掲載日:2010年03月19日 特集記事
記事提供/2008年12月1日発行 モトメンテナンス No.80
電気の流れがスムーズにならない=滞ることで、どんなことが起こるのか? それはズバリ「性能低下」である。アースィングとは、そんな電気の流れをよりスムーズにするのが目的のカスタマイズである。ここではアースィング効果を試してみることにしよう。
電気力スタムの定番「アースィング」は効果的!?
モデルによっては驚きの効果を実体感できる!! 試す価値あり!!
電気回路の基本は「行って帰る」だ。バッテリーのプラスから出発した電気は負荷を経由してマイナスに戻ってくる回路が完成して、はじめて成立する。バイクやクルマの場合、プラス側の電源はハーネスを使っているが、負荷を通った後のマイナス側はほとんどの場合、車体にボディーアースされて、最終的に車体のどこか一ヵ所からバッテリーのマイナス端子につながっている。
スポーツスターでは、バッテリーのプラスケーブルはセルモーターのターミナルに、マイナスケーブルはクランクケース後部にボルト止めされている。
一方、車体各部の電装パーツを見ると、セルモーターやレギュレートレクチファイアなどは、本体を固定するボルトを通じてクランクケースやフレームへ、またヘッドライトやホーンを通過したものはメインハーネス内で一本にまとめられ、フレームにボルト止めされている。
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| シンプルなスタイルを好むユーザーには「なんて場所に付けるんだ!?」となるだろうが、ターミナルの着脱が容易で、効き具合を一カ所ずつ確認できてテストには便利だ。 |
フレームの鉄も、クランクケースのアルミも導電性だからボディーアースが可能なのだが、それぞれの負荷からの戻りを直接バッテリーに帰してやる方が、もっとスムーズに電気が流れるのではないかというのが「アースィング」の発想である。
アースィングの効果・効能に関しては諸説あり、現行車より旧車の方が効果的だとか、ボディーアースの電気的抵抗の小ささを考えれば、ほとんどが気のせいだとか、さまざまな意見が交わされている。
ここではスポーツスターを題材に、ポイント絞ったアースィングを実践してみた。装着したのはセルモーター、レギュレートレクチファイア、イグニッションコイル、前後シリンダーヘッドの5ヵ所。すべてのケーブルをバッテリーに直接戻すと、ただでさえ余裕が少ないターミナル部が大混乱を来すので、プライマリーケースの固定ボルトをターミナルとして一本にまとめてからバッテリーに戻している。
肝心の効果は、イグニッションコイルとレギュレートレクチファイアに関してはそもそも十分な性能を発揮していたためか、明確な差を感じることはできなかった。シリンダーヘッドに関しても同様。
唯一セルモーターは回り方が力強く軽くなった。大電流を消費するセルモーターには、ボディーアースに加えたアースィングのバイパスが効いたのかも知れない。
この一例をもって、アースィング効果の有無を断じることはできないが、ダイレクトにアースを帰すことで電気の流れがスムーズになるのは間違いない。また、実践する機種や接続ポイントがうまくハマれば、低コストで予想以上の成果を体感できるのも事実である。手軽な電気カスタムを試してみよう。
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