『ツーリングのつぼ』

寒い季節のツーリング(2)

掲載日:2012年12月25日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

毎年、大晦日から正月にかけて、富士山の本栖湖畔で 『日本エレファントラリー』 という名前のキャンプミーティングがあった。“ラリー” という名称には、“再び集まる” という意味もあるのだ。最盛期には 200 台を超える数のオートバイが集まり、みんな寒さに凍えていた。

服装は、首もとから体温を逃がさないように、そこから風を入れないことがキモ。そのため冬用のジャケットは、ハイネックのインナーを着てもファスナーが閉じられる、首元にゆとりのあるタイプを選びたい。バイクに風防もつければ完璧だ。バイクは風を切って走るモノ、という意見はもっともだが、夏とはいえ北極圏を、そして凍結したサロマ湖の上をバイクで走ったことがあり、つまりバナナが凍ってむけなかった経験のある私にはご意見無用であろう。

次に冷えるのは指先だ。どんなに厚いグローブをつけていても、雪の降るような寒さでは無力かもしれない。そこで熟慮の結果、米の袋など、丈夫なビニール袋でハンドルカバーをつけることにした。若い頃は、バイクにかけるお金に余裕がなかったのだ。後に世界一周に出かけていた頃でも、寒い地域では、やはりビニール袋でカバーを作った。市販品ではカバーの容積が小さく、窮屈に感じたからだ。少し年をとったくらいでは経済力に変化がなかったことも理由のひとつかもしれない。

テントでは、シュラフの足元に、お湯を入れたペットボトルを湯たんぽ代わりに置くと暖かく眠れる。あまりに寒くて眠れない夜に、フライカバーの上からバイクカバーをかけて寝たら、朝になっても薄暗く、そのうえ寒さのあまりローソクに火をつけたら、すぐに消えてしまった。あれは酸欠だったかもしれないので、この手段はシロウトにはお薦めできない。

一番の問題は、凍っている道路だ。普通のタイヤで氷を踏むと、何の前ぶれもなくフロントタイヤから転倒する。スノーチェーンは積雪だと有効だが氷には利かない。そのうえ1日1ヵ所くらいは切れるので手間がかかる。またスパイクは、氷には有効だが積雪では噛まず、アスファルトだと滑るので気を付けて欲しい。

新年も良い旅を。

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