掲載日:2022年10月05日 プロが造るカスタム
取材協力/MUGEN 取材・写真・文/ガスグラフィックス
いつもはローダウン、ロングホイールベース、エンジンスワップといったハードカスタム車の紹介が多いが、今回は趣向を変えて懐かしい純正オプション装着車の紹介をしたい。ビッグスクーターが大流行した時代は、車両を製造販売するバイクメーカーも、このジャンルを積極的に応援する姿勢を見せていた。その結果、他のバイクジャンルに圧倒的な差をつけて急成長したビッグスクーターという市場規模に合わせて、各社が純正オプションパーツを開発。しかもそれらは、由緒正しいバイクメーカーによる商品だから、質感の高さや装着による性能向上は当たり前の商品だった。派手で過激なハード系を好むユーザーが増える一方で、ビッグスクーター本来の実用性や快適性を求める一般ユーザーが求めるものを正しく提供するという、大企業ならではの理念をしっかりと守って生み出されたパーツも、数多く存在したのだ。
今回紹介するフォルツァ(MF08)は、ホンダの純正オプションパーツメーカーである無限によって作り出されたものだ。主な改造ポイントは、フロントマスク、シート、マフラーといくつかの外装部品が装着されたのみ。これらの商品は一般的なバイクと比較すると、絶対的な性能の追求ではなく、外観や質感の向上を目指して誕生したドレスアップパーツが主となる。しかし、単純に見た目を追求したのではなく、無限が手掛ける以上は、意味のあるデザイン、使用感などにこだわって商品化されたものばかりだ。それはエアロのデザインを見ても一目瞭然。ダクトとは決してドレスアップパーツではなく、性能を追求するための要素のひとつ。無限が作るエアロだからこそ、ダクトの意味が求められ、そしてそれに答えたスタイルを持って完成しているのだ。
今思えば、こうした純正オプションパーツは、本当に質の高い商品ばかり。こういった商品が廃盤となっており、新製品として購入できないのは非常に残念だ。しかし、ビッグスクーター用メーカー純正オプションパーツは、一部を除いて不発に終わってしまったものも少なくない。ということは、意外とレアな商品が、探し方によっては程度良好な中古パーツとして存在している可能性もある。正統派を求めるユーザーは、そういった楽しみを持って、これらのパーツ探しに興じてみるのも面白いのではないだろうか?
フロントマスク前方に堂々と鎮座したダクト。これは実際に導入した風がエアロ内部を通り抜け、フロントマスク上部へと流れていく正真正銘のエアロパーツ。ビッグスクーターでもしっかりと性能追及を目指した無限らしい外装パーツだ。
ハンドル上部からの写真を見れば、フロントマスクの導入風が流れる上端の開口部(メッシュあり)が見えるだろう。ハンドルまわりに関しては基本ノーマルだが、さりげなくメーターが追加してある。
装着された3つのメーターは、無限アシストメーターと呼ばれるもので4輪用を流用。水温、油温、油圧の表示が可能で、走行中のピーク値を表示したり、任意で設定した値を超えると警告ランプが点灯する。ダッシュボードに収められたコントローラーで、これらの各モードの切り替えや設定を行うもの。4輪用のためフォルツァ用としての正規販売品ではなかったが、オプションパーツ装着車を製作する上でさらなる無限らしさを求めた、無限スタッフのこだわりが垣間見えるモディファイだった。
アルカンターラを活用したシートも、ホールド性や乗車時のライダーとシートの接地感や滑り具合などにこだわった逸品。無限のイメージカラーであるレッド/ブラックの質感も、高級感がありマニアに注目された。
アルミ削り出しによるパーキングレバー。質感向上と共に、触れた時の手触り、使いやすいサイズ感などを最適値で設計。こういったさり気ない部品にも演出された高級感こそ、車両メーカーの純正オプションパーツである証明でもある。
存在感溢れるマフラーも正規ラインナップ品。消音性能とパワーフィールの向上という対照的な性能を両立させた優れもの。ステンレスの質感にも上品さが溢れており、パワーと音質にこだわるユーザーは中古で探してでも選んだほしい逸品である。
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