天草市・崎津天主堂

掲載日:2009年10月17日 ツーリング情報局九州エリア    

このレポートは BMW BIKES Vol.47 (2009年6月16日発売)掲載の『BBC Report』を再編集したものです。

ツーリング情報局

天草西海岸をたずねて

「熊本県で一番面積が広い市町村って知ってる? 」と妻、ここ数年の市町村合併後とはいえ答えた私自身も以外だったので調べてみると、天草市の面積が68307平方キロメートルで県内最大である。天草は上島、下島、御所ノ浦島などの島々から形成され、そのほとんどが山林で占められていて平野が少ない急峻な地形をしている。おまけに四方を海に囲まれているため道が少ないが、現在では松島有料道路や、松島方面の一区間は未開通(わき道あり)だが天草上島中央広域農道が走り、短時間で西海岸まで行くことができるようになった。

 

以前、天草は熊本(肥後)ではなかった。加藤清正が、面積の割に米高が少ない天草を幕府に返上し、代わりに飛び地の大分県の鶴崎を貰いうけたからである。その後「天草・島原の乱」が起こるのだが、時の禁教令を盾に天草四郎以下キリシタン弾圧が行われ、天草島は悲劇の島へと変わっていく。島民の37000人余りが犠牲になったが、東シナ海に面する西海岸一帯の島民は隠れキリシタンになり深く信仰を続けていく。

 

地図には載っていないが、羊角湾に「マリア像の磯」と昔から地元で呼んでいる場所がある。現在では、白亜の等身大のマリア像が崖上に立っているが、以前は岩をくり抜いた処に20センチほどのマリア様がいて、陸上からはまったく見えず、海からしか拝めない構造になっていた。ここを中心にした崎津から高浜までの西海岸一帯の隠れキリシタンを「天草崩れ」というのだが、心の支えになっているのが崎津天主堂と大江天主堂である。

 

山と海に挟まれたわずかな土地の小さな港町にゴシック風の崎津天主堂はある。そしてそこには異文化の空気がある

山と海に挟まれたわずかな土地の小さな港町にゴシック風の崎津天主堂はある。そしてそこには異文化の空気がある

東シナ海に沈む真っ赤な夕日を眺めながら聞くチャペルの音色が、もの悲しい。天草を訪れるならば、ぜひ西海岸まで足を延ばしてもらいたい。真の天草がここにある、とわたしは思うのだが。

天草に行く道筋にある宇土の海の中道。

天草に行く道筋にある宇土の海の中道。

 

 

 

フジ丸さん FUJIMARU (BMW BIKES Correspondent)
プロフィール
フジ丸さん
FUJIMARU (BMW BIKES Correspondent)

熊本県熊本市在住。BMW R1150Rオーナー。詳細な地元自慢レポートを表現豊かに届けてくれる。奥さんと娘さん、家族3人バイク2台のツーリングもしばしば。

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