掲載日:2020年08月26日 プロが造るカスタム
取材協力/PIT IN AUTO 取材・写真・文/ガスグラフィックス
TMAXオーナーには走りを楽しむ人が多いのは間違いないが、長いスクーターカスタムの歴史の中でも、最もインパクトが強いのは間違いなくこの車両だと思う。スクーターブームの最初期より、車両販売店でありながら精力的にオリジナルのスクーターパーツを生み出し、かつカスタム車も手掛けてきたピットインオート。現在も販売店として活動を続けながら、スクーター以外の様々なカスタムも手掛けている同店が、2009年頃に製作した1台となる。
3色のファイヤーパターンが彩られた外装もさることながら、随所に施された金メッキ。スクーターではメッキを多用するラグジュアリースタイルがひとつのジャンルだったが、それともまた異なる雰囲気。当時、シンプルと対局の位置にいる派手なスタイルが“グリッター”と呼ばれており、このTMAXはそのジャンルを象徴する車両だった。なお、車両オーナーは、メッキ加工業を営む老舗、佐藤鍍金工業所の佐藤さん。つまり、自社のメッキ加工技術のPRも兼ねてのカスタム&チューニング車だったのだ。
このTMAXは見た目だけにとどまらず、足回り、吸排気系にもライトチューニングが施されている。ポイントは、YZF-R1の純正品を流用したブレーキ系の変更と、TMAXユーザーからも強く支持されてきたレッドモーター製プロドラッグマフラーや、同店オリジナルのフラットシートの装着だ。走りを楽しませてくれるというTMAXならではの面白さを、しっかりと堪能できるように製作されていることに着目してほしい。
外装パーツの変更は、ワンオフ加工されたフロントフェンダーとリアカウルのみ。エアロ類は一切装着されていないため、純正ボディにこのハデなペイントが逆に映える。キャリパー&ローターがYZF-R1のため、足回りもノーマルのような雰囲気が漂う。
デモ車のため、割り切った造り込みがされたリアカウル。ラッピングペイントとファイヤーパターンの複合技はグリッターの極みだ。プロドラッグのマフラーバンドやスピナー、スイングアームと、眩いばかりに輝く金メッキ。これが佐藤鍍金工業所の成せる技だ。
ファイヤーパターンのデザインを、メーター周りからインナーにかけて巧みに処理している。ハンドル周りも豪華絢爛な金メッキ仕様。マスターシリンダーのキャップやサポート、小さなメッシュホースまで金メッキが施されていることに注目。
ビッグスクーターでは、フラットシートと言うと低さなどのビジュアル重視で選ばれることが多いが、このピットインオートのオリジナルシートは、リア荷重などを意識するための、走りのアイテム。ストリートよりもサーキットを楽しむユーザーに支持される実用品だ。
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