『ツーリングのつぼ』

走行前の点検(3)

掲載日:2013年01月22日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

レザーマンのナイフは、長さ6センチくらいしかない。しかし、ピラニアくらいの大きさから荒巻鮭まで、どんな魚を調理するのにも、これ1本で充分だった。少し長さが足りないと思うかもしれないが、木を削るような力をかけるケースでも、刃に厚みがあるので曲がったりせず使いやすかった。

それどころか、このくらいの長さの方が、肉を切ったりリンゴの皮をむいたりする日常には便利だろう。刃が短くて困ったのは、豚の解体を手伝った時、一突きで心臓まで届かなかったことくらいだ。

ちょっとしたデメリットもある。ステンレスボディは重量があり、コッフェルで米を炊く時の重石に使えるのは便利だが、雪が降る季節に金属ボディを持つと、冷たすぎて嫌になってしまう。その逆に、外気温が体温よりも高い地域では、ボディが熱くて持てないこともあった(工具も)。なぜビクトリノックスのボディが樹脂なのか、その時に分かった気がした。

切れない刃物ほど危険な物はない。よく研げていれば余計な力がいらず、それによるケガも少ないと思う。毎日研ぐ必要はないので、短い期間のツーリングなら自宅でしっかり研いでから出かければいい。もしロングなら、泊まった宿でお願いすれば、砥石を貸してくれるだろう。あのレンガのような形は、南米でもアフリカでも同じだったので心配はいらない。

日本ではあまり恩恵はないかもしれないが、波刃はパンを切りやすい。焼きたての柔らかいパンになると、ストレートの刃ではパンは切れずに凹んでしまうだろう。デメリットは研ぎにくいこと。トルコの研ぎ屋さんでお願いしたら、親切心から「曲がっていたブレードを平らにしておいたぞ」と、波刃をストレートに削られてしまった。波刃は、溝をひとつひとつ、棒状のシャープナーで研ぐしか方法はないのだろうか? 誰かいい研ぎ方を知っていたら、そっと教えてください。

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