
掲載日:2012年04月17日 タメになるショートコラム集 › ツーリングのつぼ
Text/Kosuke KAWAI
たいていのライダーは私と同じように、ホームセンターで購入した1,980円の化繊のシュラフから、ツアラーとしての第一歩を踏み出すだろう。そこでは銀のロールマット(980円也)も合わせて購入すると思う。まだ比較対象を知らず、キャンプができるだけで高揚感を得ていた輝かしい時代だ。財布にも優しい。
たいていの良識ある人なら、この装備で夏のキャンプを1回して幸せに人生を終えるだろう。その日記には「暑すぎてシュラフは使いませんでした」と記述されることも充分推測される。
2回以上キャンプをするライダーでも、雨のツーリングで偶然泊まったホテルがあまりに快適なので屋根の下に泊まる癖がつき、大多数のツアラーは、このあたりでキャンプ人生そのものを終えるだろう。
その頃に、時を同じくして “何があろうとテントで寝る” という強固な意志を持った人種が現れる。彼らは台風が来ようが雪が降ろうが、何が何でもテントで寝ようとする。テント内が大雨で池になったり納豆をこぼしたりする日もあるだろうが、創意工夫と若さで乗り越えてしまう。
そして挫折を繰り返すうちにシュラフの知識も自然と増えてくる。人間には2種類あり、“シュラフに寝る人間” と、“納豆を食べられない人間” とに分けられるのだ。しかしどちらも、人生の岐路において、なぜか困難な方を選択してしまうという体質を持っていると思う。
このあたりでキャンプをやめておかないと、高価なダウンシュラフが欲しくなり、もしそれを手に入れると、私のようにロングツーリングを妄想したりして危険である。
10年ほど前は、ダウンシュラフの値段は5万円を越えていたと記憶する。ある日、さかいやスポーツだかICI石井スポーツだかでオリジナルのシュラフを見つけた。床に面した下半分が化繊で作られ、上の半分がダウンというハイブリッド構造だった。素材のダウンが半分なので、価格はオールダウンの半分くらいだった。この3シーズンシュラフを世界一周に持って行った。
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