグスクーターならでは。これこそが、構成美というものなのだ。

インナーは、エッジにボカシを入れて塗装済み。外装のブラックと対照的な色合いのため、フォルツァがより渋く見える。