掲載日:2014年08月26日 長期インプレ › ホンダ PCX150
文・写真/野岸“ねぎ”泰之 取材協力/本田技研工業株式会社
PCX150はベースとなった125ccモデルに比べて排気量が28cc増えた152cc。原付二種でなく軽二輪となるので、高速道路を走ることができます。とはいうものの、150ccでどこまで実用になるのか、あるいは走りに不安はないのか? 誰もが気になるところでしょう。そこで今回は、高速道路の走りを中心にインプレッション。それに加えて、乗り続けて気になりだした点をチェックしてみました。
まずは東名高速道路を何度か走ってみたフィーリングをお伝えしましょう。主に制限速度が100km/h、通行帯が3車線ある区間です。料金所を過ぎ、合流車線の手前から一気にアクセルを開けます。加速は思いのほかスムーズで、合流車線が登り坂にでもなっていない限り、80km/h付近まではけっこうあっという間で、その後100km/hまで到達するのもそれほど時間がかかる感じはしません。「あれ? なんかあっけないほど普通に走れるな」というのが第一印象です。
ただ、そこからの追い越し加速の余力はそれほど残っていない感じです。たとえば左端を90km/hぐらいで走っている大型トラックを抜かすのは楽勝です。ところが、中央車線を100km弱で走っている乗用車を抜くことを想定すると、一気に抜くのは難しく、後ろを気にしながらじわじわと、という感じになります。体重73kgの僕が乗ると、追い越しで110km/hは出るけどその後はがんばってもプラス5km/hぐらいでしょうか。登り坂になると、さすがにトップスピードが落ちるし、限界付近になるとエンジンが非常に頑張ってる感じで余裕がないので、制限速度をきっちり守って走るのが、マシンにも優しいでしょう。
高速域ではちょっとした路面の段差でも大きく感じるものですが、14インチの大径ホイールのためか、100km/h付近で荒れ気味の舗装を通過してもハンドルが暴れることもなく安定していました。ただ、PCXはスクリーンが短いため、風防効果はほとんど期待できません。通勤などで高速道路に良く乗るのであれば、ロングタイプのスクリーンに交換したいところです。
次は首都高速での印象です。一般の高速道路に比べて都市高速は車線の幅が狭めだっったり、コーナーがきついことが多いので、制限速度が低めです。そのため、150ccのパワーでも特に不足する感じはありません。そこそこ混んでいるけど順調に流れている交通量の際には、車に交じって普通にクルージングができます。ただ、首都高なら湾岸線のような、制限速度が80km/hの直線が多い区間では、夜間空いていると全体のスピードアベレージが速くなるため、左側車線をおとなしく走った方が安心できます。ふだんから「これはあくまで150ccなんだ」ということを、頭に入れておいた方がいいですね。
首都高をはじめとする都市高速では、日常的に激しい渋滞に見舞われがち。そんな区間では、車線の中央部を走ることもあるかもしれません。その際には、一般道での渋滞と同じく、スリムな車体がとても有利です。14インチの大径タイヤは路面の段差に影響されてふらつく心配があまりないし、メリハリの効いたアクセル操作でパッと加速すれば思い通りのラインにマシンを乗せることができるので、緊張を強いられるシーンでも気疲れの少ないマシンと言えるでしょう。
さて、高速道路の話ではないんですが、乗り続けているうちに気になったことがあります。それは、ハンドルロックをしてキーを抜くと、自動的にキーシャッターが閉まる機構のこと。メーカーとしては親切で装備しているのはわかるし、防犯上も効果的なのは十分理解できます。でも……正直使いにくいと感じます。僕はふだん普通のバイクに乗ることが多い“ミッション野郎”だと以前にお話ししましたが、駐車したら無意識にハンドルを切ってロックし、キーを抜いてしまうクセがあります。「あっ、しまった。まだシートの下から荷物を取り出していないのに……」こんな時、キーシャッターが自動的に閉まっていると、それを解除するのがとても面倒なんです。もちろん僕が気をつければいいだけのことなんですが、以前のように手動で任意にシャッターを閉める方式でもいいんじゃないかな……と個人的には思います。あの鍵の頭の六角形の部分で解除する動作がスムーズにできないのが、快適なPCX150ライフの中で、現在最大の悩みの種です……。
キーシャッターを解除するにはこの変則六角形の部分をピタッと当てて回す必要があります。急いでいるときに限ってハマらない……暗いともっとハマらない!!
PCX150はスクリーンと呼べる部分がほとんどありません。そのため走行風がモロに体に当たります。ロングスクリーンが欲しいなぁ……。
高速のパーキングで休んでいると、125版PCXのオーナーに「高速の走り、どう?」って聞かれたり、車のドライバーさんに「これで怖くないの?」なんて聞かれたりします。「けっこういけますよ!」と答えます。
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