掲載日:2023年10月25日 プロが造るカスタム
取材協力/Bike Shop Clean 取材・写真・文/ガスグラフィックス
各部のエッジが効いたゴツイデザインのエアロは、千葉県市川市で活動しているBike Shop Clean(バイクショップクリーン)のオリジナル商品だ。元々ヤマハ系ディーラーのYOU SHOPとして活動していた同店は、ビッグスクーターブームが到来した時代に、このようなオリジナルパーツの販売やカスタムを積極的に手掛けていたお店のひとつ。代表の町田さんは、1976年に全日本トライアルジュニアクラスでチャンピオンを獲得。その後、最上位クラスに昇格して戦っていたという、スクーターに携わったプロショップの中では、唯一無二の経歴の持ち主でもある。
この車両が製作された2007年当時は、派手系スタイル=グリッターがまだまだ元気だった時代。現在のようにカスタムスタイルが細分化を始めていたが、それでもバッドボーイを演出する厳ついデザインのエアロは、ビッグスクーター初心者をはじめ、様々なユーザー層に支持された。結果的に、各ブランドから多種多様なエアロが発売され、各店が日夜、オリジナリティあるデザインやアイデアを求めて、凌ぎを削っていた時代なのだ。
実際、BSクリーンもデザインについて試行錯誤したであろうことは、容易に想像できる。YOU SHOPという正規販売店である以上、初心者にも親しみやすく、手軽に装着できるパーツでありたい。しかし、ライバルにも負けない存在感は失いたくない。そして、カスタム上級者にも認められるよう、フロント、サイド、リアスポイラーだけではなく、フェンダーやアンダーカウルなど、全体的にプロデュースしたい。さらには、これらのエアロを装着するだけではなく、しっかりとフルカスタムされた車両を完成させたい。作り手の思惑は、このグランドマジェスティから随所に溢れている。地味な部分ではあるが、例えばエアサスタンクをバックレストに内蔵したこともそのひとつ。また、スクーター以外のジャンルでは有名なKファクトリー製サイレンサーを流用したのも、そういう理由だろう。流行していたからこそ生み出された、様々なアイデアとカスタム事例。当時の内容を紐解いて、ぜひとも現代の最新カスタムへのヒントを見つけ出してほしいものだ。
あらゆる箇所にエッジが設けられたBSクリーン製エアロ。フロントフェイスはメーターバイザーをカットせずそのまま使用できるスタイル。また、ヘッドライトやウインカーも可能な限りノーマルの状態で使うことを目的としている。こういったデザイン上の制約があっても、それに果敢に挑戦して製品化したBSクリーン。カスタム専門ではなく、正規ディーラーという責任感が導いた努力の賜物だ。
サイドカウルとフロントフェンダーも、鋭利なエッジ加工が特徴。各部のデザインに統一性を持たせることで一体感を演出した。フロントディスクはダブルディスク化されているが、グランドマジェスティ400が純正でダブルとなっており、フロントアウターフォークなどを揃えることで簡単に装着可。Gマジェユーザーは、ぜひお手本にしてほしいアイデアだ。
ハンドル周りはそれぞれの有名人気パーツをセレクト。ハンドル、ライザー、グリップ、マスターシリンダーなど、全てをメッキで統一。ミラーは、限りなくボディから隠れるよう、しかし視認性は確保できるように工夫を重ねてこの位置に装着。ボディ同色に彩られたステップボードもBSクリーンのワンオフパーツ。
ラメ入りエナメルシートもBSクリーンのワンオフによるもの。ラメ入りパープルのボディに合わせており、このギラツキ感がグリッターと呼ぶにふさわしい雰囲気だ。タンデムバーとバックレストも同様のラメ入り加工が施されているが、注目はエアサスタンクを内蔵したバックレストだ。エアサス化するにあたって絶対に欠かせないタンクの設置。エアーを貯蔵するための必須アイテムだけに、どこに隠すかが各店の腕の見せ所となる。BSクリーンでは、メットインスペースの積載性をできるだけ確保することを重要視したことで、この位置にタンクを内蔵する案で完成させた。
当時人気だったカチ上げスタイルのマフラーだが、サイレンサーがKファクトリー製といのは珍しい。チタンブルーの美しさもさることながら、過激なまでに上げられたこの角度。これを実現するために、エキパイ部もワンオフでトグロ巻きを製作。このようなルックスでも、排気効率やパワーフィールと見ためを考慮したアイデア品なのだ。
シンプルとは対極の位置にあるBSクリーン製リアスポイラー。厳つさが欲しいユーザーにはピッタリのデザインだった。バックレストは、ここにエアサスタンクが内蔵されているとは思えないほど、自然な作りとなっている。
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