
掲載日:2012年01月24日 タメになるショートコラム集 › ツーリングのつぼ
Text/Kosuke KAWAI
しかし気を付けて欲しいのは、リアシートにバッグではなく「プラスチックの収納ボックスを積もう」という思いに駆られた場合だ。近所のホームセンターで日用品として安価で売られている、衣装ケースや道具箱とも呼ばれるアレだ。
これを積んでみると、確かに雨が降ってもジャージは濡れず、潰れやすいパンも形を保ったままツーリングできる。しかしバッグと同じようにストレッチコードなどで縛る必要があるので、思ったよりも物の出し入れがしにくいことに気がつくだろう。
ましてケースを2段重ねにしていると、もはや浮浪者との区別は、ホクレンのステッカーが貼ってあるかどうかだけの、シロウトには難しいものとなる。その頃になると周囲の友人はきっと、あなたのことを “キャンパー” と呼んでいるだろう。
ここらでまた分岐点が現れる。GIVI など市販のバイク用ケースにする正統派と、収納ボックスの改良派だ。
後者の場合、しょせん浅学のシロウトなので、ツーリング中にフタの開閉ができるように、ケースの底とキャリアを、やはりホームセンターで売られている既製品のステーでボルト留めする程度だ。そう改良して実際に使ってみた私は、カムイワッカ程度のダートでステーがポキポキ折れることに悩み「やはり布のバッグがいいな」と、振り出しのアイデアに戻ってしまう北海道の夜を過ごした。
我々の祖先が岩穴に暮らしていた時代、出先でマンモスを捕っても、それを村まで持ち帰ることができなければ意味がなかったことだろう。物の運び方を知っているグループの栄養状態は富み、他を圧倒し隆盛を極めたことは想像に難くない。それに気がついた弱小グループは物を運ぶ方法を必死で考え、人類はこうして知能を発達させたのではないだろうか。そう仮定すると、我々がツーリングバッグにこだわるのは太古から続く DNA が原因だと、むりやり結論を導くことができるだろう。
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