掲載日:2021年09月22日 プロが造るカスタム
取材協力/TOP MOST
取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターの純正デザインは、ロー&ロングを追求していくとどうしてもフロント周りの頭の大きさが気になってしまう。そこで生まれたのが、スーパースポーツ系バイクのフロントを流用するテクニックで、今から10数年前のブーム絶頂期にはすでに実現されていた。そこで得られるスポーティ感は格別であり、その完成度と満足感で充足されたいユーザーからは、今でもひとつのジャンルとして人気を集めている。この美しいキャンディレッドに彩られたマジェスティCもこの“SS系”を実践した1台であり、前回紹介したグレーのマジェスティCと同様にトップモストが製作。またこちらも、「Calm」への参加を予定していたが緊急事態宣言により泣く泣く断念した車両となる。
フロントフェイスのベースとなったのはドゥカティ1098/1198系。初代の登場が2007年と14年前の車両ではあるが、当時のイタリアンデザインは今でも見劣りしない美しさを放っている。ヘッドライト、スクリーン、ダクト部分を造形加工し、マジェスティCに合わせてフィッティング。文字で書いてしまえば、ただそれだけの作業に聞こえるが、取り付ける位置、細かいラインや面の修正を得て、まるで純正であるかのような美しい仕上がりが実現できるのだ。さらに絶妙なのは前後の足回りのバランス。フロントにも4輪用のワーク製エクイップを装着したことで、車両全体のボリューム感が均一化され完成度が数倍引き上げられていた。
そして仕上げは、ご覧の通りの美しいキャンディペイント。熊本県の老舗ぺインター、リバティーロードデザインズによる秀逸な質感は、オーナーとトップモストがどれだけ本気でイベント参加に取り組んでいたのかを実感させてくれる。こういった車両が生まれる背景には、やはりイベントの開催有無が影響しているのは間違いない。早くコロナ禍が落ち着いて、心置きなくビッグスクーターのユーザーが楽しめる日が訪れることを、切に願っている。
まるで純正デザインであるかのように自然な仕上がりを見せるフロントフェイス周り。しっかり観察すると、基本的にはベースとなったドゥカティ1098/1108系の純正デザインを尊重しているのを実感。スガシンサイドエアロと共に違和感のない造り込みに感動する。
前後ホイールはワーク製エクイップで、フロントが5J、リアは11.5Jを選択。4輪旧車系のみならず、ビッグスクーターでも人気のデザインとなったことが興味深い。カラーも細かいフレークを多用した茶色味の強い色合いを選び、黒く彩られた機関や足回り系と共に車体イメージを引き締めるのに大きな効果をもたらした。
この車両にはトップモスト製兄管(アニカン)を2本出しで装着しているが、嫌みが出ないほどよいサイズ感とデザインはどんな車両にもマッチする。黒塗りされていることで、さらに目立ちにくくなった。
セパレートハンドルはインターセプト製。ブリッジ部がシンプルなデザインのため、セパハン化してもハンドル周りがシンプルに構成できるのがポイント。車両の品の良さを損なわないように絞り過ぎないハンドル角も必見。
エアサスは当時のブームの最大人気商品だったエーピーアール製DC-AIRを装着。フレーム着地はハードカスタムを目指すユーザーには、いつの時代も憧れの的。リアサイドアンダーカウルはゴッティ製で、このエアロの有無が横側のビジュアルのキーポイントになっている。
シートはトップモスト、リアカウルはゴッティと、両人気ブランドの共演。11.5Jの幅でも大きく見えないリアカウルのワイド感が人気の理由。そこに描かれる独特のグラフィックとキャンディレッドのペイントは、ビッグスクーター界でもブーム当時から深く関わるリバティーロードデザインズによるもの。ドレスアップ系のみではなく、モータースポーツ系ヘルメットのペイントなども手掛けるため、その独特の雰囲気に憧れるユーザーが多い。
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