

掲載日:2012年06月11日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/田宮 徹
前後一体型のシートは、ライダー側の形状がやや独特で、先端が盛り上がり、後部には深めのバックレストがあるようなデザイン。このため、またがるとすっぽりとホールドされる感覚がある。シート高は775mmで、身長167cmの筆者の場合、前席後部に収まった状態だと両足の裏がすべて接地することはない。しかし、ボディが大きいわりには車重はなく、不安なく支えていることができた。
ハンドルは、シートに深くまたがった、もっとも落ち着くライディングポジションを取った場合、やや高めで遠めな印象。通常の走行時には、ごく自然に乗れる設定だ。ただし小柄なライダーの場合、ハンドルをフルロックしたUターン時には、シート形状との兼ね合いもあり、外側の手が届かなくなりやすい。前傾姿勢を取ったり、座り方を工夫したりして、うまく操りたい。
エンジンは、まずまずパワフル。大きめの車体と、200ccという排気量の組み合わせに、鈍重な乗り物を想像していたが、意外なほど元気に加速する。さすがに出足はそれほどクイックではないが、20km/hほどから上の領域では、まるでストレスなく加速が続く。日本の法定最高速度域内、つまり100km/h以下での加速性能は、シティコミューターとして十分満足できるレベルにある。実測したわけではないが、最高速は約120km/hのよう。これはつまり、法定速度内での巡航時にある程度の余裕があるということでもある。
一方で、大柄である程度の重さがある車体と、前後に履いた大径ホイールは、コーナリング時の安定感を生みだしている。市街地での通常走行時に、これといって重さに対する不満は生まれず、交差点などでは軽快に曲がることができるが、深いバンク角まで寝かせたときには、スモールボディモデルにはない安心感がある。
サスペンションはやや硬めな設定で、段差などではちょっぴり突きあげ感もある。逆にきれいな路面では、車体が不必要に動きすぎることもなく、安定感があり、快適に走ることができる。ちなみにリアサスペンションは、5段階のプリロード調整が可能。ライダーの体格や、タンデム使用の有無にもよるが、プリロードを緩めてあげれば乗り心地はかなり改善する。
ブレーキは、前後ともステンメッシュホースを使ったシングルディスク式。レバータッチは、かなりカチッとしている。しかし、ストローク量があまりない印象とは裏腹に、とてもコントローラブル。このようなスクーターモデルで、フロントブレーキをガツンと握るのには勇気がいるが、シートのホールド性がよいこともあり、ハードブレーキングも簡単。もちろん無理は禁物だが、頼もしい装備と言えるだろう。
スクリーンはロングタイプだが、市街地走行時に視界をジャマしないよう、トップの両サイドが切り落とされたデザインとなっている。身長167cmの筆者が乗った場合、ウインドプロテクション効果と視界確保のバランスがちょうどよい位置だ。大きめのスクリーンということで、若干ながら風の巻き込みが感じられたが、そのぶんほんのちょっと伏せただけで、カラダのほぼすべてを走行風から守ることができる。雨天時やウインターライディング時に、かなりありがたさが感じられそうだ。
約43万円という車両価格を考えれば、走行性能や装備はハイレベルと評価してもよいだろう。日常的にバイクを足として使うようなライダーや、セカンドバイクとしてミドルクラスのスクーターを探しているようなユーザーにも、お薦めのモデルだ。
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