ヤマハ XV1900CU
ヤマハ XV1900CU

ヤマハ XV1900CU – メイド・イン・ジャパンの品質と走りの性能で独自の地位を獲得

掲載日:2015年03月31日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/山家 健一  衣装協力/HYOD

ヤマハ XV1900CUの試乗インプレッション

ヤマハ XV1900CUの画像

ヤマハらしさを体現した軽快な走り
エモーショナルな鼓動感が魅力

短いクランキングの後、一発で始動するエンジン。寝覚めの良さはさすが国産ブランドである。スロットルを煽るとズドンという腹に響く重厚なパルスが、周囲の空気を通じて体に伝わってくる。1本が1リットル近くあるシリンダーの中を巨大ピストンが上下しているのだから、それも頷けるというもの。空冷ならでは細かく刻まれたフィンが特徴的なエンジンブロックが誇らしげに陽光に煌めいている。ちなみに今回試乗したレッドカラーはメッキパーツが惜しげもなく使われた豪華仕様。もうひとつの車体色のダークグレーに比べると値段も8万円ほど高いが、米本国でもキラキラしているほうが人気も高いそうだ。

ヤマハ XV1900CUの画像

スタンドを払って跨ろうとするが、大柄な割に取り回しが軽い。スペックを見ると車重331㎏ということで、実際のところ同クラスのクルーザーの中ではひと際軽いのだ。クラッチを握ると、これも軽い。レバー形状が肉厚で手になじむこともあるが、やはりアシスト&スリッパ―機構の恩恵は大きい。発進・停止やシフトチェンジが多い都市部だと特にそう思う。シートも低く両足ベタ着きだし、おまけに極低速でのハンドルの切れ込みがほとんどないので渋滞路なども楽。こうした、ひとつひとつの細かい美点が積み重なって、扱いやすさや快適さがもたらされているのだと思う。気軽に街に乗り出してみたくなるビッグアメリカンである。

ヤマハ XV1900CUの画像

とはいえ、1900cc近い排気量が吐き出す巨大トルクはやはり半端ではない。典型的なチョッパースタイルのライポジに胡坐をかいていると、自分のスロットルワークで仰け反ることになる。その気になれば、ドラッグマシンのごとき爆発的な加速力がどの回転域からでも即味わえる。それでも超ワイドリヤタイヤは簡単にはグリップを失わないが、油断は禁物だ。

かような動力性能を秘めてはいるが、個人的には風に吹かれながら高めのギヤでエンジンを回さずに走るのが気持ちいい。タコメーターは付いていない(必要ない)ので分からないが、おそらく最大トルク2500rpmよりさらに低い回転でドロドロ流してみる。空冷らしいやや乾いたVツインサウンドが最高だ。鼓動感は重厚で鮮明だが、バランサーのおかげで振動は極めて少ない。脈動も一定なので安心感がある。ワイルドさの中にも精緻なフィーリングが感じられるエンジンだ。

ヤマハ XV1900CUの画像

ハンドリングにも意外な一面を見た。先に伝えたように極低速域でハンドルの切れ込みがないのは、キャスター角の寝たアメリカンタイプでは珍しい。しかもフロント21インチということで、いかにも操舵にクセがありそうだが実際は真逆。速度域に関わらず、ハンドリングはいつでも素直で一定のフィーリングなのだ。ヨーク角を採用したディメンションにも関係があるようだが、アメリカンタイプのクルーザー(しかもフルサイズ)でこれだけ軽快なハンドリングを持ったモデルを私は知らない。走るほどにコーナリングが楽しくなっていくのだ。「ハンドリングのヤマハ」の面目躍如だろう。

ヤマハ XV1900CUの画像

もうひとつ気に入ったのがエレガントなスタイリング。アメリカンと云うとマッチョで武骨なモデルも多いが、XV1900CUは容姿端麗でむしろ線の細さを感じる。ステップやハンドルポストといった何気ないパーツにもデザインが施されるなど、ディテールにも洗練された美を感じるのだ。そこも含めて“ヤマハらしさ”がふんだんに詰め込まれたモデルである。

ヤマハ XV1900CUの詳細写真は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索