アディバ AD200
アディバ AD200

アディバ AD200 – 収納式の屋根を持つシティコミューター

掲載日:2009年11月26日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

収納式の屋根を持つ
シティコミューター

都心部から近郊までを便利に移動するシティコミューターとして、バイクは高い実力を持っていることは改めて言うまでもないだろう。昨今ではビッグスクーターの登場により、さらにその適性は高まっている。今回試乗する「AD200」は、イタリアのスクーターメーカーであるアディバの手による独創的なモデルだ。同社は“バイク用の折りたたみ式屋根”の特許を取得しており、それを元にして屋根付きのスクーターを生産している。これまでも屋根付きのバイク自体は国内メーカーからも発売されていたが、折りたたみ式を採用するのはアディバの車両のみ。しかも高速道路を走れる排気量となれば、国内メーカーにも類似車種は皆無だ。“シティコミューター”と称されるバイクは数多いが、その中でも一際目立つ個性を持つこのモデルを、早速インプレッションしてみよう。

アディバ AD200の試乗インプレッション

アディバ AD200の画像

利便性を追求した
個性派“街乗りバイク”

以前から個人的にも関心があったアディバの屋根付きスクーターだが、初見の印象は正直なところ余り良いものではなかった。バイクに屋根が付いていて意味があまり無いのでは、というのがその理由だ。雨を完ぺきに防いでくれるでもなく、重量物が頭上に来てはバランスが崩れる可能性さえ考えられる。しかし、百聞は一見にしかずとは良く言ったもので、乗ってみるとこの“屋根付き”は非常に面白い。確かに、普通のビッグスクーターにくらべると若干腰高な印象を感じるかもしれないが、これは30分も走れば慣れてしまうレベル。樹脂をメインに作られる屋根は軽量に仕上げられており、懸念していた重量バランスの悪さも感じられなかった。それよりもむしろ、屋根があることのメリットの方が多い。まず、直射日光をヘルメットに浴びないため、疲労感が軽減されていることがひとつ。そしてもう一つは雨対策だ。幸いにも(?)今回の試乗では小雨に見舞われたのだが、その程度ならレインウェア要らず。構造上完ぺきにはならないが、必要にして十分な性能を確保している。また、横以外の全周をカバーしているため、急な温度変化があってもライダーへの影響が少ないのも屋根付きならではの利点だ。風を切るようなスピードを出す必要が無い市街地においては、メリットこそ感じてもデメリットを感じることは無いだろう。高速道路だと風が巻き込むのではと思われるかもしれないが、AD200の屋根は折り畳み収納式。不要と思えばすぐに収納することが可能で、こうなれば風の巻き込みは大幅に減少する。何度か試してみたが、高速道路を走るなら屋根は仕舞っておくことをおすすめしたい。屋根の開閉は金具二つで固定するだけの簡単なもので、コツが分かっていれば30秒もあれば屋根の出し入れは可能。試乗車を借りる際にメーカーの方にデモンストレーションをしてもらったが、こちらは10秒もかからず折り畳んでいた。いちいち大作業が必要なのでは、と気に病む必要は無いだろう。

アディバ AD200の画像

さて、実際の走行性能だが、こちらは街中を走るにあたっては必要にして十分。174kgという車両重量の重さは多少気になるものの、前後14インチホイールによる操縦安定性に不安は感じない。国産に多い12インチホイールに比べると走破性に優れており、路面状態の悪さにも強い印象だが、ハンドリングは少々クィック過ぎるように感じた。乗り手によっては切れ込むような印象を受けることもあるだろうが、その分狭い路地などでも旋回しやすくなっているのも事実。中低速を重視したエンジンとの組み合わせはまさに市街地向けで、入るのが億劫になる狭い場所でもキビキビと走ることが出来たのはこのハンドリングが有ってこそ。最後に、屋根があるから街中で乗りにくいのでは…という質問に対しては、「慣れれば気にならない」と回答しておきたい。普段は上方に無い遮蔽物が有るから不思議に感じるが、決して無茶な高さではなく、ライダーが把握しやすい位置となっているので半日も乗ればすっかり“屋根付き走法”をマスター出来るはず。そうなれば「個性的で快適な街乗りバイク」という、AD200の実力に気が付くだろう。小回りが効いて快適というのは、シティコミューターとして大きな魅力なのだ。

アディバ AD200の特徴は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索