掲載日:2023年03月22日 プロが造るカスタム
取材協力/PIT IN AUTO 取材・写真・文/ガスグラフィックス
1995年にマジェスティ250が登場しなかったら、その後のビッグスクーターブームは存在しなかった。そのマジェスティシリーズの3代目、名称に「グランド」が追加されたグランドマジェスティは、人気絶頂の2代目の走りの本質を高めたヤマハの意欲作だった。アルミフレーム採用、フロント14インチ、リア13インチの大径化など、先代モデルとは明らかに差別化されたモデルだったのは間違いない。しかしそれが仇となり、当時のストリートシーンでは支持されなかった不遇のモデルだった。その結果、マジェスティCやライバルのフォルツァよりも、社外品も多くなかったのだ。そんな事もあり、グランドマジェスティ用の製品はとても貴重なモノもある。その中でも、このピットインオートが自社ブランドとして発売したこれらの製品は、かなりレアな存在となる。
ピットインオートは自社ブランドとして、メインのB’s Style以外に、C’s Style、ワイルドライオンなどが設立されていた。その中で、グランドマジェスティ用のエアロとして登場したのがM’s COLLECTIONだ。スポーティなルックスだけじゃなく、フロントスポイラーや2段デザインのリアスポイラーなどは、ライバルパーツにはない一目でどのブランドかが分かるデザインが画期的だった。さらにピットインオートでは、これらのパーツを装着してコンプリート車として販売。カスタムショップではなく販売店として活躍している同店だけに、パーツは基本的にボルトオン。外装塗装とシート加工のみで、こういったライトなスタイルを数多く提案していたのだ。
前後灯火類やウインカーも純正のまま、ほんの僅かなローダウン。そして、規制も完全クリアした排気系と、ピットインオートのスタイルは完全正統派である。このような車両が、当時のブームの基盤を支えてくれたのだ。ブームが去った昨今は、どうしてもハイレベルなハードカスタム車ばかりが注目されてしまうが、こういったスタイルこそがビッグスクーターカスタムの本来あるべき姿なのではないだろうか。