掲載日:2023年05月17日 プロが造るカスタム
取材協力/KOTANI MOTORS 取材・写真・文/ガスグラフィックス
過去を振り返れば、バイク業界では今までいくつかの“ブーム”と呼ばれる大流行の潮流が何度もあった。最も大きな波は、ジャンルではなくバイク業界全体が大盛り上がりした80年代前半から始まったバイクブームだろう。その後、80年代後半から90年代前半にかけてレーサーレプリカ、90年代後半にはトラッカー、2000年に入ってすぐにヤマハTWが新しいブームを作り出し、その後に生まれたのがビッグスクーターだった。結果的にビッグスクーターも終焉を迎え、今では少数精鋭のユーザー達がこのジャンルを守ってくれている。そして、その終焉の影響で、ブーム当時に名を馳せた数々の人気パーツブランドも消滅したのだ。
そんな状況の中で、流行が過ぎたこの時代でも未だにエアロを出し続けているメーカーがある。それが、広島県呉市にあるコタニモータースだ。同店はビッグスクーター専門店ではなく、創業当初から今に至るまでバイク販売店として活動しており、それが流行り廃りに左右されず業務を継続できている一因だ。それと同時に、そのブレない精神こそ同店代表の小谷泰之さんのテーマであり、今でも新作エアロを作り続ける理由でもある。ちなみに2022年8月に、新型PCX用エアロとしてデビルシリーズを新たにラインナップ。250ccの車種ではなく原付二種クラスでの商品化だが、16年前に誕生したエアロブランドが、未だに継承されていることは称賛に値する。
今回ご紹介する車両は、そのデビルシリーズの中でもグランドマジェスティ用として2006年に開発販売され、それらのエアロを装着した1台だ。小谷が敬愛する、漫画「デビルマン」の世界観を表現した造形術で、車種に関係なく一貫したデザインを採用。どんな車種でも、装着すれば誰もがデビルだと判別できる独創性が魅力的だった。ブームの真っただ中で、この世には溢れるほどのエアロ製品が誕生した。そんな時代から、コタニモータースとデビルシリーズは、孤高の存在として今でも君臨しているのだ。
デビルシリーズ全体の特徴は、各部に見られる鉤爪型の造形だ。フェイスの場合、ヘッドライト上部にさりげなくそのデザインが配置される。また、純正では1眼だがセンターノーズ部分も下部へと延長させることで、2眼ライトへと変貌させてくれるのも人気の理由だった。
フロントサイドとフロントアンダーカウルにも同様の鉤爪デザインが施されている。さらにこのグランドマジェスティには、ピンスト&ゴールドリーフを追加。このデビルシリーズの特徴である各部の造形美を、より強調するように描かれている。
コタニモータースでは、自社製品となるブリッツマフラーを開発するより前は、好んでこのデビル製マフラーを愛用していた。そのブランド名によるところが大きいが、パワー感や音など、法律をクリアしながら限界までその性能を高めていることも重要だった。
ハンドルは当時大人気だったオーバルのリクライドバーをセットし、さらに各部をメッキ化。コタニモータースでは、既存のメッキパーツ着用だけではなく、自社でメッキ加工を施していた。光沢感や高級感に溢れたメッキパーツはビッグスクーターで楽しめるさり気ないカスタム箇所とも言える。インナーカウルはピンクラメに塗装済み。
張り替えによるワンオフシート。パイピングとタンデムバーは、ボディカラーに合わせて黒を選択。メインの表皮は濃いブラウン系で、この質感の高さも人気の理由。
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